スペースオペラはかくあれかし

古典SFは、すなわち王道のストーリーであるが故に古典たらしめている。
こと、ラノベに置いての「SF」は『個性』の御旗のもとに奇をてらった作品や、「今風」なVRMMOネタが溢れている。

そんな中、この作品は紛れもなく『王道』であり、『古典』の香りがする『SF』である。

ワンルームから始まった物語が、スケール感を増し銀河レベルの広さに拡大していく壮大さ。ストーリーの凝り過ぎない伏線とその回収。謎めいた知性体に、定番でありながら不思議な技術。個性的でありながらも、近しげな雰囲気のキャラクター達。
なにより、一貫したキャラクター達の「考え方」がブレなくて、読後感がとても良い。

王道SFにありがちな「覚えにくい固有名詞」すら、フレーバーとして秀逸。

子供の頃に図書館で読んだ『SF』が好きだった人は、ぜひ読んで欲しい。
きっと、出てくるキャラクターの誰かを好きになれる。