王道、というより、ほのかにダーク。
人間の陰の部分が描かれる、どちらかというと大人向けのストーリー。
自分はダーク・ファンタジーと感じたぐらい。
陰があるからこそ、陽が際立つ。
力は、扱い方次第でどちらの側面にも転ぶ。
空想の世界の物語でありながら、ご都合主義の現実ものより圧倒的リアリティをもって訴えてくる。
クールで陰のある、玉にきずな世間知らずさがウリ(?)の青年サナト。
しっかり者のようで度々サナトに調子を崩される、大いなる目的のために旅する少女レラ。
二人を中心に、精霊と、妖魔と成り果てたモノ、そして気になる「竜」の存在。
タグについた「ハッピーエンド」を一体どう迎えるのか。
気になったあなたもぜひこの物語の旅に出よう。
精霊がいる剣と魔法の世界…これだけの説明なら、よくあるハイファンタジーですが、この作品の一味も二味も違うところはその緻密な世界観。
特筆すべき部分としては、まるで魔法というものが実在するかのようなのです。そして理論が説明できるほどに詳細に組み上げられていて、呪文も取ってつけたようなものではなく、言霊としてリアルな世界でも作用するのではないかというぐらい、よく出来ています。
そのような独特の魔法観は、魔法はこういうものであるという漠然としたイメージを持つゲーム世代には理解が難しいと思いきや、物語の中で少しずつ抵抗なく知って行く事が出来ます。
そしてこの魔法にまつわる問題が、彼らの前に立ちふさがり。
妖魔との戦い、魔拯竜の謎など、物語の中で目を離せる場所がありません。
街や文化についても、サナトとレラの旅を通して、体験するように理解できてしまって、気付いたらわかっていた、知っていたという状態になっているという。
気付けば没入して、彼らとこの世界を旅しているように感じられる作品です。