第48話 ラノベを読んでたおかげでハーレム王になりました
二週間後の閣議で、俺はいつものように改革の進捗状況を報告していた。
あの事件以来、ミイネも閣議に参加するようになり、役者がそろってきた感がある。
「というわけで、早くも新札は旧札に取って代わりつつある。俺からは以上だ」
「流石はショウタなのです」
「財務大臣をやらせても一流でありますな」
「流石はワタシの夫」
「そう褒めるなよ」
俺がナナミとカナ、それにミイネに照れ笑うと、オウカが神妙な声を上げた。
「ああ、本当に見事な手腕だよショウタ……私よりも、遥かにな」
妙な言い回しをするオウカに、みんなの視線が集まった。
「皆、聞いてくれ。先の事件に伴い、ずっと考えていたことがあるんだ。我々がこの国のトップに立ってから四か月、私はいかにして国王派の残党を殲滅するか、そればかり考えていた。先日のヒトシたちにも言った通り、立ちはだかる障害は全て駆逐してやるとな。だが、ショウタは一発の銃弾も使わず、平和の内に残党たちの活動を鎮圧してしまった」
苦い事実を、耐え忍んで呑み込むように眉根を寄せて、オウカは吐露した。
「今回のことで良く解った。私は、引き金を引くことしかできない女だ。大統領の器ではなかったのだ」
「そんなこと言わないでください。姉様は立派です!」
「その通りです! オウカ殿は我々の偉大なる指導者です!」
「よしてくれ、惨めになる」
手でナナミとカナを制して、オウカは自嘲気味に息を漏らした。
「パシクのためと言って多くの政府関係者を殺して、パシクとは無関係の日本航空機をハイジャックした。私は、革命家気取りのただのテロリストだ」
革命は、常に無血開城とはいかない。
けれど、オウカは自身を責めるような、らしくもない、しおらしい態度だった。
そんな彼女の姿は見たくなくて、俺は言った。
「なら、俺を頼れよ。お前にできないことを俺がやる。自分にできないことは仲間に任せる。それがチームだろ? 俺が何もできなくて辛かった時、オウカも言ってくれたじゃないか。これは自分の領分だって。オウカの足りないところは俺が埋めて、支えて、そんで、新政府を上手く回そうぜ」
ナナミやカナ、他の隊長たち、ついにはミイネまで、その通りだと励ましの言葉をオウカに投げた。
けれど、オウカは首を横に振った。
「ありがとう。皆の気持ちは嬉しい。だがな、私はもう悟ったのだよ。本当に大統領に相応しい者が誰なのか」
らしくもない、弱々しい声で、オウカは俺へと振り向いた。
「ショウタ、私はこれから防衛大臣を務める。今日から、君が大統領だ」
「……………………………………………………へ?」
「自分に出来ないことは仲間に任せる。それがチームだ。だからな、引き金を引くことしかできない私は防衛大臣になる。そして、人心掌握術に長けた君に、大統領の椅子を任せたい」
――えぇえええええええええええええええええええええええええええええ!?
「いやいやいやいやいや! ちょっと待てよ! 俺17歳! 高校生!」
「私も18歳だし五大臣を兼任できるなら資格は十分だろう」
「んなわけないだろ! おい、お前らも何とか言えよ! ナナミ、俺の部下なんていやだよな?」
「いえ、最近の私は貴方の秘書みたいなものですし。それに、まぁ、ショウタなら歓迎しますよ」
ポッと頬を染めやがった。
「カナ、お前のリーダーはオウカだろ?」
「はい、なので自分はオウカ殿の決定に従います。それにリーダーと大統領は別ですし」
「別なのかよ! ミイネ、パシク国の主権者が外国人なんて駄目だよな?」
「ショウタが大統領かぁ……なら、将来ワタシとショウタの子供を次期大統領にするのもアリね。えへへ」
「ミイネぇ~」
俺が力なくうなだれると、オウカが俺を抱き寄せ、至近距離で見つめてきた。
「というわけで、私は君のファーストレディだ。国が落ち着いたら、結婚式をしようではないか」
「ちょっとズルイわよオウカ。ショウタとはワタシも結婚するんだから」
「ショウタ殿は尊敬できる殿方ですし、自分もご一緒します」
「ね、姉様がおかしなことをされないよう、近くで見張るためにも、わた、私も結婚してやるのですよ。あと、この国に拉致った責任を取って、私が幸せにしてやります」
オウカ、ミイネ、カナ、ナナミの四人が、四方向から俺に抱き着き、引き寄せようとしてくる。
他の隊長たちも、恋する乙女の眼で盛り上がっている。
ツッコミをいれたい。
なのに、女の子たちの匂いと体温、やわらかさに包まれると、得も言われぬ快感に、どうしても抗えなくなってしまう。
俺は、心の中で、あきらめの境地に達した。
どうやら、俺の日本帰国は、まだまだ先になりそうだった。
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達成です。皆さん、全力でありがとうございました。
感謝ページですが、一部から、本文が読みにくい、ナドの意見をいただいたため、省くことと致しました。
私は、サイン本を書く時も一冊一冊すべてに、違うコメントを添えるなど【読者へ感謝主義】の作家なので、感謝ページもその一環でした。
しかし、それで本文が読みにくく、作品を楽しみにくくなっては本末転倒です。
けれど皆様への感謝は変わりません。
読んでくれた人、フォローしてくれた人、★や♥をつけてくれた人、コメントをくれた人、皆さん、ありがとうございました。
美少女テロリストたちにゲッツされました! 修学旅行中にハイジャック!? 鏡銀鉢 @kagamiginpachi
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