無題 三十と一夜の短篇第50回

白川津 中々

 毎日毎日飽きもせずくだらん戯言を書いている貴様はとことん間抜けていて見ていると腹の底から大きな溜息が出てしまう。何かになれると思っているのか? 何者かに変身できると夢想しているのか? そんな様でどれだけ経った。どれだけ時間を犠牲にした。その間にお前は何を得たというのだ。何も得てはいないではないか。日がな一日ぶつくさと文句を吐きながら腐れていくだけの人生にどのような意味があるのか足りない脳みそで考えてみるといい。あれが駄目だこれが駄目だと言うばかりで少しも自助努力のない堕落思考に染まった人間など死人にも劣ると何故気づかない。いや、気づいているはずだ。気づいていてなお貴様は下の下に朽ち果て堕ちているのだ。そんなもの俗人以下の屑であると分かっていながら貴様は這い上がろうともせず一々もっともらしい軟弱な言い訳に逃げ自身の怠惰から目を背け都合のいい言葉だけに耳を傾け横たわるのは貴様が全て分かったうえで怠けている屑だからだ。貴様は自身が不孝でないと気が済まないのか。つくづく度し難い馬鹿者め。世を見ろ。周りを見ろ。人を見ろ。お前と同じ歳の人間は皆額に汗を流して金を稼ぎ嫁と子を養っているではないか。立派な家もあれば服も上等。それひきかえ貴様はなんだ。ボロの借家に安物ばかりを纏って恥ずかしくはないのか。いったいいつ立ち上がるのだ。いつまともな人生を送れるのだ。そのまま五十、六十となるのか。惨めな老人として死んでゆくのか。それならば生まれぬほうがまだましだったではないか。何故貴様は生きているのだ。何のために貴様は生きているのだ。ただ糞を放り寝るばかりの人生に何の意義がある。ならばいっそ死ね。死んでしまえ。貴様のような奴は生きているだけで毒になるのだ。せめて人様のために散るべきだ。潔く、早急に。





 そうだ。

 俺は、死ぬべきなのだ。

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無題 三十と一夜の短篇第50回 白川津 中々 @taka1212384

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