Epilogue
花畑に風が吹き抜け、様々な色の花弁が、舞い上がる。
つむじ風に巻き上げられた花弁は、螺旋を描きながら天高く舞い上がる。
女は風に乱れる髪を抑えて、花弁が見えなくなるまで見つめていた。
丘を起伏して、どこまでも一本の道が続いていた。
女は道の真ん中に一人、立ち尽くしていた。
瞳を閉じ、再び開いた。暗黒が女を取り巻いた。
誰もいない、何もない暗黒の世界にただ一人、女は立っていた。
数秒、数分、数日、数年、というときが流れ女は目を開ける。
眼の前には待ち望んだ男が立っていた。
女は溢れ出る涙を抑えきれず、男の胸で泣いた。
男はやさしく女の頭をなでて、いった。
「還りました」
女は顔を上げ、積もる想いを一言に込める。
「お帰りなさいませ――」
もう二度と離ればなれにならないために、お互いの手を強くにぎりしめて、果てしなく続く一本道を二人で歩きはじめた――。
END
スカボローフェアの花嫁 物部がたり @113970
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