第15話 由布岳と障子戸 前回までの話は一度斬ります。
だいぶ間が空いた上に、書いてたデータが見当たらないので
最近事故が多い(今年だけで7人滑落)由布岳で何故滑落が多いのか、体験談を踏まえて注意喚起で書いてみようと思います。
読むのが面倒な人は一番最後の【☆】マークを検索してネタバレをおよみください。
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2022年。
コロナで外出も制限され、私は今日もステイホームを守り、部屋にいる。
実に模範的市民な生活だ。
「外は寒いから外にでたくないだけじゃない」
おいこら、ネタバレするんじゃない。そこのエセ幼女。
そんな話をしていると、TVで事故のニュースが放映されていた。
「今年は由布岳で滑落事故が何度も起こっているみたいね」
由布岳。
豊後富士とも言われる美しい山で湯布院や大分市のわさだ地区あたりからだと姿が見える山らしい。
山開きの際にはニュースとなり、けっこうメジャーな山らしいのだが
「あー、あそこは山頂に障子戸とお鉢巡りがあるからねー」
「障子戸とお鉢巡り?」
聞いたことのない単語である。
「由布岳は元々火山でね。山頂がちょっとした火口になっていて、一周1kmのぐるっと回るルートがあるんだよ」
その火口跡がお鉢に似ているのでお鉢巡りというらしい。
火口と言うと阿蘇山のような多くの観光客がハイキングのように歩く場所を思い浮かべたが、そうではないらしい。
「そこは道が平らじゃなくて、細い剣山みたいな場所の連続で、落ちたら登れない崖だらけだし、中間あたりで1か所、道が崩落して岩にへばり付いて通過するところがある上り下りの激しいし、特に障子戸という場所が危険なんだよ。」
「危険ってどれくらい?」
「尖った岩の上を歩いて移動した跡、8mくらいの高さの岩山に鎖が垂れ下がっているんだけど、身長180cmの男性が、手を伸ばしても届きそうで届かないかない位置に下がっているんだよ。」
「悪意しか感じないんだけど…」
構造的に欠陥がないか?それ。
聞いた情報だけで考えるならば、ジャンプして鎖に飛び移るのだろうか?
「岩によじ登って手を伸ばしてから鎖をつかむらしいよ?」
それって、鎖を掴めなかったら落ちるってことではないだろうか?
「そうだよ。掴み損ねたから滑落するんだよね。または、道が崩壊してる場所で落ちるか、だね」
「どう考えてもそれが原因でしょうが!!!」
普通鎖をつけるなら、足場がしっかりした場所ではないだろうか?
道が崩落しているのになんで、整備をしないのか?
「詳しくはしらないけど、2015年の地震で足場が崩れたんじゃないかな?(推測)」
「だとしても、そこまで事故が多発するなら岩を削って足場を整備するとか、鎖の位置を変えた方がいいんじゃないかしら?」
と、思ったが、それ以上に危険な場所に挑戦しない方がよいのではないだろうか?
「んー。私も一回#そうだ由布岳いこう ってツイッターで朝8時い投稿して、その日のうちにノリだけで登った事があるけど、気持ちはわからなくもないんだよねー」
~由布岳と障子戸のハナシ~
由布岳は意地の悪い構成となっているらしい。
「麓はね、一面草原が広がってきれいだし、坂も緩やかだから最初はハイキングコースだと思うんだよ」
木もなく、草原の中のくぼみ道は絶景で牧草地を歩いている気分となるらしい。
「そこから森に入るとトイレとベンチがあって、ここから本性をむき出すんだよ」
道はでこぼこ。こぶし大の石が転がり移動が大変になるという。
「石なんてよければいいじゃないの?」
そういうと、朝美氏は甘い甘いと指を振り
「河原のように石だらけの所もあるし、疲れてくるとそんな石を踏んだり蹴とばしてコケるんだよ」
こればかりは実際に登ってみないとわからないだろうなぁ。とマウントをとるような顔で朝美氏は言う。
「しかもね。急な坂がない代わりに長いつづら折り…ジグザクの坂道を何度も行ったり来たりするんだよ。同じ景色ばかりの道をね」
箱根電車みたいに前進とバックを繰り返して鬱蒼とした森の山道を登るのを繰り返す。
これは意外と精神的にもきついらしい。
「そんな道を5kmくらい歩いているとね、山頂らしきものが見えてくるんだ」
目標が見つかると人間やる気も出てくる。
標識も『あと2km』などとカウントダウンをしてくれる。
「でも、そこでおかしなことに気が付くんだよ」
「おかしなこと?」
あと500mと書かれた看板であと200mの『高さ』を登る事に気が付く。
ところが先に進んでも、距離は縮まるが、高さはそれほど縮まらない。
「それって、もしかして…」
「うん。90度近くを登る事になるんだよ」
最初は2mクラスの岩が5つくらい並んだ崖をよじ登るらしい。
それからも1m進むと5m登った事になるような難所が続き、後100mが永遠の距離みたいに感じられる。山頂への手前は鎖でよじ登らないと登れない斜面と言うか崖がお迎えしてくれたという。(近況ノートに写真掲載)
「話にすればさらっとだけど、実際は2時間ただ歩いているだけだからね」
別府の観光地の一部として一度は登らなければ、という使命感がなければ絶対あきらめていたほど、それは辛い山らしい。
それを登ると西峰と東峰という二つの山頂に分岐する看板があるという。
「東峰は比較的楽でも、そこから先に進むと一部道が崩壊している。西峰は単純に崖の連続で、崖から落ちたら火口跡の10m下に落ちる感じだったよ(近況ノート2に掲載)」
この二つの山頂を写真に撮ろうと思っていたので、朝美氏は果敢にも西峰に挑戦しようとしたらしい。
「ここまできついと、二度と登ることはないだろうし、ここで西峰を登らないと一生見ることもないだろう。その時はそう思ったんだよね」
懐かしそうに朝美氏が言う。
なるほど。山頂までがきつかったら、もう次に登ることはないと思って、全部登ろうと考える人が出てもおかしくはないだろう。
それだけ険しくて危険な山らしい。
決して、5秒で登山を決めて、下準備もせずその日のうちに登るような山ではないというわけだ。
ベテランでも運が悪いと転落して死ぬ危険な山。由布岳。
山登りの調査の重要性を感じさせる話だ。
そこまで、考えてふと思った。
「だったら、あなたは何故、止めたの?」
朝美氏は、もったいない精神と、無駄に体力がある上に好奇心の固まりみたいな人間である。
一度登ったなら、すべてを写真に収めないと気が済まない、この野生児がいかない訳がない。
「うーん。その日は山頂が曇ってたから風景写真が撮れなかったんで、そこまで無理したくなかったのと、意外と障子戸に行くまでも大変で、命の危険を感じた。というのもあるけど…」
「その程度で止めるタマだったかしら?貴女」
「いや、さすがの私でも一応命の危険があったら止めるよ?」
心外だと言わんばかりに言う。だが…
「で、本当のところは?」
そんな理性、ある分けないのは短いつきあいながらわかる。
もっと別の理由があるのだろう。
「…ったの」
「ん?」
それは小さな声だったので聴き返す。
すると、躊躇したあとに朝美氏は恥を忍んで言った。
「届かなかったの。鎖どころか手前の岩まで。手が。」
背が小さいから。
…………なんか、ごめん。
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実際は6月か7月の少し涼しい時期に、一度挑戦し、麓の山小屋(まだ入り口)で、引き返したためいつか登ろうと思っていた場所でした。
実際に登ると麓は景色が単調。長い距離を歩いて、あと200mで標高100mを移動するという看板を見たときは「これ、距離足りるんかな?」
と、思いましたが、そこからは鎖付きの崖や斜面、大岩を登るクライム登山となりました。
こういう急に険しくなる山を男山と呼ぶそうです。
(全体的になだらかな高崎山みたいな山は女山)
で、山頂でもっていた水を半分と、食料のひよこサブレ1個を消費し、お鉢巡りをしようとしたが、とても危険な場所だったため諦めて帰りました。
誤字じゃなく、半日で帰るつもりだったのでお昼ご飯なしのお菓子一つだけしか持ってませんでした。
そのため、東峰山頂到達だけであきらめたのですが、あそこで無理して進んでいたら私も火口跡に落ちていたかもしれないと思います。
もしも由布岳に登ろうと考えている方がいるなら、高崎山(南口)か扇山あたりから練習することをお勧めします。
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要約。
☆由布岳は、山頂の火口跡を一周する際に、障子戸という難所があります。
鎖をつかみ損ねたり、足を踏み外せば10m下に滑落する危険地帯です。
が『せっかく大変な思いをして登ったんだから』とか、『他の人が進めているから自分も』と、無理をして移動すると落ちて大けが、下手をすれば死亡する場所です。
もし登るなら、一度『由布岳 障子戸』で検索し、どのような場所か見てから計画を立てる事をお勧めします。
大別府☆観光大臣物語~別府百景・大分千景~ 黒井丸@旧穀潰 @kuroimaru
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