第18話 進路


ガチャ 


帰宅した祐司。

バイトが終わって帰ると23時近くになる。

いつも妹しか起きていない事が多い。


だが今日は違った。

母も何やらノートを書いていた。


「おかえりなさい。

 いつも遅くまでお疲れ様。

 疲れたでしょ?

 お風呂沸いてるわよ。」


「ありがと母さん。」


そうして荷物を置きに部屋に帰る。

そのまま直ぐに降りてきて、


「なあ母さん。

 俺専門学校行こうと思うもんだけど。

 どう思う?」


「あんた急にどうしたの?

 てっきりそのままフリーターかと思ってたわよ。」


そう言って笑い出す。


「好きなことするのが1番よ。

 我慢したりしても続かないんだからあんたは。」


流石母である。

全てお見通しである。


「今日さ、バイト先のシェフにも

 言われて、一応専門学校出た方が

 資格も取れるし、もう少し社会に対する準備も出来るだろうからって。

 あ、今からでも受けれるって!

 まだ募集してるだろうし、最悪俺が口聞くっていってくれたし!」


祐司が嬉しそうに話すのを聞いて

母は優しい顔をしていた。



「分かったわ。

 明日学校で先生に聞いてみなさい。

 それでまたお母さんに教えてね。

大丈夫、お父さんには私から話ししておくから。ああ見えて意外とあの人も気にしてるのよ。」


祐司は返事をして、お風呂に向かうのであった。



シェフからはもう一つ言われていた。

それは

「同じ道を歩む同世代の仲間がいるって幸せだぞ。

俺も栗生の存在って大きくてな。

あいつはテレビ、雑誌にも出てるし

それが元は俺と同じヒヨッコだったし

あいつが肉を焦がしたのも見てる。

それに歩んだ道、目指した道が違うけども

お互いにリスペクトもしあっているしな。

あいつはしてないかもだけど。」


そう言って笑って祐司に語っていた。

なんだかその姿が祐司には羨ましく思えたからでもあった。

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グラン ド メゾン 〜テレビドラマに憧れて料理人を目指す若者の物語〜 児鳥だよ @kakuyomina

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