たった一人の読者のひとことは、作者を生かしもするし、殺しもする。

「お姉ちゃんの小説は面白くないから読みたくない」

 このひとことを放った妹、言われた姉である主人公。
 母の「特別」なイチジクの実。
 家族って近くて他人で、見ているものは同じでも、見えているものは違うのです。

 私も学生時代に、ひとつの大長編を書いていました。
 物語を書いている間は、うまくいかなくてしんどい現実から離れることができました。
 自分の生み出したキャラクターたちが、自分では行けない場所で、自分ではできない剣と魔法を使って、自分では成し遂げられない偉業を果たす。
 想像力は限りなく、果てしなく自由です。
 思春期特有の、行き場のないストレスをそこにぶつけていたように思います。

 そして、同じようなストレスを同じように発散していた方は、おそらく大勢いらっしゃるのではないでしょうか。特にここのような小説サイトで活動しているのであれば、きっと。

 そんな方におすすめします。