アナログ感覚が抜けないけれど
ミーシャ
眺めつつ時々読んでいます。
増井 敏克著
『IT用語図鑑 ビジネスで使える厳選キーワード256』翔泳社、2019年。
「コロナで何が変わったのか」と訊かれたら「変わっていない」と、自分は答える。「読むべき本」についても「変わっていない」と思う。
ウィルス感染の危険性を少しでも削ぐために、人と会えない、ふれられない、近づけないことが、これほど深刻な影響を日々に与えるだろうということを、私たちはもっと認識しておくべきだったのだ。
しかし後悔しても、たとえ遅かろうとも人は、気付いた時から考えはじめる。
技術を駆使して、新たなアイテムを作り、普及させ、知恵を絞って変化に対応し、生きていこうとする。残念ながらすべての職種には適用されないながらも、テレワークなるものを可能にしたのは、IT(情報技術)の発展に依る。電話やメール、インターネット、それら一切に触れることなく今の生活を送ることは、想像に苦しい。しかし今更ながら、便利で簡単な文明の利器の存在意義を、大きな意味で捉えなおす機会に与っている。
携帯一つとっても、10年前と全く違う。10年違えば、視界や価値観まで違うジェネレーションギャップ。声を掛けられる距離に居ない相手、視界を共有できない相手に、文字一つで伝えられる技術について、いくら高度な情報端末を使いこなそうとも、最終的に課題となるのは、自分自身の理解度、言葉の認知度だと痛感する。
伝えられるデバイスがあっても、伝えられる言葉を自分が持たなければ、相手に伝わる言葉を使えなければ、どうにもしようがない。会社の後輩の使う言葉、“若い人たち”の考えていることが分からないのには、共感以上に、情報技術に対する理解が浅いからかもしれないと、前から常々思っていた。
自宅待機の期間に、家で何をして過ごすかについて、たくさんの人の努力があった。読書好きは本を読むだろうし、身体を動かしたい人は、家でもできる運動やストレッチ方法を模索する。
かくいう自分はというと、本を読むのは嫌いではないが、世の中が不安に駆られているときに、あんまり根を詰めて文字をとりこむと、”左脳”が暴走して、ネガティブ思考が加速するかもしれない。かといってファンタジー世界に逃避できるほど、気持ちが落ち着いているわけでもない。ノンフィクションの路線で、気楽でかつ有意義なものを探したら、この本に行き着いた。
1ページに、1ワード。目が疲れているときは、くるっとめくって、ヘッダー部分に配された用語と、簡潔な一行の説明を目で追えばいい。ページ中央のかわいらしい絵が、コロナで波立つ情緒を静かに癒してくれる。関連用語が近いページにあるのもうれしい。あいうえお順の無機質さは、今の心身には少し堪える。
おすすめは、「テザリングとローミング」のページ。世代や個人の考え方によって、有しているインターネット環境の違いも、大きくなっている。もちろん、この分野に明るい人には不要かもしれないが、自身を含め、そうでもない人がまだまだ大多数だと、個人的には感じている。詳しい方には、逆に、ここからスタートする人間がいることも知ってほしい。
コロナ時代を生き抜くために必要な情報技術の恩恵をより深く理解し、活かしていくために、もっと知ってゆきたい。やわらかく変化を受け入れていくのに、おすすめしたい一冊。
アナログ感覚が抜けないけれど ミーシャ @rus
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