スペース・ヌードル・クルセイダーズ 銀河帝国によってパスタ・ラーメン宗教戦争が平和的に解決するまでの記録
灰鉄蝸(かいてっか)
パスタ・ラーメン宗教戦争
人類が地球から巣立って一万年――銀河は恐るべき戦禍に包まれていた。
とある星では今、ヌードル・クルセイダーズと呼ばれる侵略的宗教戦争によって、ラーメン民族が根絶やしになろうとしている。
数千隻の宇宙艦隊はいずれも一〇〇〇メートルを超える巨大な宇宙戦艦であり、山ほどの荷電粒子ビーム砲と熱核弾頭を抱えた戦闘艦だ。衛星軌道上から降り注ぐビームの雨が、容赦なく都市を焼き払っていく。
何故、こんな惨劇が起きているのか。
答えは簡単である。
奴らがラーメンを食べているからだ。ビームによる爆撃が終わった後は、降下艇から降り立った聖アラビアタ騎士団の装甲陸戦隊――海賊風の格好からもわかるとおり
方針は皆殺しである。
「殺せ! 薄汚いラーメン人種どもをこの宇宙から根絶やしにしろ!! 青き清浄なる宇宙のために!!」
「汁を吸って伸びきった寄生虫じみたラーメンを食す劣等人種め! きれいにしてやる!」
「ラーメン人種はケツの穴からラーメンをひり出すらしいな、死ね!!!」
「そんなにチャーシューが喰いたきゃテメーが焼き豚になれやぁ!!」
ウジ虫めいたラーメン愛好者どもはラーメンの食べ過ぎで肌の色が濃いという宗教的解釈に基づき繰り広げられる人種差別的虐殺。色素が濃いのはラーメンを食べているからである。もはや、殺す以外の救う手立てはない。
熱核プラズマミサイルをたたき込み、逃げ惑う市民を蒸発させながらスパゲティのおいしさを絶叫するのは従軍神官だ。
ミートソースもカルボナーラもペペロンチーノも美味しいし、スパゲティを食べると徳が積めるのはローマ・カトリック皇帝からも明らかである。歴史を学ぶのだ、ナザレのイエスもパスタを食べていた!
やはり美味しい小麦の消費方法はパスタしかない。
――パスタの洗礼により、ラーメン劣等人種を根絶やしだ!!
一方その頃、パスタ食文化のとある星系でも虐殺が繰り広げられていた。具体的にはラーメン派艦隊による軌道爆撃と略奪と虐殺である。
侵略よくばり三点セットだ。
食べ盛りのお子様も大満足である。ラーメンにチャーハンと餃子をつけて炭水化物を山盛りにする伝統的作法のように。
「おい女ァ! パスタを食って妊娠したガキか? ギャハハハハ!! 焼きパスタにしてやれ、火炎放射器を用意しろ!」
「一家惨殺ミートソース、いっちょ上がりだぜ~!」
「もしもしお嬢さん、俺の股間のカルボナーラ汁はいかが? オラッ生クリームだ!」
「パスタ人種はソーセージみたいにぷりぷりしてやがるなあ、オリーブオイルでアヒージョしてやる!!」
「ヒャハハハ! もう我慢できねえ
老若男女も差別しない。もちろん妊婦も殺戮だ。パスタ人種は罪深いから仕方ない。
パスタ愛好者どもの肌の色を見るがいい、白も黒も黄もみんなパスタ野郎である。かかっているソースが何色でも同じパスタ、この宇宙から根絶すべき悪である。
対人自動攻撃弾の高周波振動触手がパスタ生地をこねるように人体を切り刻み、従軍神官は聖ヒバゴンの奇跡によってこってり系ラーメンがこの世に生まれた瞬間を高らかに謳い上げる。
これでわかっただろう、ラーメンこそ至高の食だと。
――神を崇めよ、ラーメン!
◆
銀河は今、二つの勢力によって戦争が繰り返されている。
世界宗教スペース・ヌードル・クリエイター教の内部で起きた分裂、パスタ派とラーメン派による戦争は三〇〇年以上続き、治安もめちゃくちゃになっていた。
スペース・ヌードル・クリエイター教の成り立ちは古く、人類の本格的宇宙進出以前、古代地球時代に遡る――身も蓋もないことを言えば、地球時代にはフライング・ヌードル・モンスター教と呼ばれていたインターネット・ジョークの成れの果てである。
かつて宗教的権威を揶揄すべく作られたインターネット・ジョークであることなど、発祥から三〇〇年も経てば忘れ去られていた。
かくして人類の宇宙進出から一万年後、人類の宇宙進出は、銀河中に様々な文明圏を築き上げ――スペース・ヌードル・クリエイター教は銀河を支配する超巨大宗教勢力となった。
古代宗教であるキリスト教・仏教・イスラム教などはなんやかんや(銀河文明における検閲をにおわせる表現。なんやかんやはなんやかんやである)あって衰退、今ではアニメでかっこいい名前を使いたいときの元ネタぐらいにしか思われていない。
ちなみに今、銀河で人気の冒険アニメの主人公はゴータマ・ナザレ・ジブリールという。
得意技は侵略戦争と民族浄化で銀河中で流行ってる要素を取り入れていてマーケティングもバッチリだ。
男児も女児も夢中のため玩具も馬鹿売れであり、玩具メーカーはこのアニメの一三シーズン目を作るためアニメ規制を訴えた星間国家を隕石爆撃で滅亡させた。ざっと四〇億人ほど死んだが、銀河ではよくあることである。
あの表現規制は行き過ぎだったから仕方ない、というのが銀河の一般的見解である。
DX村焼きセットやDX改宗拷問セット、人体実験お医者さんごっこや毒ガス散布セットなどの売れ行きが好調なのは、この先行き不透明な銀河において数少ない明るい話題なのだ。
子供から希望を奪うような惑星は滅ぼすしかない――とは件の玩具メーカーがスポンサーの銀河ニュースサイトの人気司会の言。
閑話休題。
この恐ろしい戦争の背景にあるのは、些細な食文化の断絶ではない――地球時代、パスタとラーメンは共存していたのだから。
根深い闇の正体は大きく分けて三つ。
人種差別と文化摩擦と経済支配である。
スペース・ヌードル・クリエイター教が銀河宗教となり、世界各地の宗教――三大宗教と呼ばれたキリスト教・仏教・イスラム教のエッセンスを多数取り込んだヌードル経典を発足させたというのがSNC教の歴史観である。
インテリジェンス・デザイン論と進化論と世界宗教をミックスし矛盾のない銀河聖書を書き上げた超銀河預言者は、なんやかんやあって銀河中にスパゲティ・クリエイター崇拝を広めることに成功したのだ。
もっとも超銀河預言者に懐疑的な知識人の間では「史上最悪の詐欺師」「太陽系とバーナード星系の星間戦争の元凶」「人類史上に類を見ないカルト指導者」とボロクソに言われているわけだが。
ともあれ拡大したSNC教は、世界宗教の多くがそうであるように信徒の食生活を指導した。正しい食生活を心がける信徒のため、食糧生産を担う農業プラントや食品工場、超光速航法を利用した流通インフラの整備を担ったのがSNC教資本の企業体である。
一説によれば、SNC教の拡大背景にはこの食糧供給インフラの整備が関わっている。
地球政府の政策によって銀河移民が盛んになり、宇宙の大航海時代が訪れたはいいものの、その惑星植民者たちへの支援政策はお粗末なものだった。食糧どころか電気さえ不足するような極限状況も珍しくなかった当時、SNC教の教えを受け入れれば、食糧支援を受けることができた。
スパゲッティ・モンスターなる怪物を崇めるジョークだった新興宗教が巨大化しSNC教となった背景には、この超巨大食品産業と流通業があったのである。
SNC教の支配下にある星系は、宇宙経済に深く食い込んだ暗黒
食糧という生命線を握られたSNC教徒たちは、当然のことながら名目上の植民地政府よりもSNC教会の方を重要視するようになる。
段階を踏んで、行政も司法もSNC教の傀儡となっていく。
こうなれば立派な独立国家と言えよう。
独自の警備艦隊さえ持つようになったSNC教は、地球政府の統一秩序から逸脱した存在だった。
太陽系ではおかしなカルト宗教に過ぎなかったSNC教は、こうして
勢力拡大の裏では地球政府中央情報局との暗闘があったものの、おおむね、事態はSNC教に有利に進んでいった。
世界三大宗教の過激派を名乗るグループによる要人暗殺事件、市街地での爆弾テロ事件――これらが実際にはSNC教の工作員によって引き起こされたものであるという学術的研究が近年発表されたが、SNC教からのコメントはない。
ともあれこういった時代を経て銀河宗教となったSNC教は、食文化そのものを支配するようになっていた。SNC教が覇権を握るにつれて表面化したのは、この食文化と絡みついた主導権争いであった。
設立者や運営者、背後にある超巨大企業体含めて旧アメリカ・旧ヨーロッパ系の人種が支配的なSNC教の既定する食生活は、当然、その西欧文化圏のそれに近い。
SNC教の勢力が拡大するにつれて、この統制に揺らぎが生じていた。
SNC教徒数百億人――将来的には一〇〇〇億を超えるだろう――の胃袋を支配することで生まれる利益は、想像を絶する額である。
この利権に目をつけたのが、SNC教において新参もの――アジア系植民者が多く属する星系と、その民族資本で設立された企業体である。
地球圏でいう中南米などの植民者、ラテン系文化圏の企業も取り込み、巨大化した新興企業群のグループは独自色の強い食文化を肯定するSNC教ラーメン派を設立。
互いを異端と呼び合い、殺し合うまでに時間は要らなかった。
元々、SNC教内部で人種差別的傾向が強かったこと、異民族に食糧配給という生殺与奪を握られることへの忌避感、天文学的規模の富を生む利権――すべてが密接に絡み合い、SNC教の宗教対立は激化した。
その成れの果てが現在の末期的銀河の有様である。
パスタ派とラーメン派は互いの支配地域にある惑星を軌道爆撃で焼き払い、億単位の虐殺を繰り広げ、文明を荒廃させることが恒常化している。
◆
燃えるような赤毛の少女が、軌道ステーションの通路を歩いていた。
美しい娘である。ハイティーンほどの容姿ながら、強い意思を秘めた両目はその気性の苛烈さを見るものに想像させた。
ポニーテールの赤毛をまとめる髪飾りは竜の翼の形。竜の意匠をあちこちにあしらった戦闘服と家紋は、彼女が銀河有数の軍閥の有力者であることを示していた。
その長身の肢体は豊満だった。
彼女の名はナポリア・サイゼリアーノ。
スペース・ヌードル・クリエイター教パスタ派の宗教騎士団の聖ネッシー騎士団の団長である。二億年の時を超えて復活したネス湖の奇跡で知られる聖ネッシーは、ラーメン派の聖ヒバゴンと並んで人気のある聖人だ。聖ネッシー騎士団の紋章が不滅竜ネッシー・ドラゴンであることは周知の事実である。
強力な宇宙艦隊を有する聖ネッシー騎士団は、今のところ事実上の中立――聖都スパゲティアの守護を名目に艦隊戦力を温存――の姿勢であり、この銀河を二分するパスタ・ラーメン戦争においてその動向が注目されていた。
若くして武人と名高いナポリアが不機嫌なのは、長いこと音信不通だった幼馴染みのせいである。
――なんてやつだ。
半年ぶりにいきなりアポなしで呼び出し。
無礼すぎる。無礼打ちしたいぐらいムカつく男だ――それでも多忙な時間を縫って指定された時間に会いに来たのは、友人としての情ゆえである。
決してナポリアが件の男を好いているからではない。
軌道ステージョン内部の来賓用レストランに、その男はいた。
相変わらずの人を舐めた風貌。眠たげな顔つき、口元には
「やぁナポリア。ちょっとキッチンを借りているよ」
「タタンミェーン、何の用だ?」
青年の名はタタンミェーン・ジロウスキー。ナポリアとは幼少期からの付き合いであり、SNC教パスタ派ではサイゼリアーノ家と同じ穏健派に属しているジロウスキー家の次期当主である。
名字からもわかるとおり、タタンミェーンの先祖はラーメン派の母体となった人種の出身であり、パスタ派勢力圏では肩身が狭い。しかしジロウスキー家は豪商であり、パスタ派の貴族めいた複雑怪奇な政治の場においても一際存在感を放っている。
混血によって人種的特徴など薄れた銀河文明になっても、人は出自に縛られる。ジロウスキー家は軍閥を名乗れるような宇宙艦隊を有してはいないため、経済的後ろ盾を欲したサイゼリアーノ家とは同盟関係にある。武力ではサイゼリアーノ家が、経済ではジロウスキー家というわけだ。
そういう親同士の思惑もあり、いつの間にか婚約まで結ばれている二人だが――ナポリアはこの幼馴染みのことがよくわからない。
タタンミェーンは、世間的には放蕩息子である。
なんだかよくわからない事業を始めて成功させたかと思えば、深宇宙探査なんて山師のやることにその利益を突っ込んで大赤字をたたき出す。
ジロウスキー家全体では手堅く儲けを出してはいるが、タタンミェーン個人の評判に限って言えば、道楽息子の一言に尽きた。
しかしナポリアは彼のことが嫌いではない。
「婚約者殿は短気だなあ。うん、まあ飯でも食いながら話そうか」
人払いをしたレストランを貸し切って、キッチンから出てくるタタンミェーン。この男の立場で手ずから料理をすること自体、相当な変人の証明なのだが。
その手にあったのは見慣れたレトルトパックと、蓋がされた陶器の皿だった。
「……私を呼び出して、レトルトパスタを食べさせるのが貴殿の仕打ちか?」
よし、こいつ殺すか――そんな殺気を飛ばすと、タタンミェーンは席に着くようナポリアに促す。
「まあ、ものは試しでね。実はこの間まで旅行してたんだけど、旅行中に食べた奇妙な料理がやみつきになるほど美味くて背徳的なんだ」
「タタンミェーンよ、私は暇ではない」
「うん、ありがとうナポリア。君はやはり容姿のみならず心まで美しい」
心にもない歯の根が浮くような世辞を言う男だ。
まったく許せない。
ナポリアは赤面しながらそう思った。
「そんな美しい君に、これを食べて欲しい」
そう言って、皿の蓋を開けるタタンミェーン。
そこにあったものに、ナポリアは絶句した。挙げ句、それにレトルトパックのパスタソースをかけるではないか。
「い、いま……何を」
「なにって。パスタソースを
ナポリアは戦慄した。
スペース・ヌードル・クリエイター教パスタ派はもちろんラーメン派も瞬時に異端認定をして見せしめの公開処刑を行うこと請け合いの蛮行である。
「知っているかな――ラーメンスープにスパゲッティを入れるのも美味いんだ」
「バカかお前、異端だぞ!」
まさに神をも恐れぬ凶行、ジロウスキー家が破滅することもありえる行いである。人払いをしたサイゼリアーノ家の軌道ステーションでなければ、話題にすることもはばかられるというのに。
そしてタタンミェーンの奇行とその真意を読み取ることに長けているナポリアは、彼の真意がなんであるかに気づいてしまった。
「……パスタソースとラーメンヌードル、スパゲティとラーメンスープの融合、そうか……お前、覚悟を決めたのか」
「うん、まあね。ナポリア、そろそろ僕らは日和見をやめるときだと思うんだ」
星間企業体と癒着した宗教勢力による洗脳は、いつしか、仕掛け人の側の資本家と宗教家自身を汚染してしまった。数世紀にわたるプロパガンダの代償は、
それを終わらせようと、少女の幼馴染みは言っていた。
「これまで僕はいろいろな方面に根回ししてきた。ジロウスキーは新参者だけどカネはあるし、サイゼリアーノのコネも合わせれば勝算はある」
この戦争を終わらせる決定的な大決戦――誰もがそれを必要としていながら、誰もがその責任から逃げてきた茨の道。
それを背負うと言い切ったタタンミェーン・ジロウスキーはにやりと笑う。
「僕は銀河中の美味を食べたいんだ。しかし今の銀河ときたら、ラーメンを食べるかパスタを食べるかで殺し合いが続いている。SNC教のラーメン派もパスタ派も、自分のところの商品を売りつけたい商売人の傀儡ときてる。僕はね、ナポリア――」
まるで一世一代の告白をするように、タタンミェーンは少し早口で汗ばんだ掌を握りながら、はにかむように微笑んだ。
「――君と一緒に自由で美味しいスパゲティを食べたいんだ。一つになった銀河で、君のためだけに美味しい料理を作るよ」
パスタ派とラーメン派が相争い、互いを異端と罵り合うこの時代、レシピは伝統的で画一的なもの以外認められていなかった。
地球時代に花開いた多国籍・無国籍的なレシピは失われて久しい。自由で美味しいパスタが食べられる世界とは、この銀河が統一された夢物語のような未来にしかないのだ。
お前のために宇宙を統一すると言い切った大馬鹿もの――まったく、どうしようもない道楽息子もいたものだ。
「婚約者の宇宙艦隊を当てにしていう台詞ではないだろう」
「ダメかい?」
ナポリアは皿の上の背教的物体、パスタソースのかかった異端の麺料理を眺めながら、ため息をついて。
ガラにもなく緊張している幼馴染みに微笑みかけた。
「……粉チーズを山ほどかけて、美味しいスパゲティがいつでも食べられる世界なら大歓迎だよ。それと、だな……」
これだけは乙女の純情として譲れない一線を告げた。
「告白はいずれきちんとやり直せ。銀河の平和のついでのプロポーズなんてごめんだからな」
◆
フォークと箸をクロスさせた国旗は、後年、パスタ・ラーメン銀河戦争と呼ばれる宇宙的暗黒時代の終わりを告げるものだった。
スペース・ヌードル・クリエイター教は第一三次統一遠征軍によってその長きにわたる分裂を終えて、銀河文明には安定期がやってきたのである。
銀河中でずたずたになったインフラが復興され、宗教対立や人種差別の解消へ向けて時計の針は進み始めた。
そういう時代を象徴するように、様々な料理が考案されたのは言うまでもない。
中でもトマト・ケチャップを具材とともに炒め、麺と絡めたスパゲティ・ナポリタンはこの幸福な時代の象徴とされている。
一説によれば、この銀河を二分した戦争を終結させた艦隊の功労者ナポリア氏にちなんだ食べ物とも言われており、彼女は生涯、この麺料理を伴侶とともに食すことを好んだという。
たっぷりの粉チーズとタバスコをかけて食すのがナポリア氏の愛した味で、これは帝国風ナポリタンとして名物になっている。
――かくして銀河統一政体、後世において銀河帝国とも人類帝国とも呼ばれる超巨大国家のひな形はできあがった。
銀河史上、類を見ない食文化そのものを支配する超巨大経済圏の誕生は、停滞していた科学技術の発達を推し進め、人類という種を新たな次元へと進化させる道を切り開いていく。
やがてそれは銀河全域を支配する知性体――超高度科学技術によって能力拡張した権力者たち、電脳貴族たちを生み出すことになる。
そして数万年後。
「諸君、今こそ我々パン派はラーメンだのスパゲティだのを食す帝国主義者に立ち向かうときだ!!」
「殺せーーー!!!! うどん野郎も同罪だ、ケツからカレーうどん作らせてやらぁ!!!!!」
「フジソバスキーを処刑しろ!!!」
「今こそカツ丼を主食とすべし!」
「コシヒカリこそ至高! ササニシキ滅ぼすべし!」
ナポリタンが帝国主義者の象徴として憎悪され、パン・ライス再生同盟によって統一ヌードル主義者への分離独立運動が始まるのはまた別の話である。
スペース・ヌードル・クルセイダーズ 銀河帝国によってパスタ・ラーメン宗教戦争が平和的に解決するまでの記録 灰鉄蝸(かいてっか) @kaigoat
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます