とあるカップルが、拾ってきたネコを飼い始めるお話。
全編にわたって火力の高い、笑いどころ満載のコメディ作品です。強烈な冒頭のインパクトから、濁流に巻き込むみたいにグイグイ引っ張っていく展開の妙。いや会話や雰囲気自体は大変ほのぼのしているのですが、でも起こっていることがあまりに異常すぎるというか、とにかくものすごいパワーでまったく流れに逆らえません。
一見すると不条理、というか、最初はある種の不条理系コメディだと思っていたものが、でおその不条理さをそのままにしっかり理屈づけられ、そのうえぐいぐいスケールを大きくしていく。この流れ、実直かつ間違いのない物語性の展開が、とても鮮やかで半ば感動すら覚えるほどでした。
内容に関しては、ここではあまり詳しくは述べません。コメディですし、ここで多くを語るのは野暮な気がしますし、読めばわかるというかそれがいちばんいいので。とりあえず、ネコのお話です。どう見てもネコじゃないような、でも読み終えるとこれぞまさしくネコだったような、そんな気持ちにさせてくれる不思議で爽快な作品でした。
この作品にワニは出てきませんが、非常にワニワニパニック的でした。
ワニワニパニックに馴染みがなければモグラ叩きでもいいです。
お手元にはスポンジハンマーではなく「なんでやねん!」をご用意の上で読み進めてください。
良いですね? 三行目にはもうツッコミポイントが出てきます。序盤は肩慣らし的に、丁寧に提示される不条理なボケ。
リズミカルにツッコミを入れていくと、物語も中盤です。ワニワニパニックなら「やったな~」タイムです。怪異が肯定されてからは疾風怒濤です。
連打連打連打連打。
こころのツッコミを最大限に躍動させ、よい汗をかいて迎えた終盤のクールダウンを終えたら、ネコが癒やしを与えてくれます。
さぁ、最高の癒やしに向かって、振るえこころの「なんでやねん」!