文明崩壊後の地球。巨大な月。魔女と魔女狩り。

 主人公は変わり者の女子高生、水沢茜。友人の時子と一緒に月を見上げていたある日のこと。ぐんぐん大きくなる月とともに、アカネは謎めいた幻を見る。自分をツクヨミと呼ぶ女性の声、魔女を狩るため地球へと降りる姉妹たち。気がつくと、アカネは文明が崩壊した未来の地球に倒れていた。
 しゃべるバイク兼ロボットと崩壊世界で生きる物語ですが、世界の描写が、リアルさを持ちつつもどこかファンタジックなのが面白い。頭上に浮かぶ巨大な月。軌道エレベーターと思しき施設、袁山。電力を通貨としてやりとりし、2020年ごろまでの電子機器を発掘してきては怪しげな知識で継ぎ接ぎして動かす。それでいて、世の中には迷信がはびこり、<魔女>や<魔女狩り>といった存在の噂が人々を怯えさせる。人々は日々を生きるのに精一杯で、しかしどこかフワフワと奇妙な世界。
 どうして地球が崩壊してしまったのか。魔女と魔女狩りとは何者か。謎めいた世界の秘密が少しづつ暴かれていくのが面白い。主人公がこの世界で何を選ぶかも気になります。SFファンタジー好きにはブスリと刺さる作品です。

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