あとがき

 ついに、ついに最後まで到達しました! 長かったー!


 こんなマニアックな西洋史の世界に最後までお付き合いくださった方が何人もいることに、まず驚きです。

 自己満足ではありますが、四兄弟を書きたいように書いて、自分の中にしかいなかったヘンリーやフィリップ君を共有できた。これだけでもうめちゃくちゃ嬉しいです!(ファンタジー要素いらなかったんじゃん? という天の声はさておいて)


 毎回愛を叫ぶコメントとファンアートをくださった星さん、くそみそ星人に襲われた時に励ましてくださった黒乃さん、いつも一番乗りしてくださったはなさん、きっとこの後の薔薇王の世界をご想像になっているでしょう澄田さん、毎日一話ずつ読んでくださった方、他にもたくさん感謝しております。


 ほとんどの事は史実をベースにしていますが、少し順序を入れ替えたり、人を取り換えたり、時間の流れをスピードアップさせたりしています。そこはご愛嬌で目をつぶっていただきたく…


 物語はここで終わりますが歴史は続き、フランスに大敗したイングランドは、その後ジャックケイドの乱、薔薇戦争という内乱を経験し、絶対王政時代へと進みます。

 一方フランスもシャルル7世が戦後の国を立て直しますが、同じく内乱のプラグリーの乱を経ることでこちらも中央集権化が進み、有名なルイ14世の絶対王政時代になります。


 イングランド王家とフランス王家は切っても切れないものでしたが、ヘンリーはハッキリとイングランド人として侵攻した王でした。この一投が波紋となり時代を変え、それぞれが別の国家として歩み始めたのだと思います。中世が終わるのですね。


 さて、スピンオフは二本用意しています。

 一つは傭兵ザントライユを仲間にしてくれえエェェ! と熱烈なリクエストをいただきましたので、フランスものを。

 年代で言うとハンフリーの章、チラ出したジル・ドゥ・レとプレラーティにまつわるお話しです。キャラ設定や背景はそのままですが、ちょっと別の世界線の物語になります。


 もう一つは本編より前の時代で、ひよっこハル王子のウェールズ戦記です。こちらはレイティング三拍子揃ったダークファンタジーなるものを書いてみたいと思っています。


 そして、次作に続く的な終わり方のエピローグでした!

 先ほども述べたように、イングランドはこの後薔薇戦争という、ランカスター家とヨーク家の親族同士が血で血を洗う争いを繰り広げます。続編はもちろんこのお話しです。


 リチャードが出撃したハンフリーの墓前、セント・オールバンズで薔薇戦争は開戦します。「うおおおおい⁉︎  リチャードてめえっ⁉︎」ってハンフリー言ってますよねきっと。


 で、興味を持った方はぜひ『薔薇王の葬列』というマンガを読んでいただきたい! これ読めば薔薇戦争全部分かります。年明けからアニメも始まるんですよ~。

 こちらのヨーク公リチャード君、めちゃくちゃカッコいいパパに仕上がってます。


 ちなみに私が書くなら、薔薇戦争も引き続きランカスター家の物語になります。なのでリチャード君が今度は敵になってしまう…。ちょっと切ないですね。

 物語の構想はありますが、『薔薇王』が抜けてからでないと影響受けまくるのでしばし寝かそうと思います。


 スピンオフにヴェンツェル後編でしょ、そうこうしているうちに来年の角つばが始まるでしょ、他にも構想が…

 書きたいことはいっぱい! でも時間はなし!

 Wi-Fi環境のある精神と時の部屋に入りたいものです。


 それではまた次の世界でお会いできますように!




参考文献

英仏百年戦争 佐藤賢一

ヴァロワ朝 佐藤賢一

ヘンリー五世~万人に愛された王か、冷酷な侵略者か~ 石原孝哉


引用

ウィリアム・シェイクスピア作

リチャード二世

ヘンリー四世 第一部・第二部

ヘンリー五世

ヘンリー六世 第一部


文献ではありませんが私の百年戦争といえば

双頭の鷲 佐藤賢一

傭兵ピエール 佐藤賢一

ちなみに一般的な”ブルゴーニュ”ではなく”ブールゴーニュ”なのは、佐藤賢一表記に合わせています。

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ランカスターの朝日 乃木ちひろ @chihircenciel

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