第6話 患者

「ぼくが、だからです」

 リオンが行った一言。

 わけはわからない。でも、いろいろな意味が含まれてそうな気がした。

 呪われています、とリオンはいった。あのパソコンは彼いわく呪われてるらしい。

 ただ、見た感じ普通のデスクトップパソコンだ。ただ少し変形しているけれど。

 そして、彼のという言葉。


 ああああ…わけわからん。


「とりあえず、淹れますね」

「ああ、ありがとう…」

 アノイ、とはこの世界のお茶のようなものだ。いや、どちらかというとカ○ピスかな。少し酸味が強いけれど、さわやかで甘みもある。はっきり言って、美味いやつだ。


「…んで、患者って?」

「これは、僕もあまり知りません。ただ、僕は物心ついたときから、患者、と呼ばれてきました。」

 はあ…。患者、か。

 この言葉を頭に置きながら、リオンの姿をもう一度見てみる。

 別に怪我をしているわけではなさそうし、顔色もいい。

 もしかしたら別の意味なのか?

 患者…と呼んでいるけれど、あれだ。忌み子のようなものなのかもしれない。

 それなら、納得も行く気がするな。


 と、なるならば…。

 パソコンがリオンの家においてあるのは、リオンが忌み子だからであり、他の人には始末できないものだから、リオンに押し付けてる、とも考えられる。

 ともかく、さっきからリオンは喋らないから、この話はここで終わりなのだろう。


 さっきくれたアノイを一口飲んでから立ち上がり、大きく伸びをした。

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居候兼多趣味を謳歌する日々です 孤夜 ミコト @31415926

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