異世界転生、最強職のテンプレートのようなものがあるとしても、話の流れ、舞台装置のような、想像しやすいための工夫として使っているだけで、有り触れたという言葉からは無縁の作品であると思います。
テンプレートのような異世界転生には、ステータスと称して数字が出てくる事が多いように感じますが、それが一切なく、描写のみで強さを表現している点など、流石だと感じる事、度々です。分かり易くするために陳腐な手段に頼らず、噛み砕いて分かり易くしていると感じさせられました。
書いていて楽しい事と、読んでいて面白い事は往々にして乖離してしまうものですが、それが一致した希有な物語である事は間違いありません。
良かった点
①一つ一つの設定
物事それぞれに設定を込めており、よくある「異世界転生して神様チートだひゃっほい!」とは一線を引いています。後述しますが、それが良い方向にも悪い方向にも生きてくるので、塩梅と匙加減を調節するとさらに良作になると思います。
②ステータスに頼らない
私の好みの問題で恐縮ですが、異世界モノで「ステータス!」とか出てきた瞬間に読むのを止めるんです。その数字が役に立った事例を知りませんし、文字数稼ぎにしか見えないからです。
御作では職業的な区分けは厳密にされていますが、力の数値がどうこう~といった余分なものをそぎ落としており、好感が持てました。
気になった点
①過ぎたるは及ばざるがごとし
目を引いたのはパロネタでしょうか。
あれがはいるとその都度現実に戻るので、読書の阻害になるかなと感じました。万人に理解されやすい反面、没入感を妨げるので多用はしないほうがよろしいかと思います。
②人物名
多いです。個人的に、10万字の小説で読者の心に印象付けられる登場人物は、5人くらいかなと思っています。
○○所属の××だ。○○は△△という経歴で~。
上記の描写が散見されましたが、読者の印象により残るのは、○○さんのエピソードなり癖であったり、行動の美学かと。
例)貴族生まれのAは必ず毎日大衆食堂に行く。そこの空気を気に入っているのもあるが、何より自分が子悪党になった気分を味わえるからだ。
「軽いの頼むわ」
だからいつも下品な注文の仕方をあえてし、貴族社会の生真面目さを拭おうとするのだった。
即興で書いてみましたが、Aという人物の掘り下げのとっかかりにはなるでしょうか?
脱線しましたが、名称の羅列は読者にとって優しくない とうことを言いたかったのです。
③これを言うとだいなしかな?
→FFT+FE
邪推です。ごめんなさいね。
世界観の構築を一生懸命工夫された形跡があるので、あとは人物描写をうまく調整すれば、より魅力的な物語に仕上がると思います。
そして、物語に目的を持たせた方がよいかと思います。
よく知らない人の日常よりも、明確な目的があり、それに向かって邁進する姿の方が応援できるからです。
言いたいことを書きなぐって申し訳ありませんでした。
よろしくご査収くださいませ。
おいげん