第10話 レッドの正体

ゲルト対レッドの試合が始まる。


「それでは試合開始!」


「ゲルトちゃん頑張って!」


「頑張るよ、マ、母さん!」


相変わらずの親子だな。


レッドの方はなんかやたらとやる気満々だ


「お前、き、棄権しないのか⁉︎

パ、父さんにいいつけるからな⁉︎」


レッドはやれやれといいたそうな

ポーズをとる。


「さっきの奴みたいになっても

しらないからな!うわぁぁぁ!」


ゲルトが剣をブンブン振り回しながら突進していく。


レッドはひょいっとよけて足をかける。


「グワッ⁉︎」


ド派手にこけて、剣が床に綺麗に突き刺さる。


宝の持ち腐れだな。


「あいたたた⁉︎この野郎!舐めてるのか⁉︎

絶対パパにいいつけてやるからな!」


あまりの憤りにパパ言ってしまったな。


「ゲルトちゃん負けないで!」


「頑張るよ!マ、母さん!

この高級装備があれば負けないよ!」


確かにゲルトが着ている装備は

強そうな奴ばかりだ。


さてどうするのか?


「行くぞ!うわぁぁぁ!」


また叫びながら突っ込む。


レッドがついに剣を抜いたが

どこにでもあるような普通の剣だ。


ゲルトに対して剣を振り下ろす。


「ひぇ⁉︎」


ガキン!!


剣が弾かれる。


ゲルトはニヤリと笑い。


「ハハハハ!そんな、鈍らな剣じゃ

俺の鎧には傷ひとつ、つけれないぜ。」


確かにそうだ。あの剣じゃ傷ひとつ

つけられないだろう。


レッドが構え直す。


その瞬間!


剣から凄まじい炎が湧き上がる。


バトルロワイヤルでは普通に剣で圧倒

していただけだったが。


こんな隠し球があったのか。


ゲルトは腰を抜かしている。


「はわわわわわ!」


声にならないみたいだ。


レッドがゲルトに剣を振り下ろす。


「ままま、参った!こここ、降参だ!!!」


剣はゲルトを避け、地面に刺さる。


その瞬間、ゲルトの横から爆炎が巻き上がり

地面を焼き尽くしてしまった。


なんて凄まじい、炎だ!


ゲルトは、ショックのあまり地面を

濡らしている。


「ま、ま、ま、ま、マミーたすけへ•••。」


ママじゃなくて、上位互換のマミーなのね。


「ゲ、ゲルトちゃん⁉︎」


バタン。ブクブク•••。


似た者、親子だな。母親までショックで

白目むいて倒れやがった。


「しょ、勝者レッド選手!」


騎士や選手達等からものすごい歓声が起きた。


「うぉぉぉすげぇ!!!!!」


「でもあれってまさかね?」


「まさか⁉︎あの人じゃないだろ。

こんな所にいるはずが•••。」


皆、レッド知ってる者では

ないかと話しているが半信半疑みたいだ。


レッドは嬉しそうに手を振る。


彼は一体何者なのか。


決勝で当たればわかるかも知れない。




俺は次々とトーナメントを勝ち進んでいき

決勝まできた。


やはり相手はあのレッドだ。


「決勝を始める。レッド選手、勝利選手前へ。

ここで勝った者が和平大使として世界各国へ

出向いてもらう。よいな?」


俺はここで勝たなくては。


「あぁ。」


レッドもコクンとうなずく。


ここで再度俺らの紹介が入る。


「まさかまさかの大どんでん返し!!!

二人ともノーランク!!ダークホースどうしの

対決だ!」


「ますはDグループ代表、

その鎧の下は何者なのか、他を凌駕する剣の腕前!

そして全てを焼き尽くす赤い炎!!!

圧倒的な強さで優勝するのかレッド選手!」


「そして、Lグループ代表。

最初は疑惑だらけだったがもう誰も疑いはしない

まさかまさかのあの双剣のソロを倒し

こちらも圧倒的な強さで勝ち上がってきた。

勝利選手!だが素手でどうやってあの剣と炎に

対処するのか、これは見ものです!」


「それでは決勝戦開始!」


最初から全力で行く。


足に力を込めてける。

一瞬で間合いを詰める。


流石のレッドも一緒で詰められて焦っている。


しかし•••。


地面から二人の前に炎が上がる。


レッドの方も間一髪みたいだった。

自身の鎧も少し溶けている。


溶けた兜の隙間から、綺麗な青い瞳が

のぞいている。


次にレッドが仕掛けてくる。


動きはまったく早くない。

ソロの方が数段早い。


しかし、厄介なのは炎だ。


剣を振るうと炎が大きくなり

当たり幅が大きくなる。


「熱ッ!!!」


かわすがやはり炎が擦り火傷をおう。

流石のドルトワーフの装備でも

この熱には耐えられないみたいだ。

少し溶けている。


一旦距離をとる、そしてアレデルの時に

使った、拳圧を飛ばしてみる。


「グッ⁉︎」


よし!当たっている!このまま攻め続けるぞ。


そう思っていたが、レッドは剣を振り回して

炎を巻き上げる。


ものすごい爆炎の竜巻により拳圧が

流されている。


しかもそれを纏ったまま、前進してくる。


まずい⁉︎あれに巻き込まれたら焼き殺される。


どうする⁉︎降参するしかないのか⁉︎


いや、竜巻か•••。


一か八かだな。レッドもそうすると

わかっているだろう。


俺は地面を蹴り大きく飛び上がると

竜巻の上から入り込んだ。


それをわかっていたかのようにレッドは

こちらを見ていた。


剣を振り回すのをやめ、こちらに向け剣を構えた。


そのままレッド前に落ちて行き

そして、俺に剣を振ったその瞬間。


思いっきり宙を蹴った。

その瞬間俺は空中で起動を変えることが出来た。


レッドが目を見開いている。


一か八かだったが上手くいった!!


そして一回転して頭にかかと落としをお見舞いした。


ドン!


「グッ!!!」


空中で蹴った分威力は落ちている。

だが、地面に叩きつけるだけの威力はあった。


レッドは倒れたまま動かない。


勝ったのか?


偉そうなおっさんが前にでる。


「しょ、勝者かつ•••。」


勝者を告げようとした、その瞬間•••。


「ちょっと待った!」


レッドが声を上げる。


「まさかこの僕がこんな姿に

させられるなんてね。プライドが傷つくよ。」


起き上がると兜が割れて顔が露わになる。


そこには赤い綺麗な長い髪をしたイケメンが

立っていた。


周りから驚愕の声が聞こえてくる。


「なんであの方がこんな所にいるの⁉︎」


「スゲー!!!生で始めてみた!!」


中には嬉しさのあまり気絶し始める

女性までいた。


レッドはちょっとドヤ顔している。


「勝利、君はすごいよ。まさかこの僕と

互角に戦うなんてね。」


「あ、あぁ、ありがとう。」


とりあえずなんか褒められた。


「な、なんかそっけないね。

まさかとは思うけど僕のこと•••。」


「すみません、どちら様でしょうか?」


「•••」


「••」


「•」


「えぇぇぇぇえええええ!!!!?」


周りから驚愕の声が上がる。


「あいつまじかよ⁉︎本当に知らないのか⁉︎」


「あの強さで、世間知らず!あいつは仙人だ!

山に篭っていたんだ!」


「だから足が臭いのかもな。」


おい!最後の奴だけ後でグーパンな!!


仙人でもないし。


レッドがちょっとショックを受けながら

話かけてくる。


「そ、そうか•••。僕もまだまだってことだね。

スターになれた思っていたけどまだまだだね。

そうか、そうか。ハハハ•••。」


相当凹んでるな。な、なんかすみません。


そしてレッドが正体を明かす。


「僕の名前はルージュ•リュート。

メリア大国から来たんだ。

皆からは輝星のヒーローって呼ばれてるよ。」


「へ⁉︎」


こいつが輝星のヒーロー⁉︎


「輝星のヒーローは知っているみたいだね。

やっと君の驚いた顔が見れたよ。」


「なんでこんな所に⁉︎あんたらに

会いに行く為に試験を行なっているんだけど⁉︎」


こいつはなんの為に試験を受けてるんだ。


「いや〜お忍びで旅行していたら、

楽しそうなことがあってたんでついつい。」


「なんだそれ⁉︎」


そんな理由でかよ。


「まぁ、そんなことより。続きといこうじゃ

ないか。僕も本気でいこうと思ってね。」


「ちょっと待て⁉︎もう、いいんじゃないか⁉︎

お前に会う為にやってたんだぞ⁉︎」


もうこれ以上やっても意味が•••。


「僕も負けっぱなしは嫌なのでね。

君に一泡吹かせてやりたくて。」


おいおい、やけになってやがる。


リュートは腕輪を掲げた。


「それじゃ、いくよ。へんし•••。」


「ちょっと待ってください!!!」


ここで待ったが入った。


同じ輝星のヒーローであるイディナだった。

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イダー〜覆面ザコの異世界無双〜 豪将せの一 @goushosenoichi

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