第7話 これが俺の『魔宝』か……
アルテーからこの世界のこと、戦女のことについて説明をしてもらった後。俺は彼女に「行くあてがないのだったら私達の島に来ないか?」と言われて、彼女達と一緒にアレネスの拠点である島へ向かうことにした。
そんな夢のような島に「罠かもしれない」というだけで行かない選択肢はあるだろうか? いいや、ない!
……と、いうのは半分くらい冗談として、ここでアルテー達と別れたとしても次にいつ人間に出会えるか分からない。そう考えた俺は彼女達の島へ一緒に行くことを決めたのだった。
幸い艦獄は俺の思った通りに動いてくれていて、アルテー達の島がある方角へ進んでいる。そして艦獄の進む速度は彼女達の船よりも速く、今艦獄はアルテー達の船を数本のロープで牽いていて、これにはアルテー達も喜んでくれていた。
「ありがとう、リュウト。この調子なら一日、いや二日は早く島に帰れそうだ」
「いいや、気にしないで」
俺は礼を言ってきたアルテーにそう返事をして辺りを見回すと、艦獄の甲板上には彼女を含めた最初に乗り込んできたメンバーの他に大勢のアレネスの戦女達の姿があり、彼女達は珍しそうに艦獄の様子を見回っていた。
俺がアルテー達の船を牽引したり、艦獄にアレネスの戦女達を乗せたりしているのは俺の「保身」のためだ。
いつ元の世界に戻れるか分からない以上、それまでの食料や情報を得るためにアレネスに保護してもらいたい。だからこうやって役に立つところを見せて、殺すよりも見方にしたほうが得だと思ってもらおうと考えたわけだ。
そしてそんな俺の考えはアルテーを含めた数名の戦女達には筒抜けのようで、彼女達は興味深そうな笑みをこちらに向けていた。……どうか、その笑みが友好的な意味であってほしい。
「俺は中に確認することがあるから、進路の変更とか何かあったら呼んでくれ」
俺はアルテーにそう言うと「剣」の力で作り出した恐竜を連れて艦獄の中へと入っていった。
艦獄の中に広がるのは、迷宮どころか壁一枚もないただ広いだけの空間が一つだけの手抜きダンジョン。その手抜きダンジョンの一番奥に小さな祭壇らしきものがあり、俺と恐竜が近づいてみると祭壇には一本の銀で作られた杖が固定されていた。
「これが俺の『魔宝』か……」
魔宝。
それは龍骨によって封印された神や悪魔、魔獣等の力、あるいは存在そのもの。俺達
この銀の杖の魔宝が一体どの世界から来て、どんな力があるかは知らない。だけどこうして見ていると、龍骨に植え付けられた本能なのか、この銀の杖を護りたいという気持ちになってくる。
別に魔宝を失ったからといって、艦獄長が死ぬわけでも艦獄の機能が停止するわけでもない。魔宝が引き寄せるトラブルを嫌い、早々と自分の艦獄にある魔宝を政府や異世界からの住人に売り渡した艦獄長も少なくない。
ちなみに自分の魔宝を売り渡したり奪われた艦獄長の艦獄は、他の艦獄長から「
しかし俺はこの銀の杖の魔宝を手放したりするつもりなど全くなく、気がつけば銀の杖を守りを固めるための行動を取っていた。
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