その「赤」よ 晦明を超えて行け

 歴史。

 日の昇降を繰り返しながら、何人もの人が生き、死に、時に甘さに溺れて恋をして、時に泣いて泣いて泣き腫らして、悔しさに運命を呪い、憤怒に身を焦がし、それでも足を止めることなく駆け抜けていった「人々」が紡ぐもの。

 勝った人にも負けた人にも、殺された人にも戦争を知らずに天寿を全うした人にも、近所の犬を怖がる子どもにだって、歴史はある。

 ここにあるのもそんな、数々の「歴史」の一つ。

 語り継がれてきたそのドラマを、貴方にも教えてあげる。

 * * *

 突然ですが……。

 この文章をお読みになっているあなたは、「ランカスター王家」をご存知ですか?

 かつてイギリスの頂点に君臨し、フランスの地を手に入れんと野望を抱いた一族で、中でも「ヘンリー五世」はかのシェイクスピアに史上最高の名君と謳われたそう。
 そんな彼らの勢い盛んな時代から物語は始まり、やがて彼らは辿るべき運命の誘うままにそれぞれの終着点へと歩を進めてゆきます。

 家族の真ん中で静かに迎える最期か、戦場で血の華を咲かせる壮絶な最期か。
 華やかな時代を生きるのか、苦難を耐えつつ人生にしがみつくのか。

 彼らの傍で休まず昇降し続けた朝日はその度に何の「赤」を照らしたか。


 その答えは全て、この物語が教えてくれます。


 一人一人の人生に真正面から向き合い、巧みに織り上げられた数々のドラマは圧巻の一言。

「赤」を掲げる男達、その傍で自分の人生を貫いて行った女達。
 彼らの生きた証を、その胸に、今、刻め。