特別編

「Let's go together:鉄腕バーディー DECODE ED」 ラップの名曲は、「ココロオドル」だけではありませんのよ。

 今日も、高山たかやま 唱子しょうこさんとアニソンを熱唱する。


 今回一発目は、「Let's go together」だ。『鉄腕バーディー DECODE』のED曲である。わたしもめちゃ大好きな曲だ。配信がないんだよなあ。


「優歌さん、ノリノリですわ」


「ラップが難しいね」


「アニソンにおけるラップの名曲は、「ココロオドル」だけではありませんのよ」


『ユリ熊嵐』のOP「あの森で待ってる」や、『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』のED、「絶絶絶絶対聖域」にも、ラップパートがある。


「とくに二〇〇八年代は、まだアニソンと一般曲の間に深い溝がありましたわ」


「壁じゃなくて、溝?」


「ええ。まだわかり合うには、深い境界があったように思えます。米津玄師やLiSA、幾田りらが出てきた辺りからでしょうか。そこからは、アニソンが深く浸透したように思えます」


「アニソンといっても奥が深いよねえ」


「そうですわ。人によっては『こんなのアニソンじゃない! アニメを使ったPVだ!』とほざく輩もいるでしょう」


 たしかに熱心なファンほど、純粋なアニソンだけを求めてしまう。


「もっと自由でいいよね、アニソンって」


「その自由さこそ、我々が求めているものです。ですから、大島おおしま 優歌ゆうかさん」


「ん?」


「我々も、もっとわかり合ってしかるべきだと思うのです」


「わかるけど、カラオケボックスはイチャつく場所じゃないからね。しかもここ、めちゃ狭いんだよ」


 わたしたちのいるカラオケボックスは、ゲーセンの中にある。

 しかも、ヒトカラ用のボックスだ。

 昔懐かしい、電話ボックス並みに狭い。屋内配信用の防音室を、そのままボックスにした感じである。

 一曲一〇〇円の割に歌のバリエーションが多いのが魅力で、使ってみたけど。

 音が漏れないかしらん?


「音が漏れたって構いませんわ。我々の愛あるアニソンを、ゲーセン内に響き渡らせましょう」


「いや、メーワクだし。わたしたち、もう社会人なんだから。変なことがやりたければ、家でやりなさい」


 わたしたちは学校を卒業して、何年も前から一緒に住んでいる。


 とはいえ、イチャついているわけじゃないけど。


「そろそろ、心をひらいてくださってもよろしくてよ、優歌さん」


「いやいや。いいって」


 そもそも今日だって、夕飯の買い出しに来たのに。


「晶子さんがカラオケやりたい、って言うから」


「よいではありませんか、優歌さん。学生に戻った気分でしょ?」

 

「今は、学生を相手にする側だけどね」


 晶子さんは、女社長になった。

 

 わたしは今、学校の先生をやっている。

 

「それよりお腹が空いたよ。何が食べたい?」


「優歌さん特製の、お味噌汁がいいですわ」


「朝に作ったばっかじゃん。お夕飯!」


「じゃあ、ハンバーグと卵焼きを」


「OK」と、わたしは返事をした。


「今後もわたくしたちは、Let's go togetherですわ。優歌さん」


「いいようにまとめようとしなくていいよ、晶子さん」


(おしまい)

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