感情は何処へ、欲は何処へ

笹原絢斗

序章 「感情」という生命体の誕生

ある日、世界は崩壊した。何の前触れもなく、突然に。


人間や動物、植物も大海も大地も何もかも、感情のある生物、または感情が宿っていると思われてきたものはすべて滅んでしまった。


そして死んだ生物と死んだ自然は、人間の言う天国のようなところに集められ、「審判」と呼ばれる存在に死んだ物に対して地に逝くか、天に逝くか判決を下される。審判の言う通りに従わなくてはならない。


しかし、人間という生物として死んだ物たちは審判の判決に対して納得がいかなかった。


審判の前で、怒り狂った人間。

      ただただ泣きじゃくって縋ってきた人間。      

      「何でもするから」と誇りをいとも簡単に捨てた人間。

      愛していたはずの存在を生贄に差し出して自分だけ助かろうとした愚かな人間。


人間だけ異様にこんなに愚かで滑稽な物ばかりで、その様子に「審判」は無様で哀れに思ったそうだ。

このままでは、この世界まで崩壊してしまうと感じた「神」は理解した。


「人間という生物は{感情}に支配されているから愚かに見えてしまうのだ。」と。



そして、神は人間を一人残さず葬り去った。


人間を消した後、神は新しい世界と存在を作ろうとした。

今度は人間のような哀れで、愚かで、醜い存在ができないように。


新しい世界と新しい存在を生み出した後、それらはどうなっていったのか。


新しい存在自身もその例外も誰も知らない。



これは、感情と欲望という名の存在が生きる世界ーーーーーーーーーーーーーー


そして、「無」と「有」の二人の物語ーーーーーーーーーーーーーーー








本編へ続く。











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