イーロン・マスクにはマッドが足りない。そう言ってのけるマッドな女子高生が異世界のように変わり果てた未来でチート級に暴れまわる物語。ストーリーを一言で紹介するならこんな具合になるけど、すでにワクワクさせるワードが詰め込まれてて、そう、おもしろくないわけがないっ! と声を上げてオススメできるエンターテイメント小説です。
物語の序盤はまさに異世界転生ファンタジーのように展開する。
既存の常識が通用しない世界に放り込まれ、異形のモンスターを高度な戦闘力で退け、現代科学を駆使して職に就いて食べ物や寝床を獲得したり。しかし、そんなことしてる間にも、彼女の頭上には、今にも落ちてきそうな巨大な月が迫っていた。
ストーリーが進むにつれて、彼女の前に立ちはだかる謎の数々が、人工衛星の太陽光発電パネルのようにきっちりと折り畳まれる展開はまさに小説力の高さの賜物。
間違いなく楽しめるSF小説です。
水沢茜、17歳。将来の目標はマッドサイエンティスト。
部室で親友の時子と月を見ていたはずなのに――
目覚めると、文明崩壊した未来と思しき世界で、
アカネはポンコツロボットのピピと出会う。
頭上には、巨大な月。
怪物は出るわ地震は起きるわ人口激減してるわ、
人類は過去の遺物を利用して生き延びてるけれど、
過度の科学的知識を持っていると〈魔女〉として
〈魔女狩り〉に狙われる世界で。
いきなりそんな状況に放り出されたのに、
前向き過ぎるというか楽しければそれで良しな
アカネの性格と、ポンコツなピピとの掛け合いが
めちゃくちゃ楽しいです!
〈魔女〉とは何か、〈魔女狩り〉とは何か。
地球は何故、このような状況になったのか。
アカネの謎の記憶は、いったい何なのか……。
全てが怒涛の勢いで収束していく最終章が熱い!
SF好きな皆さん、面白いですよ! おススメです!
主人公は変わり者の女子高生、水沢茜。友人の時子と一緒に月を見上げていたある日のこと。ぐんぐん大きくなる月とともに、アカネは謎めいた幻を見る。自分をツクヨミと呼ぶ女性の声、魔女を狩るため地球へと降りる姉妹たち。気がつくと、アカネは文明が崩壊した未来の地球に倒れていた。
しゃべるバイク兼ロボットと崩壊世界で生きる物語ですが、世界の描写が、リアルさを持ちつつもどこかファンタジックなのが面白い。頭上に浮かぶ巨大な月。軌道エレベーターと思しき施設、袁山。電力を通貨としてやりとりし、2020年ごろまでの電子機器を発掘してきては怪しげな知識で継ぎ接ぎして動かす。それでいて、世の中には迷信がはびこり、<魔女>や<魔女狩り>といった存在の噂が人々を怯えさせる。人々は日々を生きるのに精一杯で、しかしどこかフワフワと奇妙な世界。
どうして地球が崩壊してしまったのか。魔女と魔女狩りとは何者か。謎めいた世界の秘密が少しづつ暴かれていくのが面白い。主人公がこの世界で何を選ぶかも気になります。SFファンタジー好きにはブスリと刺さる作品です。