第1話
第二次世界大戦後、高度経済成長が発展した影響を皮切りに、戦争で被害を受けた道路や、宅地造成地、線路の開拓といったあらゆる事柄が行われる事となったとたん、人間達は戦時中は生きる術を講じるため、もがき苦しみながらも、共に協力し合って、その時その時に直面する問題に乗り越えて来たのが、ひとたび状況が良くなると分かると、戦時中の時に経験した苦悩を忘れ、まるで手のひらを返したかのような振る舞いをする人間の言動に対して、いらだちを覚え始めた心優しく勇志あるケンタウロスの姿をしたみ使い達。
戦時中の最中においてたとえ軽べつや、迫害をもらたす行為が行われる事が起ころうとも、「情け容赦のない精神」、「思いやりに富む精神」、「正義感」という強い精神を反映する人情味豊かな事柄における局面が相次いでいたのが、その戦時中の時に経験した苦悩とは裏腹に、悪を愛する事を前提とした振る舞いをする人間達にあきれ返ってしまったため、植物が栄養分を欲しているのにも関わらず補う事ができず、枯れ掛かっているのと同様なくらい彼らは生気を失い掛けていた。
そして、その影響に誘発して、それまではケンタウロスの姿でみ使いという立場として君臨していた時に培った「優しい心」、「勇敢な性格」と同時に、精悍さのあった容姿が人体で言うなら、上半身が人間で頭髪は無数の毒蛇、イノシシの歯、青銅の手、そして腹部から尾の先までの下半身がアナコンダのように太い蛇と化したギリシャ神話に登場して来る黄金の翼を持つ「メデューサ」。という以前のケンタウロスからは、想像も付かない不気味な変貌へと皆、一瞬にして180度転換してしまった事とは対照的に、宝石のように輝かしい目を持ち、そのような目でありながら、見たものを石に変える能力を持ってしまったがゆえに、悪魔に近い存在に化してしまったという事に加え、座していた立場までをも失ってしまったのだった。
さらに、それらの局面だけではとどまらず、人間が直面する「困難」や、「苦境」、「逆境」、「悲痛」といった艱難辛苦で苦しみもがく者達の姿を眺め、それをエネルギー源としなければ、命がついえてしまうという生態へと変化してしまった。
そこで組織は命を存続を保たせるため、悪夢を意識と、潜在意識の境界領域より下に刺激を与えて、暗示を掛ける『サブリミナル効果』という要素に対し、悪夢をプログラムに置き換えて入力する専用のコンピュータでのプログラミングと、その作業が終えてから、専用のコンピュータによって、プログラム化させた悪夢を今度は、「ドリームメイキングプレーヤー」。という名を持つ機械の操作を行う事によって、闇の空間に切り替わるようプログラム化させる事と同時に、そのプログラム化させた悪夢を、人為的に見させる事を可能とさせた。
そして、その企てに功を奏したと悟ると、歯止めが利かなくなったその者達の考えは、エスカレートしてしまった影響に起因して、その局面だけではあき足らず、人為的に悪習を蔓延させる事を企てる「DISASTER COMPANY CORPORATION」。
<ディザスターカンパニーコーポレーション>という呼称する5人の存在で成るチームも構成した。
その組織は企てを確立させようとして、成功する可能性のあるあらゆる研究を続けていくと、地球を取り巻く大気の上層部にある「分子」や、「原子」、そして太陽からの『紫外線』といった物質に加え、エックス線によってイオン化となり、生成される『電離層』を用いる事で、気象を自在に操り変化をもたらす事により、企てが実証できるとして確証付けた。
そして、そのイオン化となって、生成される電離層を集めた結果として誘発する影響から、人為的に雲の動きや気候をコントロールして、多くの災害を引き起こす事が可能であるという結論に至った。
こうして、出力数100万ワットの高周波を構成できる装備を施した特殊なアンテナを作成する研究に着手に至ったのだった。
何100本にも及ぶその特殊なアンテナ数の作成に取り掛かった末において、「HAARP」。<ハープ>という呼称を持つ『高周波活性オーロラ調査プログラム』はこうして完成へと至った。
その同じ頃、万が一、肉体を亡きものと化す状況がたとえ訪れてしまったり、また、精神疾患をわずらっている者には、人為的のみならず、物理的な面からも、どちらにおいて、科学の技術により、治療を行える事を想定し、「知性」や、「知識」を生かさせる研究に着手し始めた1人の人物も存在していた。
その人物の名は、「アドレン・クラウディアス」という中年の男性だ。
彼は、「ソフトウェア」または、「ハードウェア」を動作させるために必要な「メモリの容量」、「ハードウェア容量」、さらに、「中央処理装置」で、「メモリー」や、「ハードディスク」と並んでコンピューターを構成するいわゆる『シーピーユー』の処理速度、「プログラミングにおける資源」、特殊なメモリ領域内に、「ウィンドウ表示」などを行う目的としての働きを持つ『ユーザーリソース』に加え、画面表示に使う「フォント」や、「ビットマップ画像」、「アイコン」など、グラフィックス関係に紐付く表示の情報を保存する『ジーディーアイリソース』の2つに加え、 多彩な機能を持ったアプリケーションをユーザー側の端末を通して、対話的に同様な感じの操作を可能とする機能といったこれらの多種多様な要素を、ひとくくりにして呼称する『システムリソース』であったり、ネットワーク上に保存領域を設け、いつでもデーターを保存したり、取り出したり、それが必要となるタイミング時にて利用できる「クラウドストレージ」というサーバーに対して、あらかじめ作成しておいた「システムリソース」の埋め込ませといった構築を、失敗や誤作動を繰り返す艱難辛苦の状況の最中これらの開発も成功へと結び付けたのだった。
「機械」と、「知性」と、「知識」の3つの要素をつなぐ先駆けの段階として、実験対象にあたる適正なネズミを捕獲する旅へ向かうため、頭脳明晰に加え、手先の器用さ兼ね備えている事から、ナロウボートも自作してしまった。
さらにその同じ頃、「サバイバーズギルト」という症状で苦しんでいる人と、来訪カウンセリングや、訪問カウンセリングをきっかけから出会う事ができ、それを繰り返していく中で、花や芸術をこよなく愛する人であるその事を知った1人は、臨床心理士で、いわゆる「心理カウンセラー」であるもう1人は、サイコセラピストで、いわゆる「精神療法士」という相手の心と向き合う事を職としているユイナー姉妹といい、姉の名は、「ニーナ・ユイナー」、そして妹の名は、「カナエラン・ユイナー」だ。
その2人の存在は、症状で苦しんでいるクライアントのため、気分転換という理由を含め、「”野外での治療を試みよう“」。と、行動に出た。
そのクライアントの女性の名は、「ミッチェル・ジョーンズ・ワート」という中年の女性だ。
彼女からしてみれば、単なるレクリエーション気分として、時を共に過ごす感覚で雰囲気に慕ってはいたのが、実際には、癒しの効果という面に期待を招かせる事で、知らず知らずの中で、自ずと精神を安定させるよう導かせるのが狙いだった。
この状況をきっかけに2人は、この家の方と時折、四季折々の花の開花が始まった頃には、距離を関係なくして、車で出掛けるまで花を求め、天然に生み出される癒しの力を吸収し、それに皆、酔いしれる中へと発展させる事ができるまで、へだてがないほどのしんぼくが生まれた事で、以前に増してさらに、距離がせまった。
しかしこの先に想像する事すら困難に出くわす事になる状況が待ち受けているとは、当然、予知できるわけもなく、心理カウンセラーのニーナ・ユイナーと、精神療法士のカナエラン・ユイナーは、人の感情を読み取る仕事をする2人の立場からしては、自身達の教訓にもなり、それに何より、患者が意識せずとも自然に直視できている事によって、感じられる喜びとして歓喜にしたっていたのだった。
そのような持ちつ持たれつの関係で繰り返し訪れる日々を3人は過ごし満喫した。
その同じ頃、「肉体がなきものとなってしまう可能性、精神疾患をわずらっている者、その双方において、人為的かつ、物理的な面からでも、「知性」、「知識」を心理学、そして科学の両面により、それらを結び合わせる事による治療。そして、機械と脳をつなぎ合わせ、あらかじめクラウドストレージへと、物理的に心理療法の情報を記憶させて保存しておいたその物体を電脳空間という環境下で知性を、根底から刺激させる研究の目的を果たすために、必要となる研究材料を探す旅」。
と、自作のナロウボートに乗って、アドレン・クラウディアスは、そのように独り言をつぶやかしつつも手当たり次第、くまなく探し求めていた。
そうした日々、繰り返される旅の途中において、突如として胸さわぎを感じ取った。
感じ取ったその突然の胸さわぎは、遠く離れた場所にいる存在たちの身に、刻々と迫って、それが現実に起こってしまう局面のカウントダウンの予兆であり、違和感を覚えたその要因が当の本人と後に、直結する出来事として時を迎えるのだった。
その一方、ニーナ・ユイナー、カナエラン・ユイナー、ミッチェル・ジョーンズ・ワートの3人は、姉のニーナ・ユイナーと、妹のカナエラン・ユイナーの2人が生まれて、両親の記憶がほとんどない幼い頃に一瞬にして、同時に親を失ってしまい、その後は祖父母に育てられ、成長に成長を重ね、姉妹そろって猛勉強をし続けた結果、姉のニーナ・ユイナーは、心理カウンセラーとして、妹のカナエラン・ユイナーは、精神療法士として、努力の甲斐が実って無事なり、自分たちがそうなれたのは、「”祖父母のおかげ“」。であると、謙虚にそう想った姉妹が、努力した自身たちのごほうびも含んで、車が好きだった祖父母たちと、小旅行へ行く計画をしていた最中と並行して、ガラスルーフ付きで、通常ヒンジドアを福祉車両として、「スライディングドアユニット」を導入し、スライドドア化にした特別なミニクーパーの購入も考えにあった状況で、突如として襲い掛かってきた交通事故に巻き込まれ即死してしまい、生きていれば実現していた思い出を姉妹で、祖父母の分まで「”記憶に残す旅を作る“」。と、いう意味が込められた目的から、購入したその車を使用して、
陶磁、木工、繊維、紙を用いた工芸品を専門に扱うイベントへと向かうため、車を走行していた。
そして、自らの目的を成し遂げるために必要となるネズミを探り当てた末、捕獲をする旅を継続しているアドレン・クラウディアスのすぐ目の前では、河川から突き出た塩ビパイプの周辺で、何らかの大きい物体がうごめいている光景が目に止まった。
その直後、あどけない表情をかもし出して、こちらの様子をうかがう手の平に乗せても、余るほどの小柄で、可愛いネズミがようやく姿を現した。
大きな物体として見えたのは、複数のピンポン玉サイズの大きさの存在が、1つにまとまっていたがために、そのように見えたのだった。
その光景をしばらく見続けていると、複数のネズミがエサらしき物を見付けたらしく、最初、姿を見せた1匹のネズミも、そのエサとおぼしき所へ、早々とした足取りで向かって行った。
すると、体をいっせいに上下左右に、また、複数いるうちのあるネズミは、頭を上下にバウンドさせているのも幾つか目に止まった。
これらの動きを目の当たりにするまで、求めに向かったのが、エサかどうかは、さだかではなかったが、ネズミたちが取る動作からして、それが、エサに食らい付いている姿である事だと把握できた。
その最中、それまで分けへだてなく行動を共にしてきたのが、エサの量が減少しつつあると、力の持つネズミが、立場の弱い複数のネズミを排除して、その排除されてしまったネズミたちが、再度エサを求めに行こうとすると、さっきと同様に、邪魔者扱いにされてしまい次第には、そのエサに食らい付いているネズミたちの姿を、じっと見つめているという展開へと、可愛い印象から、弱者に対して情け心を、第三者の目にかもし出させる状況へと一変した。
ネズミが取った行動から察して、彼が実験の対象物として、求めていた理想に近い存在であった事から、その状況を目撃した瞬間、「”外因性による圧力における自己敗北性パーソナリティ障害“」という理論が彼の脳裏を過ぎった。
ネズミが取った行動から察して、彼が実験の対象物として、求めていた理想に近い存在であった事から、乗っていたボートから降りて、忍び足で距離を徐々につめて行ったところで、数匹のネズミの捕獲へと成功する事に至ったのだった。
捕獲できた事によって、込み上がる満足感覚や、達成感から生み出される笑みを浮かべながら、ナロウボートの舵を取り、家路へと向かっていた。
その道中、小腹が好き始めた彼は、軒を連ねて立つ商店街がある方向へと進んで行った。
すると、「“モンスターと人間のハイブリッド主と触れ合ってみませんか”」。
と、目を疑うと同時に、興味深い掲示板が目に止まった。
そう記載されている掲示板のすぐ横の奥に、ダークグリーンの壁と柱、そして構造を支える「はり」。と、呼ばれる丸太といった壁はもちろんの事、全てがむき出しになって、こじんまりと、ひっそり建っている一方で、そうごんさを感じさせる店に興味を引かれたため、関心を抱いた彼は、その店に入る事にした。
こうして舵を取っていたボートの手を休め、店へと進んで行った。
一方その頃、ニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナー、そしてミッチェル・ジョンズワートの3人は、到着した目的地で、多種多様な工作物を見て回ったり、その中において関心をそそったものがあれば、実際に体験したりとで、四季折々の花の開花が始まった頃に、天然に生み出される癒しの力を、吸収しに行った時以来、久々に普段とは異なる育みを堪能していた。
そして久々の触れ合いから育んだその交流の帰りの道中おいて、「温泉のあるホテルに泊まるのはどうか」。という提案が突如、発展し、それが意気投合したあげく、車を停車させ、「カーナビゲーションシステム」を利用し、かいわいにある温泉施設の検索を始めた。
検索結果がディスプレイに表示されると、その中から、3人の好みに適したお気に入りの施設を探し当てると、再び目的地へと車を走らせた。
再び始まったドライブに楽しみを分かち合うその3人を乗せた車は、しばらく走行してから到着した。
こうして着いた先の湯に浸かった3人は、日頃、活動させている体を湯質により、それぞれ異なる効能を持つ事で、区分されている湯に入り比べて、それを肌で感じ取り、いたわらせた。
そして湯からあがった3人は、ゲームコーなナーへと、場所を変えてのレクリエーションを楽しむため、数あるゲーム機が存在するものに、辺りを見回しながら向かって行った。
そこで目にしたのは、MRIのような診断機が、それ以外の要素に限り、引き付けまいとするこんたんの現れからか、そのコーナーの中央付近に、堂々と設置してあった。
見た事がないその機械に、関心を示し始めた3人は案の定、食らい付いた。
ところが、「“ゲーム“」。と、解釈すべきか、それとも「“最先端のマッサージ機器”」。なのか、想像も付かないでいる最中において、突然1人でに話し出した機械。
「こちらはディメンションメモリーです」。
その機械は、操縦桿が存在しないコックピットのような席があるもので、その席に腰かけながら、機械から流れてくる音声ガイダンスの手順に沿って、利用する事となる当事者の視線の動きで操作する「ディメンションメモリー」と、呼称するその機械へと乗り込んだ。
その別の場所では、DISASTER COMPANY CORPORATIONという正体不明の組織が、HAARPという名を持つ特殊なアンテナを林立させたその場所には、バリケードが施せられ施設化とされていた。
「“どのような目的があって、このような巨大な施設を作ったのか”」。
また、「“誰が作ったのか”」。
という全ての事が闇に包まれていたせいで、人はこの時において、2つの要因をひとくくりにし、『ダークビルダー』と、呼称した。
強情にも、人間達から神としてあがめられているという感覚に陥り、劣等感にしたり始めたその組織は、不吉な笑みを浮かべると共に、制御盤の扉を開いてシステムを稼働させた。
その同じタイミングで、界隈でペットとして生息している犬であるなら、周囲を飛び回ると同時に、獲物を見付けた時に醸し出す鋭い表情を浮かべる一方で、さらに違う場所においては犬と同様、ペットとして生息している金魚が、驚異的なスピードで鉢の中を泳ぎ回っていた。
この犬と金魚は、磁気感覚を捉える能力を持ち得ているゆえに、このような局面が起こる事をいち早く察知した。
すると、アンテナの天辺から、「青」、「赤」、「黄」、「緑」の4色が『環境兵器』として用いるのが不釣り合いな程の眩い閃光が空高くそびえ立ち、それが太陽の光に反射し、グラデーションに化しながら、渦巻き状に一体化となった。
そして、その幻想的な光は、反射する太陽の光の影響から増幅し、施設の一部分から徐々に全体へと行き渡り包み込んだり、その施設の上空にUFOに似た巨大な積乱雲が出現したその施設の上空にUFOに似た巨大な積乱雲が出現した。
さらにその局面と同時に、どこからともなく物音が鳴り始め、それが次第に大きくなったと思いきや、今度は上下左右に大きく揺れ動き出した。
そしてこの時も遠く離れた場所において、周囲を飛び回ると同時に、獲物を見付けた時に醸し出す鋭い表情を浮かべたりする犬に加えて、犬と同様、ペットとして生息している金魚が、驚異的なスピードで鉢の中を泳ぎ回っている光景を目で捉えたのだった。
この犬と金魚は、磁気感覚を捉える能力を持ち得ているゆえに、このような局面が起こる事をいち早く察知した。
朝の時間から昼へと移り代わり、日が暮れて夜になり掛ける頃、「紫」、「藍」、「青」、「緑」、「黄」、「橙」、「赤」に染まった上空を揺らめくカーテンが出現し、太陽風や磁場の影響によって巨大化したり、小さくまとまったりして見え方にそれらが変化を表したのだった。
それから程なくして、巨木に匹敵する程の電磁パルスが発生した影響により、宇宙船やUFOから放たれそうな彩り豊かな光線が、垂直に伸びて上空を照らし始めた。
この時もさっきと同様、犬と金魚は磁気感覚を捉える能力を持ち得ているゆえに、このような局面が起こる事をいち早く察知した。
神秘的な光景を目の当たりにした瞬間、今まで酔いしれていた人間達が抱く感情がさらなる高鳴りを上げ始めた。
この現段階では当然まだ知るよしもないが、このような現象に直面した事の影響により、動物たちの立場の身からすれば、種族を超えたあらゆる生物と出会い、そして、出会ったそれらの生物が後に仲間となって行動を共にする運命であったり、ニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナー、そしてミッチェル・ジョンズワートの3人の立場の身からしてみれば、温泉施設にくるまでは、未だかつて見た事がない機械に対するそそられた興味本位から、何気なく取った彼女たちのこの体験が後に、ありとあらゆる要因に直結し、多大な意味を持つ事に結実させる運命の先駆けとなる始まりの合図だった。
その機械の正面はもちろんの事、端から端まで、ゆるやかなカーブが施された曲面ディスプレイの画面上に、メッセージが浮かびあがってきた。
「ヘッドマウントディスプレイの使用、OK/ NO」。
その端末を使用するか、否かの判断を求める選択で、全員OKを選んだ彼女たちは、座っている席の上部から、自動で、「ヘッドマウントディスプレイ」が3つ出てきた。
それらを装着すると、その画面には、架空現実にて、自分自身の分身として、掲示板などで、キャラクターを投影させ、自身を示唆するために活用したり、ゲーム内において、投影する事ができ、その世界の中で活躍させる「アバターの作成」。という項目画面が映し出された。
そこで、3人は動物に統一して選択し、ニーナ・ユイナーは、「イルカ」、カナエラン・ユイナーは、「ジュゴン」、ミッチェル・ジョンズワートは、「ボーダーコリー」という犬をそれぞれセレクトした。
それからすぐに、「森」、「海」、「大空」で、目の前を覆い尽くす広大な場所が表示されたのと同時に、彼女たちが作成したそれぞれのアバターも飛び込んできた。
この瞬間にしてようやく、「“仮想現実のゲーム”」だ。と、把握できた3人だった。
そして、ニーナ・ユイナーのアバターである「イルカ」、カナエラン・ユイナーのアバターである「ジュゴン」そして、ミッチェル・ジョンズワートのアバターである「ボーダーコリー」は、一通り辺りを見渡してから、初期段階で入手している地図を読み、どこへ向かうという当てもなく適当に探って行った。
すると顔は、「猫」、「亀のような硬い甲羅」、「ワニのように太くゴツゴツとした脚」という外見を持つ魔物に出くわした。
その時、魔物はこう主張した。
「俺の名は、『タラスク』だ。そして俺は、気性が荒い性質だ。ゆえに、同種の中の頭と同じ位置関係で、その者に代行して、事態に介入する立場に君臨し、おのれの役割を果たしている。きさまらは見るからに、俺の忌み嫌う性質を持っているかのような印象を俺に与えさせるな。生意気だ。これでも食らえ」。
その瞬間、彼女たちの分身であるアバターたちに目がけて、排泄物を吐き散らした。
そしてバリケードが施せられ施設化となっているHAARPという名を持つ特殊なアンテナを林立させたその場所においては、その周辺に建つ民家にある金属でできた犬小屋で飼育されている犬であったり、犬と同様、金属でできた比較的大きいケージの中に入って外で飼育されているうさぎ、さらには野生の蛇の爬虫類、イルカ、ビーバーなどの哺乳類という野生の生物に加え、寒波で激しい気候にさらされてしまったせいで、住みやすい場所を求めるため、寒冷地から温暖地へと移動している最中の鳥、想像絶する事態が突然襲い掛ったがため、飼育されている金魚を車内に乗り込ませ、その場から離れようとするその車の屋根を無残にも破壊させて、屋根もろとも一緒に避難して来た金魚も水の入った鉢ごと、引力で引き連れられてしまう性質と密接に関わりを持っていたため、人間を除くあらゆる生物達が、その垂直に伸びる彩り豊かな光線へと引き寄せられ、それぞれの生物が、風船のように上空へと吸い込まれていってしまった。
その光景を目の当たりにした瞬間、今に至るまで感動という名の感情から180度転換し、人々は恐れを抱くようになった。こうして組織の思惑通りの展開へと結び付ける事ができたため、存分にエネルギーを蓄えた。
それぞれ異なった環境下で、時間の流れと共に変化している最中、「”ディメンションメモリー“」と、呼称するそのゲームにログインしているニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナー、そしてミッチェル・ジョンズワートの3人がいるすぐそばに、謎めいたまなざしで凝視する年齢にかかわりない存在の姿がそこにはあった。
その謎の4人の男女と、いずれ深いかかわりを持つ運命になろうとは、当然誰も予期などできるはずもないまま、ゲームを続けていた。
それと同時に、異次元の世界へと引きずり込まれてしまった「犬」であるなら、もともと持ち得ている磁気感覚で、災害が起こる前兆に異常行動を取って予知するという本能、それとは別に適応、作業、服従、感覚器官のうちの嗅覚、聴覚に比べてあまり役に立つ事ができない視覚が驚異的に見えた事での活性化が。
「うさぎ」であるなら、もともと持ち得ている空間情報が備わる本能に加え、もともと持ち得ていない服従、適応、作業、そして感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚が。
「蛇」であるなら、もともと持ち得ている温度感知器、鼻腔の上部にある皮膚、嗅上皮と呼ばれる個所から、匂いを感知する嗅細胞や、その器官とは別に存在する両性類、爬虫類、哺乳類、鳥類の四肢動物が持つヤコブソン器官とも呼ばれる鋤鼻器による科学物質の情報を捉える本能の活性化が起こったのとは別に、もともと持ち得ていない服従、適応、作業の能力が加わったり、そして感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚が。
知性のレベルが高い「イルカ」であるなら、もともと持ち得ている本能として、相手に対する気持ちの持ち方を考察して、コミュニケーションを図る特徴の他、服従の活性化、さらにもともと持ち得ていない適応、作業が備わり、感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚が。
生態系エンジニアとしての特徴を持つ「ビーバー」であるなら、もともと持ち得ている本能、適応、作業といった活性化が起こったのと、もともと持ち得ていない服従が備わり、感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚が。
磁気感覚を備わっている「鳥」であるなら、読み取る事のできる磁場の距離の本能が拡大された事に加え、もともと持ち得ていない適応、作業、服従が備わり、感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚が。
「金魚」であるなら、巨大化しただけでなく犬と同様、もともと持ち得ている磁気感覚で、災害が起こる前兆に異常行動を取って予知する本能、それとは別に適応、作業、服従、そして視覚、嗅覚、聴覚を持つ感覚器官のうち、嗅覚、聴覚に比べてあまり役に立つ事ができない視覚と共に、嗅覚、聴覚も劣るとも勝らないものへと劇的に進化した。
こうしてそれぞれの生物達が互いに持ち得ていない局面を受け持つ事であったり、弱点のある局面の進化が、行動によって生じる未来における結果の認知や、より良い行動の選択、許容され難い社会的応答の無効化と抑圧、物事の類似点や相違点の判断に関する能力を発揮する役割りを持つ『前頭葉』や、言語、記憶、聴覚という能力を発揮する役割りを持つ側頭葉、さらには話している内容に対する話し手の判断や、感じ方を表す言語表現を理解する役割りを持つ『頭頂葉』に加え、視空間形成や色識別、運動把握といったさまざまな視覚形成の働きといった能力を発揮する役割りを持つ『後頭葉』、そして運動野、体性感覚野、視覚野、聴覚野、嗅覚野、味覚野、言語野など、機能の諸中枢が特定の部分に分布し、それぞれの働きである役割を果たす『大脳皮質』という、様々な分野に区分し、一まとめに呼称された大脳の神秘的な進化によって究極と化したのだった。
その進化というその局面を、変化に置き換えるならゲームをしているニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナー、そしてミッチェル・ジョンズワートの3人の身においても、HAARPを起動させた事で、システムの誤作動が起きた影響により、深刻な被害を及ぼしてしまった。
それは、タラスクという一体の魔物は、本来、ゲーム内の世界だけにしか遭遇しないが、仮想現実というそのゲームの世界観において襲われそうになるも、その存在の心の闇から、どうにか抜け出させようと、自分達が持ち得ている知識を最大限に生かして、コミュニケーションを取っていた最中において、タラスクの持つ歪んだ性格と、ニーナ・ユイナー、カナエラン・ユイナー、ミッチェル・ジョンズワートの3人が、本来持ち得ている愛情に富むありのままの性格の両面が、架空世界に存在する分身のアバターを介して、混合してしまったこの影響を受け、現実世界に変貌したその性格を反映させ、身を置く運命へと直面してしまうのだった。
タラスクが起こしたその動作と同時に、アバターたちが持ち得ている俊敏な身のこなしで、まともに当たる事は免れたものの、拡散したせいで、多少の汚れは食らってしまったのだった。
排泄物を2度と食らうまいとして、再び俊敏な動きを繰り出し、タラスクがいるその場から、瞬間的に距離を置いた。
しかしながら、どんなに汚されようとも、現実世界に身を置く彼女たちには、全く影響される事はないが、清潔性からひっきりなしに、自然界の力により生成される「葉」や、「木の枝」を手にすると、それらを道具として駆使し、本能的に汚れをぬぐい去る行為をし始めた。
タラスクはその行為を見ている最中、にやける表情をかもし出すのと同時に、おもむろに口を開かせた。
そしてその口からは、こう言い放たれた。
「美味そうな獲物は俺がちょうだいする」。
そして、地響きをとどろかせるほどの猛烈な勢いで、彼女たちがいる所へと颯爽と、距離をつめて行った。
こちらへと迫ってくるその存在に対して、あっけに取られているアバター達だったが、
その仲間のうちのミッチェル・ジョンズワートのアバターであるボーダーコリーが、相手に対して、体格差が比べものにならないとしてでも、意表付くかのように、真っ向から向かって行った。
そしてお互いが激突する寸前に、ボーダーコリーは一瞬立ち止まり、飛びかかってくる際に生じるわずかなスキを定めれて、身を伏せた。
攻撃を交わされたタラスクの勢いは収まらず、草木で生い茂る森の入り口へと突っ込んで行った。
その場から脱出しようとして、もがくが、もがけばもがくほど、頭や脚、胴体に草木がからまったり、まとわり付いたりで、悪循環と化してしまった。
その様子をしばらく遠目から凝視していた
ニーナ・ユイナーのアバターのイルカと、カナエラン・ユイナーのアバターのジュゴンは、
ボーダーコリーが、タラスクの顔がある方向へとまたもや、危険をかえりみず、動き出した。
それに不安を覚えたイルカと、ジュゴンは、仲間であるボーダーコリーがいる所まで駆け寄って行った。
向かって行ったその場では、ボーダーコリーが、タラスクに対して話しかけている姿を目にした。
そこでイルカと、ジュゴンは、口をそろえてこう言った。
「お取り込み中悪いが、この存在に関わると、墓穴を掘る羽目になるぞ」。
その言葉に対して、ボーダーコリーはこう主張した。
「見て見ぬ振りをして助けない選択の方が、反対に墓穴を掘ってしまうのではないのか」。
すると、アバター達のやり取りを聞いていたは、こう主張してきた。
「俺は誰の手も借りん、さっさと失せろ」。
すると今度は、現実世界の常識においては、心優しく、温厚なはずのイルカと、ジュゴンは、皮肉を込めたかのような口ぶりでこう言った。
「だったら何もしない」。
そう言うやいなや、そのイルカと、ジュゴンは、タラスクをバカにした眼差しをかもし出し、見続け始めた。
この行為が後に、より良い相互関係へと引き寄せる事へと発展するのだった。
その頃、2股に分かれた尾部を、人間でいうなら足として使い、ベージュ色の「長袖のワイシャツ」の下に、「紺色のウェイターエプロン」、「プレーントゥブーツ」を履いたボーイッシュなウェイターと、可愛いらしいフリルがあしらわれた「半袖のブラウス」に加え、その下には、オレンジ色でミニ丈の「ジャンパーキュロット」、「黒のタイツ」、ミニ丈で「黒のカフェエプロン」を身に纏い、黄色い「ハイカットスニーカー」を履いた見る者を一瞬で虜にしてしまうほどの美貌を持ったウェイトレスから、未知の存在に遭遇してしまった事の現実に驚愕しながらも席へと案内されていたアドレン・クラウディアス。
その店内のカウンターキッチンには大型のアンティークのダイヤミルが設置されてあったり、さらにその周辺にはカップやソーサーをはじめとする多種多様なカトラリーがスタンドに下げられて収納されているものや、椅子、テーブルなどの家具が明るいライトブラウン色で統一され、店内と見事に一体となって高級感を演出している店で、それらのインテリアに囲まれて、テーブルいっぱいに教材道具を並べて勉強に励む数人の学生の客、コーヒーを片手に経済新聞を読んでいるサラリーマン風の客、専門書とパソコンを開き、その両方に目を配りながら、ケーキをほおばると同時に、資料をまとめる若い数人のOLといった年齢や、客層問う事なく、喫茶店という安らぐ空間で、自分の時間を思い思い有意義に用いるその客たちの姿に目を奪われていた最中のタイミングで、窓を通して、色鮮やかに揺らめく突如発生した光に目を奪われた瞬間、「がんか」。と、呼ばれる目を囲んでいる骨から、こぼれ落ちてきてしまいそうなほどの瞳を、その場に居合わせる者全ての存在が見開かせて驚愕した。
さらに地震という突発的な2つの要因からも戸惑いを隠しきれないでいた。
それから程なくしてから店の奥の方から、2股に分かれた尾部を、人間でいうなら足として使い、ベージュ色の「長袖のワイシャツ」の下に、「紺色のウェイターエプロン」、「プレーントゥブーツ」を履いたボーイッシュなウェイターと、可愛いらしいフリルがあしらわれた「半袖のブラウス」に加え、その下には、オレンジ色でミニ丈の「ジャンパーキュロット」、「黒のタイツ」、ミニ丈で「黒のカフェエプロン」を身に纏い、黄色い「ハイカットスニーカー」を履いた見る者を一瞬で虜にしてしまうほどの美貌を持ったウェイトレスが、先ほど出迎えたそのウェイトレス同様、ウェイターも2股に分かれた尾部を足にし、双方おしゃれに決めると共に、笑顔を振りまきながら、こちらへと歩み寄って来て声を掛けてきた。
「ご注文お決まりですか」。
ウェイターのその問い掛けに対し、アドレン・クラウディアスが返答したのは、注文するべきはずの品ではなく、自身の目の前にいる特殊性を持つ人種に対して、関心を覚えたため、その点について、失礼を承知のうえ、こう言った。
「ぶしつけな事を言って申し訳ないですが、あなた方お2人は、こちらのお店の横の看板にあったように、人間とモンスターの掛け合わせですよね。ただでさえ誰に対されても目を疑われると思いますが、なぜあえて接客業をなされているんですか」。
すると、怪訝そうな顔する事もなく、こう主張してきた。
「我々のような種族は、モンスターの血を引いている事で、このような容姿となっているのではなく、命を落としてもおかしくはない場面に遭遇した中で、自分だけが生き残ってしまう感情にさいなまれる背景からの突然変異で、化してしまったんです。ですが、僕自身、自分で言うのもおかしいと思いますが、今のこの姿より、以前の姿の方がみにくいものでした。僕の同僚の彼女も、僕と同様で前はとても素直な気持ちでみ直視できたものではなく、情け心を持ってようやく見られるほどでした。その当時、僕は周囲の人たちから、嫌がらせや、迫害を受け、そして彼女はスタイルは、今も以前も変わらず良いので、興味本位だけの体目的で、もてあそばれていた過去もある方なんです。でも今は共に、このような場で充実感のある環境としていれるのは、そのような状況に直面したがゆえに、それが逆に原動力となって突き動かされ、どんな展開にも屈しないという心構えからの強い精神により、今があるんです。だからこの店にこられておられる方々は、僕たちを理解し、受け入れてくださった。万人受けされる人種になれるよう努力する事も必要ですが、たとえごく少数だとしても、しんしに向き合えられる相手こそが、『”真の友“』であるとつねづね僕は感じています。そのため徐々にではありますが、自信という意味では、一般の多くの方と比較するなら歯が立ちませんが、個性という意味では、負け知らずですね」。
そうウェイターが主張し終えると、アドレン・クラウディアスは、感心した面持ちをかもし出しながら、こう言った。
「お辛かったでしょうが、良く自制心を持って歩んでこられました。あなた方のような心が綺麗なのは、いついかなる時にでも、必要で、そうあるべき点に日頃から心掛けるなら、あなた方のようにおのずと言動により、示せるのが対人関係を上手に育む秘訣なんです。先ほど、自信がないような事をおっしゃられていましたが、私は、誇りを持って良いのではないかと心底そう感じます。それに見た目ではなく、魅力というものは内面だとも感じます」。
そう言い終えると、再びメニューを眺めてから、ドリアとサラダに加え、ドリンクが付いたセットをオーダーした。満面の笑みで注文を受けたウェイターが、その客を背にして厨房へと向かって行くその背中がには誇らしく思えていた。
ほどなくした後、今度は、ウェイトレスの彼女が、客がオーダーした品を持ってきて、それらを綺麗にたいらげてから、会計を済ませ、店を出ようとドアノブに手をかけた。
するとその直後、「ありがとうございました」。と、はちらつとした声で、ウェイトレスに礼を言われた客は、振り返って、「とてもおいしかった。いつまでもお元気で、ごちそうさまでした」 。
と、だけ言って店を後にした。
そして空腹が満たされた彼は、ナロウボートに乗り込んで、再び出発する矢先の事だった。
彼が客として今までいた店のウェイトレスが、慌てた様子でこちらへと向かってくる姿が、目に止まったため声をかけた。
一方、HAARPを稼働させた影響で、別世界へと引き込まれてしまった生物達は、目を開ける事は愚か、瞬きすら許されない程、目まぐるしく変化する極限の事態にさらされてしまった。
さらにこの現段階では皆、まだ知る事もないが、生物達が人間の話し言葉を話すという異常な進化も同時に降り注がれる運命となっていた。
その最中において、意識が徐々に薄れて行き、ついに気を失った。刻々と時間が過ぎ行く時の中、犬が意識を取り戻した。
しばらく意識を失っていたせいで、目が虚ろであるため、視界がぼやけて見えるのと同時に、犬の目ではモノクロとして見えるという事も影響するが、それでも一色二色の光ではなく、多数の光が穴の開口部から光輝いている場所がある事に気付いた。
その場所へと進み行くに連れて、徐々にピントが合ってきた。それから程なくして、穴の開口部から光輝いている場所に行き付きその中を覗き込んだ。
そこで目に映り込んだものは、悪夢を人為的に見させるため、DISASTER COMPANY CORPORATIONという名の組織が、プログラムに置き換えてプログラミングさせたその組織の欲望から企てられたものが、映像と化して時空を超え、別世界へと引き込まれて行ってしまった事の影響により、世界中の至る場所で見舞われている災害の情景を、テレビの画面に映し出されるテロップという表示方法を用いて描写するように、被害で被られている被災地が切り替わる度、それに連動して、映し出されている情景も順次表示されているものだ。
平成7年1月17日。明石海峡を震源地とするマグニチュード7、3の直下型地震が発生。
平成16年12月26日。インドネシア西部、スマトラ島北西沖のインド洋を震源地として、マグニチュード9、1の地震が発生。
平成22年1月12日ハイチの首都ポルトープランスを震源地として、マグニチュード7、0の地震が発生。
平成23年3月11日。青森県全域、岩手県全域、宮城県の亘理郡、伊具郡、刈田市、角田市、白石市を除く地域、秋田県鹿角郡小坂町及び、鹿角市が震源とする地震が発生。
平成25年10月11日。台風第26号による影響から、集中豪雨により関東地方を中心とした土石流災害が発生。
平成25年11月5日から6日に掛けて太平洋上を西に進み行く一方、向上していた当初の中心気圧は低下していながらも、風速は瞬間的に成長し、規模は小さいが、西太平洋、ミクロネシア南部に位置するカロリン諸島や、その地域を含むパラオ共和国に被害を与えながら経由し、フィリピン中部に上陸した台風第30号。
そんな現実に驚きおののいている最中、共に引き寄せられてしまったうさぎ、蛇、イルカ、ビーバー、鳥、金魚という生物達も閉ざしていた瞼を一斉に見開かせた。
そして、何色もの色に変色する光と同時に、それに照らされて映って見えるのが犬だという存在に気付いた皆は、その犬の元へと辿って行った。皆、犬の目の前に来た時、金魚と目を合わせた犬は、あまりにも巨大な金魚に驚いたため声を発した。
その時、犬自信は、「ワン」。と、言ったつもりであったのだが、人間の話す言葉を発したため、きょとんとした表情を浮かばせた。そして、再度声を発した。
この時もやはり、「ワン」。と、言ったつもりであったとしても、人間の話す言葉を発した。
まれに人間の話す言葉を話す犬もいるが、それでもはっきり言っているのではなく、無理やり似させようとする人間側の意志が働いて、人間の耳には聞こえて捉えている場合もあるが、人間でない犬の立場からしてでも自信が、はっきりその話し言葉を発したため、今度は驚愕したまなざしを浮かばせた。
そして、最初に声を発した犬に続いて、他の生物達も一斉に声を発した時、それらの生物達も犬同様、人間の話す言葉を発してしまった事で、当然変異という名の衝撃が重複してしまい、光を放つ穴の開口部を取り囲んでドンチャン騒ぎのように皆、大暴れし出した。それからしばらくその状態が継続する中、時間を追うごとに皆、着々と冷静さを取り戻していった時、犬は再び声を発した。
「何がどうなってこの未知の世界にいるのか又、どうして僕ら動物が人間の話す言葉を話しているのか、数多くある疑問を抱く現実に混乱していると思うが、それはみんなだけではない。この僕も非常に混乱している。だが、なぜこのような事態になったのか、理由が不明だと言って、筋道を立てなければ何時になっても解決策を見出せずにいるなら彷徨っているばかりだ。まず最初に自己紹介をしておく。申し遅れたが僕の名は、ゴールデンレトリバーという犬種からもじられて取った『ゴルレトバー』だ。名を持っている者がいるなら、僕に紹介してくれ」。
すると、金魚が口を開き自己紹介した。
「僕の名は『フィッシャー』。魚を英語で呼ぶフィッシュから付けられた名なんだ。どうぞよろしく」。
自己紹介したフィッシャーと名乗る金魚に続いて、うさぎも自己紹介をした。
「私は『ラーパン』。うさぎはフランス語でラパンだからあなた達と一緒で私ももじられて付けられた名なんだ」。
この3つの存在は、異次元の世界へと引き寄せられる前はペットという立場だったため、飼い主から命名された名を持っているが、野生として生息していた生物達は特別な名を持っていないがため、どこか恨めしそうな雰囲気を醸し出した。
ラーパンと名乗るうさぎ以外は皆、雄であるため、そう自己紹介をするなり、片方の耳を寝かせた状態を保たせ、もう一方の耳だけを四方八方に動かして持ち前の能力を周囲にいるその雄の生物達にアピールした。
しかし、犬、うさぎ、金魚以外の生物達は、名を持っていない寂しさゆえに、愛想振りまくうさぎには興味をまったく示さなかった。
犬は人間と共存して生息していく生き物のため、相互関係に敏感な性質であるぶん、歯がゆさが漂う空気を感じ取ったゴルレトバーは、機転を働かせて名のない者には名を付けるよう求めた。
そして、ゴルレトバーが名を考えている最中、イルカの体の表面が乾燥して、徐々に動きが鈍り始めている事に気付いたフィッシャーは、そんなイルカを救おうと、金魚鉢の中を数回飛び跳ね、それによって生まれる水しぶきをイルカの体の表面に付着させた。
水のない場所や、イルカが生息できるに必要な量の水に満たされない環境にいるなら、体の表面が乾燥して、数十分もすれば体を動かせない程にまで衰弱し、その状態が続くとなれば死に至ってしまうが、悪環境に順応できるまで進化を遂げたイルカは、わずかな水の量を浴びただけであっても、みるみるうちに活力を取り戻していった。
そして再び名を考え始めてから、程なくした後こう言った。
「蛇は英語でスネークだから、金魚のフィッシャーや、うさぎのラーパンと同様、それぞれの名詞をあやかった名として、『スネーカー』。
そして、もう一方のイルカは、英語でドルフィンという事と、生態系に関わる要素にあやかり、格好付けが織り込み、相手の心を癒す能力が存在するから、セラピーという表現を取って、『セラフィーン』、ビーバーは潜るという行為を得意とする生物だから、『モーグル』、鳥の場合は飛ぶための羽を持っているから、英語で言うウィングから取って『ウィンガー』」。
こうして名を定めたゴルレトバー。
すると、「どんな影響を受けてこの場へと引き寄せられてしまったのか」。
さらに、「この場へと引き寄せられてしまっていく最中、本来いた地上にいたその環境にどのような変化が生じ、結果的に異次元空間へと辿り着いてしまったのか」。
というその過程における記憶の整理に関する2つの質問がゴルレトバーの口から発せられた。
不仕付けに投げ掛けられた質問に対し皆は、困惑した表情を浮かべている中において、再度ゴルレトバーがおもむろに口を開きこう言った。
「この場所へ引き寄せられてしまう直前、大量に林立されているアンテナがあって、そこから巨大な光が放たれている光景を見た。その光の影響を受けたのではないか」。
その主張に続いて今度は、ラーパンがおもむろに口を開き主張した。
「青、赤、黄、緑の四色に染まっていた鮮やかな光だったよ」。
さらにスネーカーがおもむろに口を開きこう言った。
「UFOに似た巨大な積乱雲が出現したり、紫、藍、青、緑、黄、橙、赤に染まったオーロラが出現し、それが時間を追う毎に大きくなったり、小さくなったりして、変化を表していたと思う」。
続いてセラフィーンもおもむろに口を開きこう言った。
「宇宙船やUFOから放たれそうな彩り豊かな光線が垂直に伸びて上空を照らし始めた」。
記憶していた情景をそれぞれが言葉で表現している頃、地上では、DISASTER COMPANY CORPORATIONが異次元空間内部にあるセキュリティカメラを起動させ、それと連動するモニターで監視作業を行っていた。
その時、モニターで監視されいるとは知らない犬、うさぎ、蛇、イルカ、ビーバー、鳥、金魚といった生物達がうごめく姿を捉えた。
その生物達の存在はまだこの時点では知るよしもないが、それは紛れもなく、ゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー達だ。
DISASTER COMPANY CORPORATIONはその生物達を排除しようと、死を迎える事に定められている事実を歪曲する映像を作成したのだった。
さらに同じ地上では、HAARPが林立されてある施設化された場所において、システムが稼働されてしまった事に起因して、空高くそびえ立った青、赤、黄、緑の4色の眩い閃光が、太陽の光に反射し、グラデーションに化しながら、渦巻き状に一体化となった後、反射する太陽の光を受けた影響から、その光の大きさは徐々に拡大していったという打撃を被ってしまった。
だがこの局面は、幸いな事に、実際は気象兵器によって誘発された事による感動には値しない被害をもたらす光ではあるものの、カフェにいるアドレン・クラウディアスらは、その影響を受けずに済むどころか、被害を引き起こす光だとは知らないため、幻想的なものの印象として、窓ガラス越しから見つめていたのだった。
そして、以前のあらゆる要素が重なった地上では、吸収できない程の強烈な電磁波を受けた地球は、その電磁波に起因して重力が倍増した影響により質量が太陽程度、大気の厚さは1メートル程度でありながら、半径は70万キロにも及ぶ、中性子星を呼び寄せてしまうといった地球の存続が危ぶまれる危険な状況にさらされていた。
そして、その大質量の恒星である中性子星が、大規模な爆発現象を起こした事による影響から、覚醒した誘発でブラックホールを生成させてしまった。
その瞬間、遠く離れた温泉施設において、ゲームにログインして遊んでいるニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナー、そしてミッチェル・ジョンズワートの3人の身においてはまだ自覚こそないが、タラスクの持つ歪んだ性格と、その3人の彼女が、本来持ち得ている愛情に富むありのままの性格の両面が、架空世界に存在する分身のアバターを介して、混合してしまったこの影響を受け、現実世界に変貌したその性格を反映させ、身を置く運命へと直面してしまうのだが、その背景がさらなる悪化を招いてしまう事によって訪れるのであった。
別世界へと引き込まれてしまったゴルレトバーは周囲を飛び回ると同時に、獲物を見付けた時に醸し出す鋭い表情を浮かべる一方で、フィッシャーは驚異的なスピードで鉢の中を泳ぎ回った。
今回も以前と同様、磁気感覚を捉える能力を持ち得ているゆえに、このような局面が起こる事をいち早く察知した。
そんなゴルレトバーとフィッシャーの奇妙な行動を目の当たりにしたラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー達は口を揃えてこう言った。
「突然あやしい行動を取って一体何が起こったんだ」。
すると、ゴルレトバーとフィッシャーも同様に口を揃えてこう返答した。
「僕達は磁気感覚を捉える能力を持ち得ている生物だから、環境に異変が起ころうとした際にはさっきみたいな行動を取ってしまうんだ」。
異次元空間にいるゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー達は、世界各地で引き起こされている災害の映像を見ていた時、おもむろにゴルレトバーが口を開きこう主張した。
「飼い主が大事に世話してくれて、愛情を注いでもらう事ができた僕やラーパン、そしてフィッシャーであったり、スネーカーの立場ならば、彼が生息する環境において、茂っている植物は、空中の二酸化炭素を吸収し、代わりに酸素を放出する循環システムである生命維持のために必要な光合成の効率が秀でている湿地帯。
穏やかな波の時は、流れに身をまかせて優雅に泳ぐ事ができる心地良さがあり、反対に進行方向を妨害する荒れ狂う波の時は、その流れに逆らって死に物狂いで泳がなければいけないというその環境は、機嫌の良い時は甘えたり、機嫌の悪い時はだだをこねる、まさに人間の子供のようなそんな海況と共に、過ごしてきたセラフィーンやモーグル、夜明け前は東の地平線には朝焼けが起こって暗い空が赤くなり、太陽が昇って一定の高さまで到達すると青色に、そして日没が近くなると西の空は夕焼けでオレンジ色になり、太陽が沈むとまた空は暗くなる自然の演出で、人間に感動を与えるだけでなく、太陽からの光は大気中の酸素、窒素、水蒸気などの分子や、光の波長よりも小さい微粒子にぶつかり散乱する事で生まれる波長を道しるべにし、羽ばたかせて舞う空と密接な関係を持つウィンガー皆、思い思いに抱く場所や、空間とでは、持ちつ持たれつの関係であるため、決別するのはつらいが、遅かれ早かれどちらにせよ、この世を去る運命となっているなんだ。直面しているこの問題に手を下さなければ、この先もっと悲惨な状況になりうる可能性だってあるかもしれない。
みんなで力を合わせて立ち向かおう」。
その同じ頃、地上では大質量の恒星が大規模な爆発現象により、覚醒した誘発で生成してしまったブラックホールが、周囲に存在するものは全て呑み込んでしまう天体である事から、ゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー達が目の当たりにしていた映像も呑み込まれていった。
そして、その最中において世界各地で多発している災害の映像から、生物達が死を迎える事に定められている事実を歪曲させた映像へと切り替わり、時空を超えて開示された。
その時、ブラックホールが出現したと思いきや、今度は周囲から吹き込んだ風が強い上昇気流を生み出し、内側降雨帯と呼ばれる中心から、渦を巻いて周りを壁のように取り囲まれた積乱雲によって生まれたスーパーセルのような構造をしたホワイトホールに加え、その2つの区間を結ぶワームホールも一瞬に、突如としてほぼ同時に姿を現し、その3つがドッキングして一体と化した。
そして、ブラックホールに呑み込まれた映像は、重力場が限りなく大きい場所として位置付けられる特異点という場所に到達した。
その瞬間と同時に、意思を持った映像が、ゴルレトバー達の潜在意識へとテレパシーを、ブラックホールからワームホールを通過し、ホワイトホールを抜けて伝達させ、それとシンクロした影響により、意識が長く続く深い眠りに陥り、夢の中へと入っていったのだった。
ブラックホールに加え、そのブラックホールとホワイトホールとの間を結ぶ『ワームホール』が突如として、ほぼ同時に姿を現した事の影響から、このような原因を引き起こしたDISASTER COMPANY CORPORATIONの当の本人達でさえも、許容範囲を遙かにしのぐ問題に直面しているため、驚きを隠せずただ呆然としていた。
さらに驚愕すべき事に、この現時点では互い同士の夢を共有して見れ、言葉を頭の中で思い浮かべ、その思い浮かべた言葉を強く念じる事で、実際に面と向かって話しているかのように会話を理解し合えるのだ。
それは今の段階ではどの存在も知るよしもないが、後にその現実を知る事となる。
そしてその現象は、このような原因を招いた組織自らも、自業自得の結果から後に体験する事となるのだった。
一方、アドレン・クラウディアスがいる地では、彼がウェイトレスに対してこう言っていた。
「どうかされましたか」。
その問いかけに対して、彼女はこう返答した。
「先ほど同僚から、お話うかがって、とても嬉しかったです」。
そう、りゅうちょうに言葉を発した彼女だったが、突如、目に涙を浮かばせてしまい、今の現段階においては、思いを言葉として表現しようにも震えでどうにもならないほどに陥ってしまいながらも、気持ちを落ち着かせようと、深く息を吸っては吐いての繰り返しで必死になって呼吸を整え始めた。
彼女の取るその行為を、それまではナロウボートの上から、しばらく直視していたアドレン・クラウディアスだったが、陸地へと足をおろすと、同情心を示すかのように、彼女の両肩に手を軽くかけ、自身の側へと、そっと引き寄せた後、互いの鼓動を感じあった。 それから、ほどなくしてから、落ち着きを取り戻した彼女は、おもむろに口を開きこう言った。
「私たちと同じような外見で、境遇に立つ存在が、トランデールリウムルピナー大平原という場所にいて、そこで、人目をはばかりながら、暮らしている者がいるんです。無理を承知のうえで言わせていただきます。あなたのその深い優しさで助けてあげてください。どうかお願いします」 。
そのように懇願されたアドレン・クラウディアスは、こう返答した。
「承知致しました。さまよっておられている闇の中から、無事、現実に身を寄せるよう救い出す事ができたそのあかつきには、必ずこのお店で再開を果たさせます。待っていてください」。
そしてウェイトレスの彼女と、別れたを告げたアドレン・クラウディアスは、再びナロウボートへと乗り込んで旅立った。
旅立つその姿を、見えなくなるまで手をいつまでもウェイトレスの彼女は、振りつづけている最中、店の中で今まで作業していたウェイターの男性が、外へと出てくるなり、手を振っているウェイトレスの彼女の姿に目を奪われ、そっと近寄り、頬をつたって流れでる涙を優しくぬぐい去ってから、互いを笑顔で見合わせた。
温泉施設において今までゲームにログインしていた彼女たちは、ログアウトしたのち、頭に装着している装備を外すと、最初、自動で出現してきたのとは反対に今度は、自動で格納する動作を行った。
彼女たちは、自分たちの手で、自身の顔、体、足といった部位を挙動不審な様子で、一心不乱に触る行為をしてから、手を交差させて、肩を抱え込む自己親密行動を取り、身を案ずるかのように、大きく息を吸っては吐いての深呼吸を数回繰り返し行い始めた。
それからしばらくしてから、皆、それぞれの顔を見合せた。
そしてミッチェル・ジョーンズ・ワートは、おもむろにこう質問を投げかけた。
「私たちが今まで体験していたのは、ゲームよね。今、大きな地震があったのは、当然、現実よね。さっきのゲームといい、地震といい大丈夫?気分悪くない?」。
その問いかけに対して、最初に反応したは、姉のニーナ・ユイナーだった。
そして彼女はこう返答した。
「私は平気よ。地震はさておき、何よこのゲームなんか不気味だったと思わない」。
その主張に対して今度は、カナエラン・ユイナーが残念そうにこう主張した。
「私は楽しかったな。地震が起こっちゃったから遊べなくなっちゃったけれど、地震が起こらなければ、もう少し遊びたかったな」。
彼女達はあらゆる影響を受けた事で、感情を害されてしまっているとは今の時点では知らずとも、日常の行いである”車の運転“とい状況の中で、皮肉にも帰りの道すがらにおいて知る事に結実する事が待ち受ける運命へと向かって、再び車を走らせた。
この時、ハンドルを握りしめていたのは、ミッチェル・ジョーンズ・ワートが、ニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナーの2人が、所有する車に乗せて、家路へと向かっていた。
その頃、ゴルレトバー達はそのゴルレトバーを含む仲間たちの死を予告するといった事実と事なる人為的に作成した映像が後に、意思を持ち始め、テレパシーを用いて、ブラックホールからワームホールを通過し、ホワイトホールを抜けて潜在意識に伝達させて、夢を強制的に見せられているという想像を超える手法によって、偽りであるものを、あたかも現実となっているという局面に強いられているとはもちろん知るよしもないゴルレトバー達はまるで、幽体離脱したかのような感覚を覚えていた。
夢の中でその映像がゴルレトバー達の頭の中を駆け巡った瞬間、モーグルは涙を流すと共に、心の中で怯えた声を出してこう言った。
「“僕達死んでしまう運命なのか”」。
モーグルが発したその言葉が、夢の中でありながらも、ゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、ウィンガー、フィッシャー達の脳裏を過ぎった瞬間、戸惑うも数多くの不可解な現象に直面してきたため、免疫が生成され夢を共有する事ができる上に、なおかつ見ているその夢の中で、語り合う事ができるという事ぐらいでは、皆の立場からすれば驚くに値しなかった。
程なくしてウィンガーとフィッシャーは口を揃えてこう言った。
「“こんな場所なんかで死ぬのはごめんだよ”」。
そう主張したとたん、しばらくの間沈黙が続いた。
その長い沈黙が続く中で、思考力と共にコミュニケーション能力が優れているセラフィーンはあらゆる事を考察した後、こう言葉を発して沈黙を破った。
「“どうせ死ぬ運命だと分かっているなら、社会に貢献できる何かをやってのけて、悔いの残らない格良い死に方をしてこの世を去りたいよ”」。
そう主張した瞬間、悪を企てる者達の手によって、作成された偽りの映像を夢で見せられているとは、未だ知るよしもないため、とうとい命の期限を覚悟してしまった。
その場にいたどの生物の視線を集中して浴びる中、おもむろに口を開きこう主張したゴルレトバー。
「“セラフィーンの言う通りだな。だが、それに先駆ける前に、戦力となってくれそうな強力な仲間が必要だな。我々の計画に戦力となれる心当たりのある生物がいたら教えて欲しい”」。
野生として生息してきた立場である生物なら、生まれ育った環境であるその場所や、ペットとして飼い主から飼われてきた生物の立場であるなら、相手に対して愛着を抱いているのは当然だが、恩恵を授かる事ができたそれぞれが直面するそれらの要素に感謝を抱くならば、たとえ命を絶つ事になる状況に降り掛かろうとも、思いを刻む事により、ついえる事のない関係や、忘れ去る事のない強い絆で結ばれている事を、それぞれが心の内で感じたため、死に対して恐怖感など感じていなかった。
それどころかあたかも現実に起こりうるとして、でっち上げられた状況から生まれてしまったが、そこで生まれたその強い信念は、まさに便益を喜んで放棄する態度を指す自己犠牲の精神の表れだった。
そしてスネーカーがこう主張した。
「“体内から電気を発電させて獲物を捕食したり、体の周りに電場を作る事によって、周囲を探る習性のある電気魚の電気ナマズを僕は知っているよ”」。
ラーパンはその主張に対して、電気ナマズという存在がどこにいるのか問い掛けると、アフリカの熱帯域や、ナイル川水系の河川で生息しているという返答がスネーカーからあり、皆、電気ナマズが生息する地を求める冒険の旅に向かう目的から、穴の空いた開口部において放たれる鮮やかな光以外、空間全体は暗闇で覆われている内部で、引き寄せられてしまったこの空間から、脱出できる個所が存在するか、それぞれが辺りをくまなく探索し始めた。
その頃、HAARPという気象兵器の存在を知らないニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナーの2人を乗せ、ミッチェル・ジョーンズ・ワートが、運転して車を家路へと向かって走らせていくその道中、そんな彼女たちの前には、その影響を受けてしまった天災により、被害を被った民家の住民と思しき人たちが、呆然としたまなざしを浮かべて、立ち尽くしていたり、直面してしまったこの状況に対して、身近なものに助けとしてすがり付き、おがむ行動を取るといった心に傷を負う人たちが、存在している人々があちらこちらといた。
しかしそれにもかかわらず、情け心を抱くどころか、そのような人たちにわき見も振らずに、不謹慎極まりない言動に及んだ。
「どんどんかっ飛ばせ。こんな走りなんかじゃ、性能を持て余しているよ。本領発揮させな」。
そう突然言いだしたのは、人の感情を相手にして、それをくみ取る仕事を手にしているニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナー、その2人が口を揃えて、相手をいたわる同情心のかけらもなく、ドライバーであるミッチェル・ジョーンズ・ワートをあおったのだった。
そのような立場の2人の口から、到底放たれたとは、想像すら困難な発言に、にわかに困惑するミッチェル・ジョーンズ・ワートではあったが、そんな彼女自身も、悪感情に脅かされてしまっている身であるため、「”本来の自分の感情とは、別の感情が働いている“」。と、にわかに察するも、言われるままに速度を上げ、等間隔に走行する車を交わしながら走る「スラローム走法」という車を、たくみにコントロールするテクニックを見せ付けた。
そうした最中、今度は、ニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナーの2人が放った自身らの言葉に対する違和感を覚え始めたのだった。
それでも、ドライバーを含め、同乗者らの身からしてみれば、速度を増せば増すほど、それがかえって爽快感を生み出させてしまい、「道交法」という壁さえも、乗り越えてしまうほど、意識できずにいた。
そのような状況の最中、F1カーが鳴り響かせるような、甲高いサウンドが突如、後方から聞こえてきた。
その音を耳にした瞬間、バックミラーで確認すると、未だかつて、この瞬間を迎えるまでは、車種の把握までできないながらも、誰も見た事がない、お目にかけられるのが、奇跡といっても過言ではないほど、希少価値が非常に高い車のシルエットが目に止まった。
その車から、似つかわしくないまでに轟かされる音とは異なり、地面を張って優雅な走りで、こちらへと迫ってくるに連れて、ようやく、パガーニ社が誇る究極一台、「ウアイラビーシー」という名のハイパーカーである事を悟った彼女たち。
車の性能を極限にまで、発揮させようとしてエンジンに負荷をかけて走行している彼女たちの傍らにおいて、性能を持て余している走りで、あれよあれよという間に、一定の間隔を保った距離にまで、追い付かれてしまった。
ウアイラビーシーほどのモンスター級なエンジンスペックがあるならば、彼女たちを追い越すだけではとどまらず、瞬間的に遙か先に向かう走りをする事でようやく、本来持ち得ている性能を、引き出す事ができるであろうが、そうする事もなく相変わらず、許容値の中で、安全に走らせる事を堪能しているような感じの印象を常に与えさせていた。
その時、あろう事か、品格など一切存在しない発言を口にしたニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナーは、ミッチェル・ジョーンズ・ワートを再びけしかけたのだった。
「どんどんかっ飛ばせ。穴取られているよ。こんな走りなんかじゃ、先超されるよ。もっともっと本領発揮させな」。
そう言い放ったのと同時に、天空から地上へ射して辺りを覆い尽くすという現象が突如として起こった。
この現象をこの時も、アドレン・クラウディアスは、ナロウボートを操縦しながら見つめていた。
この時はまだゴルレトバーを含む仲間たち誰も知らないがそれが、偶然にも、「“電気ナマズを仲間にしたい”」。という希望を抱くその生物が引き寄せられようとしている前兆の証だった。
電気ナマズが生息しているアフリカの熱帯域や、ナイル川水系の河川において、水中を優雅に泳いでいる最中に、眩い光が差し込んでいる事に気付いたとたん、水中から陸へを場所を移し、再び光のある方向に目をやった。
するとその瞬間、風船のように体が浮遊してしまっている事に驚愕する中、徐々に光の中に吸い込まれていった。
それはゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー達と同様、重力により目を開ける事は愚か、瞬きすら許されない程、目まぐるしく変化する極限の事態にさらされた。
こうして電気ナマズも、それらの生物のいる空間へと引き寄せられていった。
その最中において、本能としてもともと持ち得ている発電するという特殊な能力と共に、もともと持ち得ていない適用、作業、服従が。感覚器官では目でものを認識する事が可能な距離は長くて15メートル未満であるのが、その倍の30メートルまで伸びたり、水平視野が200度に加え、垂直視野も180度まで活性化した視覚。
ヒゲで物に触れたり、振動を感知し周りの状態や獲物を感知する受容範囲であったり、鋭敏さが求められる嗅覚の活性化が。聞き取れる事の範囲を指す可聴振動、人間の耳では聞き取る事ができない音を感知する超音波振動、相手が思考している時や、何らかの目的を果たそうという意志が働いた際に、生態情報は電流が1つの回路の中を、高速度で往復する振動である電気振動によって、発生して起こる筋肉の働きや、水の流れを感知する機械的振動、音として聞こえないまでも振動として感じ取る事ができる低波振動といった音を感知する低周波音という聴覚の活性化が。
さらにこの時はまだ知らないが、行動によって生じる未来における結果の認知や、より良い行動の選択、許容され難い社会的応答の無効化と抑圧、物事の類似点や相違点の判断に関する能力を発揮する役割りを持つ前頭葉や、言語、記憶、聴覚という能力を発揮する役割りを持つ側頭葉、さらには話している内容に対する話し手の判断や、感じ方を表す言語表現を理解する役割りを持つ頭頂葉に加え、視空間形成や色識別、運動把握といったさまざまな視覚形成の働きといった能力を発揮する役割りを持つ後頭葉、そして運動野、体性感覚野、視覚野、聴覚野、嗅覚野、味覚野、言語野など、機能の諸中枢が特定の部分に分布し、それぞれの働きである役割を果たす大脳皮質という、様々な分野に区分し一まとめに呼称された大脳の究極的な進化に加え、人間の話し言葉を話すという異常な進化も起こった事で、全ての生物同様にその『電気ナマズ』も究極と化した。
犬のゴルレトバー、うさぎのラーパン、蛇のスネーカー、イルカのセラフィーン、ビーバーのモーグル、鳥のウィンガー、電気魚の電気ナマズ、種族を越えたこれら生物の進化は、良い意味で例えるなら奇跡のオンパレード、悪い意味で例えるなら超異常現象だ。
本来生息していた場所から、異次元の世界に身を移した事と、生物の分類関係なく共存している2つの予期せぬ現実に興奮のあまり発電させた。
この時はまだ周囲にいる多くの生物が、「“なぜ、自信と同じこの場にいるのか”」というその理由を知るよしもなく、周囲をきょろきょろさせて混乱している最中において、ゴルレトバーが近寄って来てこう優しく声を掛けた。
「僕の名はゴルレトバー。どうぞよろしく。僕達はあなたのような発電能力のある生物を探しに行く旅をしようと計画していたんだ」。
その頃、自宅へと戻っていたアドレン・クラウディアスは、ウェイトレスの彼女と、交わした約束を果たすための調査に加え、切磋琢磨と実験にいそしんでいた。
その成果の甲斐あり、コンピューターのシミュレーションによる妥当性においての理論ではあるものの、さらなる確信を持つ事ができたのだった。
そして、精神を安定させる効能を期待できる物質を持つ薬品の投薬の実験を、捕獲してきた弱い立場のネズミには、摂取量を多くし、強い立場のネズミには、摂取量を少なくするという強弱の差を付けて、実際におこなった。
すると、│”外因性による圧力における自己敗北性パーソナリティ障害“│という彼が、以前に抱いたその心因性の局面による課題も、エサに食い付いているネズミに対して、食べる事ができていないネズミは、恨めしそうにその食べている存在の姿を見ていただけだったのが、投薬した成分の誘発効果により、自らがエサを求めに行くという行動と同時に、エサを求めに行ったそのネズミに対して、最初にエサを食べていたネズミが、エサを譲るという行動も示した事で、わずか3日たらずで克服させたのだった。
自らが成し遂げた成果に、自画自賛に慕っている最中、突然、どこからともなく物音が鳴り始め、それが次第に大きくなったと思いきや、今度は上下左右に大きく揺れ動き出した。
その一方、この瞬間にして、突然発生した地震により、ハンドルを取られる状況に加え、突如出現した広大な光に目を奪われながらも、相変わらず暴走行為の運転をして、ニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナーを乗せているミッチェル・ジョーンズ・ワート。
悪を美化する発言に自覚あるニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナーの2人は、言葉を繰り返すたびに、違和感を覚えるも、発言する前に気付くのではなく、発言し終わってから必ず気付くため、撤回が必要とするべき場面だが、どうにも後に引けないでいた。
そのけしかけられたミッチェル・ジョーンズ・ワート、彼女も彼女で再度、不振に感じつつも、そのように抱く感情と、行動とが比例して、ニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナー同様、後に引けないでいた。
そのような複雑な感情が入り交じっている状況下において、悪を美徳とする誤った感情が、善の感情よりも勝り、それが全面的な表れからの行為として、あろう事か、アクセルを全開に踏みこみ、『ハイパーカー』という名高い称号を持つウアイラビーシーに対して、距離を引き離すという相手を罵倒する行為も愚か、さらなる暴走と化してしまった。
その時、突然、サイドブレーキを引いた後、後輪をロックさせ、意図的にスリップ状態へと導き、ハンドルを全開まで切った。
すると、路面との摩擦によって発生する加熱現象で生成されたタイヤスモークを、辺り一面、真っ白に染めながら、180度に車体が回転した。
この現象は、「スピンターン」という名のテクニックだ。
そしてギアをバックに切り替えてから、そのまま進行方向へと走行し始めた。
ドライバーであるミッチェル・ジョーンズ・ワートのみならず、同乗者であるニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナー、そして他の多くの人たちにも、被害をこうむらせる行為を行っている事は、通常の精神状態であるならば、当然の事ながら理解しているはずなのが、精神的にダメージを受けている現状では、どうにもこうにも、どっち付かずの行動を取ってしまうのだった。
そして彼女が走らせる車の正面と、相手のドライバーが運転する車のウアイラビーシーの正面とで、距離を相変わらず離している状況を保ちつつ、対面するかたちで、今度は走行し始めた。
一方、その彼女たちの背後から、車線をはみ出したり、時には反対車線へと侵入して、周囲のドライバーから、クラクションを鳴らされつつも、こちらへと迫ってくるタンクローリーの存在があった。
だがしかし3人の彼女、誰1人として、その存在の気配に気付く者はいなかった。
さらにその頃、ゴルレトバーは自信の仲間達を電気ナマズに紹介させようと呼び集めていた。
電気ナマズの立場からしてはさっき起こったばかりの局面と、人間の話す言葉を犬がしゃべった現実が重複した影響から戸惑う中において、そう言われた生物達は一斉に電気ナマズの元にやって来るなり取り囲んだ。
そして、次に口を開き話し出したのはうさぎのラーパンだ。
「大丈夫。怖がらないで。私達もこの場所に引き込まれてしまった時はびっくりしたけど、なぜそうなったのかある程度の理由は解明できたから心配しないで大丈夫。そうだ。こちらの電気ナマズさんの名前を考えましょうよ。私達は本来持っている名とは違う特定の名で呼んでいるのよ」。
そう言い終えるとゴルレトバーを呼び寄せ、電気ナマズの生態に関連付ける事ができる適切な名は何かを問い尋ねた。ゴルレトバーはしばらく考察する事、数分の時間が経過した後、おもむろに口を開かせてこう言った。「あの有名なディズニーで行われているエレクトリカルパレードのエレクトリカルと、アメリカナマズ科の淡水魚類の一種、キャットフィッシュを掛け合わせて、『エレクトリカルキャットフィッシャー』。なんてのはどうだ」。
本来であるなら、耳で音を聞き取る事ができないため、低周波音を代わりに用いる事で音を認識するが、人間の話し言葉を話せるように進化を遂げたとはまだ知らないため、感謝の表れとして頭部と、尾部に電力を発電させ、他の生物とは異なる喜びの感情を表す意思表示をした際、その行為と同時に、皆と同様に、人間の話す言葉を発してしまった事で驚いた。その最中において突如、多数の光が穴の開口部から光輝いている場所へと歩み寄って行った後、その中を覗き込むと、世界各地で多発している災害の情景が切り替わる度、それに連動して、テレビの画面に映し出されるテロップという表示方法を用いて、描写している映像が目に飛び込んできた。
その映像に目を奪われていると、今度は生物達が死を迎える映像に切り替わり、その映像にも凝視し始めた。
それと同時に、とたんに体の痛みを訴えだした。
皆、心配に思うまなざしでエレクトリカルキャットフィッシャーを見つめていると、そのエレクトリカルキャットフィッシャーはおもむろに口を開きこう言った。
「私の寿命はそう長くは持たない」。
そう言うなり、腹部を仰向けにしてから皆にその部分をさらした。そして、再び話し出した。
「私を捕食しようとして向かって来たサメに対して、餌なんかにはなりたくはない私は身を守るため、自分の体で発電した電気を起こして捕食者から逃れる事はできたのは良かったのだが、皮膚を食い破って体内に侵入したり、大型魚のエラから侵入して内蔵を食べ尽したり、血を吸い尽くすカンディルという私と同じナマズの仲間が待ち伏せしていたとは知らず、一度強力な電気を放電すると、体力が消耗する私の習性を逆手に取ってそれを利用し、狙いを定められ、捕食されないまでも襲われた時にできた傷だ。最初電気の力を操る私のような生物を探そうとしていたと話していたけど、この悲惨な映像と特殊な力を持っている私とでは、何がどのように関連しているんだ」。
同じ頃、ミニクーパーで暴走行為の運転をして、ニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナーを乗せているミッチェル・ジョーンズ・ワートとウアイラビーシーを操るドライバーがいる場所では、不快な予感を察したウアイラビーシーを操るそのドライバーは、これまで速度を合わせて走行していたのが、均衡を破ったかのように、本領発揮をさせ、進行方向に対して猛スピードで、攻め込んできた。
それと同時に、そのウアイラビーシーを操るドライバーが、クラクションを鳴らしたり、横並びで速度を合わせ走行したりとで、ミニクーパーのドライバーに注意喚起を促すも、その合図を把握する事もなく、ひたすらバック走行をし続けた。
そのような最中、さらに速度を増したウアイラビーシーが、行く手を阻むかのように瞬間的に、ミニクーパーの先頭に出た。
そして、ブレーキペダルを踏む間隔を空け、繰り返し行うブレーキングである「ポンピングブレーキ」。を駆使して、相手のドライバーに徐行するよう促した。
その行為を繰り返し行う中、タンクローリーのドライバー自身、蛇行してしまっている事で招いてしまうかもしれない事故であったり、もらい事故だけではなく、全ての状況においても、「”炎上“」という最悪の局面だけは、何としてでも避けなければならないため、青ざめた面持ちで、ハンドルを握っていた時、我に返ったドライバーは、この瞬間をもって本来、走行すべき車線へと定めたのだった。
危機が刻々と目前にまで迫っていた状況にあった事で、発生しても何ら不思議ではない事故を回避できた最中の一方、ようやく、ミニクーパーを運転するミッチェル・ジョーンズ・ワートは、本来の体制へと整えた。
ウアイラビーシーを操るドライバーが安堵する事を迎えられたその瞬間もつかの間、抱くべき必要性のない神経をすり減らした事から、脱力感を覚え、ハンドルを握る手に狂いが生じてしまい、大きく車線をはみ出しながら、走行してしまった。
そしてミニクーパーを運転していたミッチェル・ジョーンズ・ワートは、その影響を受け、正面からスピードを緩める事もままならないほど、周囲の音を掻き消してしまう衝撃音を発生させるのと同時に、ウアイラビーシーの後ろに激突していった。
一難去ってまた一難の繰り返しの状況が重なって発生したため、不運にも結局は、二の舞という状況下に皆、置かれてしまった。
ウアイラビーシーのドライバーの身となれば、バック走行を行うそのような相手の身を案じたゆえに起こした行動が反対に、自身の身に「”災厄が振りかかってしまう”」。というミニクーパーのドライバーがたとえ錯乱状態に陥っていようとも、まともに運転していたのであれば、発生など起こり得ない事故を相手に引き起こさせてしまった複雑な環境の中、ウアイラビーシーのドライバーは、放心しきっていながらも、車を道路端に寄せ停車させた。
しかしながら、事故を引き起こした諸悪の元凶であるミニクーパーは停車する事はおろか、徐行しながら、被害を与えた車には目を向けず、相手が中年の太った男性という事に加え、その相手が無事がどうかだけを確認しただけで、その場から走り去ってしまった。
当然の事ながら、いきどおりを覚えた彼は、再び車に乗り込み、ミニクーパーを追いかけた。
良いか悪いか別として、彼が放心状態だった事を知らないまでも、ミッチェル・ジョーンズ・ワートは、その彼に対して、興奮のあまり、放心状態だった事を忘れさせるまで、ミッチェル・ジョーンズ・ワートが犯した過ちは、その局面へと至らすまで誘発させたのだった。
そして彼が追いかけていた対象となるミニクーパーを追い詰め、そこで車から降り、再び顔を見合わせたところで、互いの主張をぶつけ合った。
そんな中、怒りの鼓動が徐々に高鳴り、ウアイラビーシーのドライバーの男性にけんまくを立て始めた3人の女性。
彼女らには弁明できる立場に加え、要素など全く存在しないが、ようしゃなしに豹変しきった形相で追いつめ、相手の精神をむしばませていった。
限界へと達してしまった男性は、そびえ立っている崖から身を乗り出し、ついには飛び降りた。
勾配が激しい急な斜面に、全身を叩きつけられるその衝撃を受けながら、転がり落ちていった。
そして、巨大な岩に激突してしまった先で、止まり、その場で意識を失った。
彼が気付いたのは、病院のベッドで寝転んでいる時だった。
おぼろげであるが、突如として襲い掛かってきた何らかの恐れによって、崖から飛び降りた時の場面は覚えていた。
「死期が迫っている」。と、確信した彼は、残った最後の力を指先へとみなぎらせ、ズボンのポケットから一冊のメモ帳を取り出すと、あらかじめ、書きつづってあった「マゴットセラピー」。「かわいそうな3人の女性」。という短い文章と同じページにこう書き留めた。
その短い文章をつづり終えた直後、男性は生死の境を彷徨い続けながらであったが、医師や看護師達の賢明な処置もむなしく、運ばれた先の病院のベッドの上でこうした挙げ句に、息絶えた。
その頃、エレクトリカルキャットフィッシャーに投げかけられた質問に対してゴルレトバーはこう返答していた。
「湿地帯で生息する蛇のスネーカー、大海原を掛け泳ぐイルカ、川で生息するビーバー、大空を駆け巡るウィンガーといった野生として生きる彼らに加え、以前までペットとして飼育されていた僕や、ラーパンにフィッシャー、それぞれが生息していく上で欠かす事ができない環境を、この映像を見て知った通り、何の罪のない僕らを含む生物達から命と共に、生息していくに必要な環境を奪い去らされようとしている今に加え、これから先もこのような状況と同じような局面に遭遇しないよう、未然に防ぐ手立てを施さなければいけないため、あなたが言った通り、あなたの特殊な力が必要なんだ。だけど、あなたのその体の状態を目の当たりにしてしまった今では、力になってくれるよう説得する思いは消え失せた。授かった命は大事にして欲しいから体をいたわりながら生きていく事を僕は願う」。
その主張に対してエレクトリカルキャットフィッシャーはこう返答した。
「近い将来、死ぬ運命となる事が分かっている今、社会に貢献しないでこの世を去る事と、社会に貢献して死を迎える事では、同じ死であったとしてでも、断然後者の方が心置きなく死を迎えられるよ。私にできる事があるなら、喜んでぜひ協力させてもらう」。
そして、企てた計画を実行するに当たり、チーム名を呼称しようという提案を持ち掛けたゴルレトバーは、どのようなネーミングが良いか皆に問い尋ねた時、頭脳明晰なセラフィーンがすかさずこう言った。「ネットワークに囲まれているから、その局面を示唆するのは『サイバー』。英語で大災害、災い、惨事を意味する『ディザスター』。そして、それらを防護する事を示唆するのは、『プロテクション』。さらに我々生物は英語訳で、『アニマル。最後に軍隊や国家憲兵、警察などの治安機関であったり、消防機関の組織を当てはめる表現は、隊であり英語訳でフォース。それらの単語を全て組み合わせて命名したのが、<CYBER DISASTER ROTECTION ANIMAL FORCE>(サイバーディザスターアニマルフォース)というチーム名だ。格好良いだろ」。
そう主張すると全員一致して頷いた。
企てた計画を果たすためには、目を開ける事は愚か、瞬きすら許されない程、目まぐるしく変化する極限の事態にさらされながらも、辿り着いてしまったこの空間を、今度はあえてその中へと、飛び込まなければならない事について皆で会話をしていると突如として、「過去に干渉してしまうなら、歴史が変わってしまうのではないか」。と、話すゴルレトバーに対して、セラフィーンはこう主張した。
「確かにあなたが話すように、過去に干渉してしまうなら、原因と結果の時間の順序が反対と化して、未来が過去に影響を及ぼす可能性はあり得る。それはつまり、全ての事象は、必ずある原因によって起こり、原因なしには何事も起こらないという原理を表す因果律が邪魔して歴史に矛盾が起こってしまうんだ。その影響を回避するための方法は、原因によって生まれた結果に対して元を辿り、なぜそうなったのかという理由を突き止めるなら、人間の命だけではなく、人間が生活できる環境も愚か、僕達生物達の命や、生息できる環境といった局面に対して、起ころうとしている災害の威力や規模が拡大し、失ってしまう可能性のあるこの問題に際しての解決策を自ずと見出せる事ができるんだ」。
CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEの身に起こっているのは、作られた夢の中での出来事だとは知らず、そのCYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEの身からしてみれば、異次元空間にいるその場から現実世界へと、引き寄せられてしまっているという感覚であるが、実際には睡眠中の状態の1つにあたるレム睡眠という現実に程近い、浅い眠りの層の夢に向かうという結果につながる事になろうとは到底知るよしもないため、真剣に解決策となる糸口を見出そうと考察していた。
その一方、ウアイラビーシーのドライバーが死に至った事になるその事故が発生した翌日、報道番組で│”不可解な事故“│として大々的に取り上げられ、世間へと知り渡った。
そのニュースを自宅のテレビで知り得たアドレン・クラウディアスの身に、せんりつが走り、手にしていた注ぎたてのコーヒーが入ったコーヒーカップを落としてしまい、呆然としたまなざしで、番組を凝視した。
過去に2度も感じた胸さわぎが、このような局面であった事実について、何とも言いしれぬあらゆる感情が、その瞬間にして襲いかかった。
彼は無意識の中で、家を飛び出した事に加え、愛車であるホンダの「ゴールドウイング」をトライクに改造したオートバイのエンジンをかけたそれらの状況の記憶はなく、そんな彼が気づいた時には、すでにテレビで報じられた事故現場へと、何かに引き寄せられるかのような感覚を抱きながら、走らせていた最中にて、我に立ち返ったのだった。
そして休む事も忘れ、目的の場所へと向かって走らせているそのバイクは、次第に距離を縮めていった。
それから目的地へとさらに近づいて行く中、報道陣で殺到している光景が目に飛び込んできた。
報道陣側もバイクで近づいてくる男性の存在がある事を把握したとたん、その場にいた1人の年若い女性の報道員がその存在に気がかりとなり、足早にこちらへと寄ってきた。
そして、その彼女を含め、数多く存在している報道陣が事件か事故かの関係性のある人物かに対しての、似たか寄ったかの質問を問いたずねられると、バイクの彼は、「3人いた女性の中のうち2人は、顔見知りである」。という事を供述した。
何の気なしに返答したその発言に対して、その直後から、質問をひっきりなしに報道陣からされてしまったアドレン・クラウディアス。
彼から、詳しい返答を得たいがため、こちらへと攻め寄せてくる報道陣を、彼はかき分けて、自身のバイクのある場所へと進んで行き、運転してその場を後にしたところで、彼女たちの無事を祈り、どこに行方をくらましたのか、その行き先も把握できないながらも、少し走行しては、乗っていたバイクから降りて、徒歩で探し求め、また少し走行しては、バイクから降りて、徒歩で探し求めるという一定の行いを繰り返した。
その頃、彼女たちはうち1人が、盗難したという罪の意識すらないとはいえ、本来の所有者が、この世を去った事を理由に、ミッチェル・ジョーンズ・ワートは、ウアイラビーシーのハンドルを握り、勝手に乗り去るという行為に及んでいたその彼女と、今まで行動を共にしていたニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナーの2人も同様、ミッチェル・ジョーンズ・ワートが盗難に至った車を運転しているという罪の意識もないがゆえに、皮肉にも優雅な気分で、ある1人の中年の男性が彼女たちを探し求めているとは知らずに、それぞれつらなって家路へと向かって行った。
さらにその頃、セラフィーンのその主張に対して、エレクトリカルキャットフィッシャーはこう返答した。
「原因によって生まれた結果に対して、元を辿った末に、解決策は自ずと見えると言っても、タイムスリップでもしない限り、原因が分かる場所まで行くのは不可能だ」。
すると、セラフィーンが再び口を開いて話し出した。
「そうなんだ。この穴から開示されている映像と、僕達の身に起こった全ての現象を照らし合わせて考えると、その局面に影響を受ける何からの物質が存在していて、その物質に体が融合した事を前提にするなら、常識ではあり得ない事が起こったとして確定付けるなら、過去へのタイムスリップが起こる可能性だって決して、ゼロとは言い切れない。だから僕はその可能性に掛ける」。
そう主張し終えた瞬間、セラフィーンは穴の中へと飛び込むと、それに続いて他の仲間達も次々と、その穴の中へと飛び込んだ時、皆この場所に辿り着いた時と同様に、再び目を開ける事は愚か、瞬きすら許されない程、目まぐるしく変化する極限の事態にさらされた。だが、以前と違った影響を受けたのは、異次元空間へと引き寄せられてしまう前の犬のゴルレトバーであるなら、災害が起こる前兆に、異常行動を取って予知するという本能として、もともと持ち得ている磁気感覚の活性化に加え、適応、作業、服従であったり、感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚の感覚器官の活性化が。うさぎのラーパンであるなら、もともと持ち得ている空間情報が備わる本能に加え、適応、作業、服従、感覚器官では視覚、聴覚、嗅覚の活性化が。金魚のフィッシャーであるなら、巨大化しただけでなくゴルレトバー同様、もともと持ち得ている磁気感覚で、災害が起こる前兆に異常行動を取って予知する本能、それとは別に適応、作業、服従、そして視覚、嗅覚、聴覚を持つ感覚器官のうち、嗅覚、聴覚に比べてあまり役に立つ事ができない視覚と共に、嗅覚、聴覚も劣るとも勝らない程の進化が。ペットという立場で飼い主に育てられて来た1頭と1羽と1匹の存在に加え、蛇のスネーカーであるなら温度感知器の活性化と、鼻腔の上部にある皮膚、嗅上皮と呼ばれる個所から、匂いを感知する嗅細胞や、その器官とは別に存在する両性類、爬虫類、哺乳類、鳥類の四肢動物が持つヤコブソン器官とも呼称を持つ鋤鼻器による科学物質の情報を捉える本能とする能力の向上と共に、もともと持ち得ていない適応、作業、服従の能力が加わったり、そして感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚が。イルカのセラフィーンであるなら、生息できるに必要な量の水が存在しなくとも、その悪環境に順応できるまで進化を遂げた事に加え、相手に対する気持ちの持ち方を考察して、コミュニケーションを図る本能、それとは別にもともと持ち得ている適応、作業、服従、そして感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚が。ビーバーのモーグルであるなら、もともと持ち得ている本能の向上に加え、適応、作業の他、反対にもともと持ち得ていない服従が備わり、感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚が。鳥のウィンガーであるなら、読み取る事のできる磁場の距離の本能が拡大された事に加え、もともと持ち得ていない適応、作業、服従が備わり、感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚の活性化が。電気ナマズのエレクトリカルキャットフィッシャーであるなら、本能としてもともと持ち得ている発電する能力が向上した事に加え反対に、もともと持ち得ていない適応、作業、服従が備わり、感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚の活性化が。野生として生息して来たスネーカー、セラフィーンや、モーグル、ウィンガー、そしてエレクトリカルキャットフィッシャーの4匹と1羽の全ての生物は皆、生態の進化が起こった事に加え、人間の話し言葉を話したり、ペットとして飼われていた立場の生物には、飼い主から命名された名を持っていた事に対して野生の生物達は恨めしかった事から、仲間から名を命名されてもらったり、さらには世界各地で起こっている災害に対して、今後に影響が及ばないよう、手はずを施そうという企てた計画を実行するに当たり、チーム名を呼称するといった行いがあった以前の生活環境の時にまで、脳の働きの衰えをなくしながらも、動画を逆再生するかのように、時間が逆回しとなる時間反転という現象が起こり、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEはそのような局面まで一瞬にして戻ってしまった。
それでも強化に至った思考力に、影響が及ばなかった事が何を失ったとしてでも、それだけが救いだ。
さらにその頃、彼女たちの行く先において、的を射たかのような感覚を感じ取ったアドレン・クラウディアスは、何の迷いや動揺もせず、確信を持つかのように速度を増して走り続けた。
その最中において、遺体から発見された所持品として、短い文章で、「マゴットセラピー、かわいそうな3人の女性」。と、書き留められたメモ帳が、メディアを通して流されたのだった。
その情報をバイクの走行中にて、ラジオで知り得た彼は、聞き覚えのないマゴットセラピーというその言葉に、興味が湧いてきた反面「”何らかの面で女性たちは関与していた“」。と、知ったため、戸惑いを隠せずに、ただひたすら、自身の感覚によって、導かれる進むべき方向へと、わき目も振らずに走り続ける事でしかできない自身に対する不甲斐なさを身に浸みながら、これまで以上にアクセルを開け疾走させた。
そのような最中、ハンバーガーの自販機があるのと同時に、そのすぐ横に、ミニクーパーと、ウアイラビーシーの2台の車がある事を悟ったアドレン・クラウディアス。
だが、車はあるとしても、肝心の彼女たちの存在がない事に違和感を抱き、乗っていたバイクから降りて、ハンバーガーの自販機の横に、その2台の車が止まっている方向へと、進んで行った。
彼女たちは、自販機の裏に身を寄せあいながら、人目を避けていたため、当然、正面から来たアドレン・クラウディアスには、彼女たちの存在に知るよしもない。
そんな彼女たちの耳に、こちらへと足音が徐々に近づいてきている事を察した瞬間にして、意識しなければ、出そうになるすすり泣く声を必死にこらえながら、皆で抱き合って、不安を共有するかのように、その場をしのごうとしていた。
その最中において、犯した過ちに起因する負の感情のアベレージが上昇し、それが一定のラインを越えると、”乱れる“というこれまで起きなかった逆転現象が起こる実態を、負い目が押し寄せてくる感覚に自覚があったため、この時を持って知り得た。
彼女たちの感情に、変化のきざしが訪れいるとは、知るはずもないアドレン・クラウディアスは、そんな彼女たちがいるハンバーガーの自販機の裏へと回り込んだ。
こうして顔なじみのあるニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナーの2人との再会に加え、初対面の女性との新たな出会いも果たした。
その頃、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEの目の前に、幾つも並ぶ巨大な鉄の柱が立ちはだかり、それらが建つ場所の奥へと歩んで行った。
その最中において、生態が強化した際、わずかな水分量でも、命の存続が危ぶまれる状況などなかったセラフィーンの身に、野生の時と同じ状態へと、逆戻りしてしまった事から苦しんでいた。そのセラフィーンの身に、突然起きた異変を察したフィッシャーは、以前と同様、水しぶきをセラフィーンの体に付着させようと、金魚鉢の中で数回飛び跳ねた。だが、生態が野生の時の状態へと化してしまったせいで、今にも息絶えてしまいそうな苦悶なまなざしを醸し出しながら皆を見つめていた。その時、仲間を失ってしまうであろう可能性としての悲壮感を感じてしまったエレクトリカルキャットフィッシャーは、仲間が死すると確定したわけではないのにも関わらず、取り乱し強力な電気を発電させた後、四方八方に発電したその電気を放たせた。
その瞬間、エレクトリカルキャットフィッシャーの体から放たれた電気を皆、一斉に交わしたのと同時に、偶然にもまさにそれが、DISASTER COMPANY CORPORATIONが作り上げた人為的に気象を操り、災害を巻き起こす事が可能なHAARPという呼称を持つ高周波活性オーロラ調査プログラムに衝突した。
そしてその瞬間、辺り一帯に爆音が轟いた。その影響からさらに勢力を増したブラックホールは、数多く多発するあらゆる惨事を招く事になった諸悪の元凶であるDISASTER COMPANY CORPORATIONでさえも呑み込んだ。
HAARPを稼働させた影響で、巨木に匹敵する程の電磁パルスが発生した影響により、宇宙船やUFOから放たれそうな彩り豊かな光線が垂直に伸びて上空を照らし始めた時、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEは目を開ける事は愚か、瞬きすら許されない程、目まぐるしく変化する極限の事態にさらされながらも、別世界へと引き込まれてしまったという事象が、過去に起こっていたそんな課程を、その組織はもちろん知らないが、そのような局面と同様な感覚で、災害の映像を映し出しているこの映像が呑み込まれ末に、重力場が限りなく大きい場所として、位置付けられる特異点という降り立った同様の場所へと、真っ暗闇の中を組織も辿って行き、その場所に到達した。
DISASTER COMPANY CORPORATIONは、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEのように生態が進化する事がなければ、生態が進化していないにも関わらず、進化した状態から進化していない時の元の状態へと、逆戻りする時間反転が起こるという事も、もちろんあり得ないが、それでも紛れもなく自業自得から引き起こされた状況だ。
目まぐるしく変化する極限の事態にさらされた状況から、激しい酔いに襲われたDISASTER COMPANY CORPORATIONは意識を失った。
それからしばらく時間が経過し、一斉に目を見開かせると、多数の光が穴の開口部から光輝いている場所がある事に気付いた。
そして、その場所へと歩んで行くと、自らの組織が作成した世界中の至る場所で見舞われている災害の情景を、テレビの画面に映し出されるテロップという表示方法を用いて描写するように、被害で被られている被災地が切り替わる度、それに連動して、映し出されている情景も順次表示されている光景が目に飛び込んで来た。
その瞬間、今まで災害で被災し、苦しみもがく被災者達の姿を眺める事で捕食し、エネルギー源として命を繋いでいた組織であったが、組織自らが招いた許容範囲を遙かに超える状況に発展してしまった惨事により、栄養を蓄える事ができなくなった事から、体力が限界へと近付いた時、エネルギー不足が原因で、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEの身に直面している睡眠中の状態の1つのレム睡眠という現実に程近い、浅い眠りの層の夢へと陥った。
その一方、アドレン・クラウディアスは、大人として彼女たちが犯した行為の情けなさであったり、心を相手にする職を持つ者としてのあるまじき行為から、込み上げてくる幾つものあらゆる要素が、入り交じった言葉では言い表せぬほどの心理的要因で、頭の神経回路が狂ってしまいそうな状況下に置かれているその中でも、彼が一番心を痛めているのは、人を死に追いやったという事の事実を心の底から憎んでいた。
それでも罵声を飛ばす事なく、1人の男性の人を、死に追いやった過失のあるその彼女たち1人1人に、今は亡きその男性の思いをないがしろにしてしまう事を覚悟のうえで、同情するにあたいしない諸悪の元凶の彼女たちに対して、感情を重視させ、ほうようし始めた。
こうして刻々と、時が過ぎ行く最中において、涙声でありながらも、りゅうちょうに言葉を発したニーナ・ユイナー。
「私と、妹は、こちらにいる方の心のケアの手助けをしていたんです。最初のきっかけは、こちらの方が来訪していた時に、出会った時でした。その後は在宅で治療をしていました。彼女は、花や芸術がお好きで、野外での治療を気分転換も込めて、実践したんです。
そして自然を求め、共に外出するようになり、
お互い隔てのない関係へと、お会いする回数を重ねていく中でなっていき、その証拠に先日から、温泉旅行に来ていたんです。
すると、さっきまでりゅうちょうに話していた彼女だったが、この先の話しをしようとすると、口ごもらせ、挙げ句には、口を閉ざしてしまった。その彼女の異変にきづいた妹のカナエラン・ユイナーが機転を利かせ、こう話し出した。
「そのゲームは仮想空間で、私たちの分身となるアバターを投影して、それぞれが作ったキャラクターを動かして、自由自在に自分の意のままに過ごすものだった。ジャンルとしては、ロールプレイングゲームでした。そして、私たちは、ゲームの最初から、取得していた地図を読んではいたものの、気まぐれにフィールドを散策していたんです。その最中に、アバターの目の前に、恐ろしい外見をした魔物が立ちはだかったの。今、振り替えって考えると、魔物に出くわしたのは、暴風や地震の影響を受けたのか、もしくは、たとえもし仮に、仮想空間にその魔物が潜んでいたとしても、程度はそれほど悪くなく、その暴風や地震から、そのような存在が生成されたのかは見当は難しいですが、でもいずれにせよ、あの時発生した暴風や地震は、ゲームに及ぼした何かしらの因果関係があるに違いないと、言い逃れするつもりは当然ありませんが、そのように実感しています」。
彼女がそう主張し終えると今度は、アドレン・クラウディアスがこう切り出した。
「話しの概要はおおよそ理解できた。さっき地震という言葉を口にしたが、その時、同時に起こった不可解な現象には思い当たらなかったかな」。
そう言われるも、彼女たちは施設内にいた事に加えて、ヘッドマウントディスプレイを装着してのゲーム時だったため、何の事を言っているのか見当もつかず、それぞれの顔を見合わせた。
その最中において、彼女たちに対してこう質問を投げかけてきたアドレン・クラウディアス。
「何を根拠に天災がゲームに影響させたというんだ」。
その問いかけに対して、今度はミッチェル・ジョーンズ・ワートがこう話し始めた。
「その点については、本来の私たちの性格とは別の性格となる顔が表れて、混合してしまい、悪感情は、モヤモヤしたなかですが、何となくそれは”悪に近いものである”と、感じていました。おそらく彼女たちも私と同様、自分で発言した言葉に、心なしか違和感を覚えていたという精神状態にあったのではないかと推測します。全ての物事にそう考察する以外にはつじつまが合わないんです」。
その主張対してアドレン・クラウディアスは、こう質問した。
「では車で暴走に至った経緯も、その要因の一つだと言うのか」。
その質問に対して、一言だけ、「はい」。と、返答したミッチェル・ジョーンズ・ワート。
そして、アドレン・クラウディアスが彼女たちの表情を伺うなかでの判断ではあるが、それでも偽りを語っているのではない事は、心理学者である彼の目には映って見えたのだった。
なぜなら、人に悟られてはいけないような状況に直面する時などは、事の正確さを正そうとするあまり、本来あるべきでない事をあったかのように瞬時に仕立て上げ作りだす際、大抵は交感神経が働いて、表情筋と呼ばれる顔の筋肉が緊張し、瞳孔が小さくなる傾向があるのだが、彼女たちの場合はいずれもそのような傾向を見る事ができなかった。
つまり、偽りを語っていないという証拠だからだ。
そして、温泉施設で稼働していたゲーム機、及び、そのゲーム機が天災を受けた事によって、及ぼしたとされる原因を持つシステムの異常を確かめるべく、アドレン・クラウディアスは、「”1人で向かう“」。という感情が働いた。
そして同時に、警察に電話で3人の彼女たちと共にいる事を伝えるも、その彼女たちを保護するよう説得した。
それから程なくしてから、無線にて連絡を取り合ったパトロール中の警察官へと情報が回り、駆け付けた警察官から約束通り、彼女たちは無事保護されたのと同時に、盗難に至ったウアイラビーシーに加え、ニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナーの2人が所有するミニクーパーも無事回収されたのだった。
その頃、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEの場合に関しては、意思を持った映像が、その組織CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEの潜在意識へとテレパシーを、ブラックホールからワームホールを通過し、ホワイトホールを抜けて伝達させ、それとシンクロした影響により、意識が長く続く深い眠りに陥り、夢の中へと入っていったというその一方で、DISASTERCOMPANY CORPORATIONに関しては,
エネルギー不足が原因でその組織は、睡眠中の状態の1つのレム睡眠という現実に程近い、浅い眠りの層の夢へと陥ったというその組織の身に起こった局面とでは、多少の食い違いが生じたものの、両組織共に眠りに就いたという事だけ考えるならば、結果的には同じ局面を迎えたという事象に直面していたのだった。
それは浅い眠りのため、意識がもうろうとしている中において、意思を抱いた映像が今度は、ブラックホールからワームホールを介し、ホワイトホールを抜けて潜在意識にテレパシーを送り、夢を見せるという複雑な仕方ではなく、直接、潜在意識にテレパシーを送り込ませ、DISASTER COMPANY CORPORATION自らが作り上げた世界各地で多発している災害の夢を見させた。
その状態が続く中であっても、自分の犯してしまった罪の重さを抱くという意識に、捕らわれる事はなかった。
そして突如、薄暗い空間の中で会話する声が耳へと入って来た。
現実に程近い夢という空間にいるとは知るよしもないため、声が聞こえているその事態に困惑しながらも、その夢の中でうつろな目を開かせた。
その時、話し声が徐々に大きくなってきている事と、その会話を交わす主達が複数いる事、そしてその存在が周辺まで着々と距離を縮めているという事の3つの状況を把握した。
その一方で、数多く多発するあらゆる惨事を招く事になった悪の元凶であるDISASTER COMPANY CORPORATIONという呼称を持つ組織がいるとは、知るはずもないものの、空間情報の働きを本能として持つラーパンであったり、スネーカーの持つ温度感知器の働きに加え、鼻腔の上部にある皮膚、嗅上皮と呼ばれる個所から、匂いを感知する嗅細胞の働きさらに、鼻腔の上部にある皮膚、嗅上皮と呼ばれる個所から、匂いを感知する嗅細胞や、その器官とは別に存在する両性類、爬虫類、哺乳類、鳥類の四肢動物が持つヤコブソン器官とも呼ばれる鋤鼻器による科学物質の情報を捉える本能の働きにより、何らかの存在が迫って来ている事を、その1羽と1匹は把握できた。ラーパンや、スネーカー以外の存在であるゴルレトバー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー、エレクトリカルキャットフィッシャー達は、DISASTER COMPANY CORPORATIONが眠っているとは知らず、そこに辿り付いた瞬間、ゴルレトバーの前足がつまずき、ドミノ倒しのように一斉に崩れ落ちてしまった。そして、つまずく原因となったものを探ろうとした時、上半身が人間、頭髪は無数の毒蛇、イノシシの歯、青銅の手、腹部から尾の先までの下半身がアナコンダのように、太い蛇と化した黄金の翼を持つ複数の物体である事を把握すると同時に、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCE以外この場所には存在しないのに、複数の別の存在がいる事に疑問を抱いた。その存在は紛れもなく諸悪の元凶であるDISASTER COMPANY CORPORATIONだ。
その同じ頃、アドレン・クラウディアスは、問題を引き起こしたとされる温泉施設のゲームについて、彼女たちから聞かされた話しを警察官に説明している最中、警察官らも不可解に感じ取ったため、その温泉施設の場所を知っている彼女たちに問いたずね、その場所を特定できると、現場へと向かう事となった。
時間の流れと共に、行き着いた先で、中継車や報道陣で溢れている現場に突如、パトカーを運転していた警察官の1人が、地に足を下ろした。
それと同時に、1人の年若い女性の報道員と再会したアドレン・クラウディアス。
そしてその彼女から、3人の女性が置かれている局面から、抜け出せるための救いの手を差し伸べるよう願い出された事で無論、自らの責任を果たす事であったり、人の命の重さを知らしめなければならない事、犯してしまった罪を償わさせなければならないというあらゆる事柄における務めを果たすと誓ったのだった。
そして、ウェイトレスと過去に交わした約束と、今回発生したこの出来事の双方が結び付く事の運命に向かう事となるのだった。
一方その頃、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEはその不気味な容姿に驚く以上に、今まで目にしてこなかった存在が、この場にいる事について驚愕していた。
そして、なぜこの場に存在するのかという疑問となるその課程に加え、この存在の正体を後に知る事になる。ぶつかった拍子に目を覚ました組織は一斉に辺りを見渡すと、そこには犬、うさぎ、蛇、イルカ、ビーバー、鳥、金魚、電気ナマズといった種族を超えたあらゆる生物の姿が目に飛び込んで来た。目で捉えたものを石に変えてしまうという能力を持っているこの不気味な存在から、この時はまだ目で捉えたものを石に変えられたり、変えてしまうというその現実を知るはずもないが、そのような局面における対象となってしまったものの、幸いな事にこの時はなぜか、石と化する事なく事なきを得た。ぶつかって来た相手であるCYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEの存在は、DISASTER COMPANY CORPORATIONが死を予告するという事実を湾曲した映像を作った相手に対して、身勝手な理由であらゆる大惨事を引き起こして起きながら、巻き添えにして被害者と化してしまったその相手に、そのあらゆる大惨事を引き起こした張本人達が、目の前にいる組織だとは、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEは知らないのをいい事に、罪の意識を多少なり感じさせながらも、DISASTER COMPANY CORPORATIONのうちの1人の存在は、空腹のあまり食料をねだった。
「ここには食料はない」。と、犬達の仲間のうさぎから言われてしまった。
その瞬間にして初めて、自分達の犯してしまった罪の重さをことごとく痛感した。そして、この瞬間にしてDISASTER COMPANY CORPORATIONは単極性気分障害を発病させた。それは、いわゆるうつ病であるが、数多く存在するそのうつ病の中で、分類されるうちの1つとされ、犯してしまった罪に対する自責の念や、何らかの局面における心理的な原因によって起こる精神的な病だ。その精神疾患が襲い掛かったのだった。組織は当然の事ながら病名を知らないものの、酷く落胆したまなざしを浮かばせた。
耐えがたい状況に置かれているCYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEだが、その組織の中にいる相手の感情を読み取れる特質を持つゴルレトバーとセラフィーンは、他の存在に対して気を配るだけでなく、礼儀を表明する事に値などしないそれらの存在だという事も知らずに、心配そうなまなざしを浮かばせた。
その一方で、ゴルレトバーとセラフィーン以外の仲間達は、見ず知らずの不気味な存在に対して、若干見下した雰囲気を出した。
その頃、1人の年若い女性の報道員は、顔見知りというだけで、事件か事故かも把握できていないこの問題に対し、関係性もなさそうなこの男性が、「”自らの責任を果たす“」。と、まで断言するその言葉に対して、疑問を覚えたその彼女はこう問いかけていた。
「3人いた彼女の中のうちの2人は、心理学を専攻していて、その時代、私の教え子だったんです。ですから、今回起こったこの件において、監督不行き届きだった私の責任でもあるのです。そのため今、我々がこの場にいるのは、ゲーム機の調査に向かう道中からなのです」。
アドレン・クラウディアスが打ち明けた事により、2人の彼女との接点があった事の事実を、報道員の彼女が知ると突然、「同行したい」。と、言い出した。
そのやり取りを聞いていた他の報道員も、報道という位置付けを度外視にして、個人的興味から、現場に向かう事の許可を警察に揃いも揃って願い出ると、その要望に警察は答え応じた。
それから交通手段があるのか、警察官の1人から聞かれると、皆で顔を見合せた後、ほぼ同時に中継車を指差した。
ところが、個人的興味という面からして、中継車で向かう行為は矛盾しているとされ、自らの車を足代わりに使用しても良いと、そう言った人物の自宅が今、皆がいる現在地近くにある事から、車の手配をするため、そこへまずは案内された。
そして、木製のガレージのシャッターを開け放つと、そこには、ウアイラビーシー同様に、稀少価値の高い、『エムテック使用』の「シビックタイプアールユーロ」。に、開閉式のサンルーフが取り付けられているのと、なだらかな曲線を描く加工が施された専用エアロをフロント部、サイド部、リア部に身にまといつつ、どこか落ち着いた印象を抱かせる無類の車好きにはたまらない最高のコンプリートカーが、きらびやかな白に対して、タイプアールの代名詞の証である赤いエンブレムを放ち、見掛けでは分からない内なる性能を秘めさせるかのようなたたずまいで保管してあった。
そして、興奮を隠しきれない報道陣の中の1人は、すぐさま、その車がある場所まで駆け寄って行き、車のキーを手渡された瞬間、エンジンスタートスイッチを押した。
すると、その瞬間、低音のエンジン音が響き渡った。
そして性能を持て余しているほどのゆったりとした速度で、元いた場所まで進んで行き、合流したところで、標準的な速度で走行し始めた。
エンジンの回転数に連動して、速度を増せば増すほどに、ダウンフォース効果が表れ、ステアリングを握る手、アクセル、ブレーキングのフットワーク、そしてクラッチを踏み込む事によって可能となるシフトチェンジをする手の平から、全身を貫き通すほどにまでダイレクトに伝わってくる、「過給機エンジン」。とは異なる「自然吸気エンジン」ならではの加速力を感じる度に、開閉式のサンルーフが取り付けられたその開口部から、爽快感ある風を肌で感じ取る清々しさを体感している反面、高鳴る鼓動といった双方の要素を同時に、堪能できている事で、病み上がる事などない興奮は、ついに最高潮に達した。
その高揚感を察してなのか、パトカーを運転している警察官も速度を上げ、目的地へと向かって疾走した。
こうして、バイクに乗ったアドレン・クラウディアスはパトカーに先導されながら、来た道を再びたどって温泉施設へと向かったのだった。
一方その頃、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEに加え、
DISASTER COMPANY CORPORATIONらの組織がいる環境下において、
ゴルレトバーを除いた仲間たちをよそにしながらセラフィーンは、おもむろに口を開き皆を自己紹介していた。
「彼は犬のゴルレトバー、彼女はうさぎのラーパン、彼は蛇のスネーカー、彼はビーバーのモーグル、彼は鳥のウィンガー、彼は金魚のフィッシャー、彼は電気ナマズのエレクトリカルキャットフィッシャーで、そして最後に僕はイルカのセラフィーン。と申します。どうぞよろしく。困った時はお互い様さ。僕達はあなたみたいに食料難ではないが、僕達がこの異次元の世界へと来る前まで暮らしていた地球という星が、多くの災害が起こり甚大な被害をもたらされるよう予告されているのと同時に、僕達の命もついえるよう予告されているんだ。だから僕達の命の期限が迫る前に、予告されている災害を食い止めなければいけないため、この空間を脱出する事が先決なんだが、どうにも迷い込んでしまったらしい。この空間にとどまっているばかりではどうにもならないから、まずは脱出する策を共に考えよう」。
その時、DISASTER COMPANY CORPORATIONのうち1人の存在がおもむろに口を開きこう言った。
「第二次世界大戦が終わってからの時代、高度経済成長が発展した影響で、戦争で被害を受けた道路や、宅地造成地、線路の開拓が行われる事となったとたん、戦時中は生きる術を講じるため、もがき苦しみながらも、その時その時に直面する問題に協力し合って乗り越えて来たのが、ひとたび状況が良くなると分かると、戦時中の時に経験した苦悩を忘れ、まるで手のひらを返したかのような振る舞いをする人間の言動に対して、いらだちを覚え始めた。その時、戦時中の最中においてたとえ軽べつや、迫害をもらたす行為が行われれる事が起ころうとも、情け容赦のない精神、思いやりに富む精神、正義感という強い精神を反映する人情味豊かな事柄における局面が相次いでいたのが、その時に経験した苦悩とは裏腹に、悪を愛する事を前提とした振る舞いをする人間達にあきれ返ってしまったため、植物が栄養分を欲しているのにも関わらず、補う事ができず、枯れ掛かっているのと同様なくらい生気を失い掛けていた。そして、その影響に誘発して、それまではケンタウロスの姿でみ使いという立場として君臨していた時には存在していた優しかった心、勇敢だった性格と同時に、精悍さのあった容姿が人体で言うなら、上半身が人間、頭髪は無数の毒蛇、イノシシの歯、青銅の手、腹部から尾の先までの下半身がアナコンダのように、太い蛇と化した黄金の翼を持つメデューサという以前のケンタウロスからは、想像も付かない不気味な姿へと一瞬にして我々は、このような不気味な姿と変貌してしまった。さらに宝石のように輝くこの目は、見た限りでは美しく思えるが、それは見掛け倒しで実際は、見たものを石に変えてしまう能力が備わっているんだ。そんな残酷な能力を持ってしまったがゆえに、我々は悪魔に近い存在に化してしまった事だけではなく、座していた立場までをも失ってしまったのだ。さらにそれらの局面だけではとどまらず、人間が直面する困難や苦境、逆境、悲痛といった艱難辛苦で苦しみもがく者達の姿を眺め、それをエネルギー源としなければ、命がついえてしまうという生態へと我々の体は進化してしまった。そこで我々は命の存続を保たせるため、悪夢を意識と潜在意識の境界領域より下に災害で被災して苦しむ被災者達の姿の情景を刺激し、暗示を掛けるサブリミナル効果を働き掛けながら命を繋いでいた。その企てに功を奏したと悟った我々は、歯止めが利かなくなりエスカレートしてしまった影響から、それだけではあき足らず、DISASTER COMPANY CORPORATIONという呼称する人為的に悪習を蔓延させる事を企てるチームを構成した。今度も企てを確立させようと、成功する可能性のあるあらゆる研究を続けていく中、地球を取り巻く大気の上層部にある分子や原子、そしてが太陽からの紫外線という物質に加え、エックス線によってイオン化となり、生成される電離層を用いる事で、気象を自在に操り変化をもたらす事により、企てが実証できるとして確証付ける事ができた。そのイオン化となって、生成される電離層を集めた結果として誘発する影響から、人為的に雲の動きや気候をコントロールして、多くの災害を引き起こす事が可能であるという結論に至った。そして、出力数100万ワットの高周波を構成できる装備を施した何100本にも及ぶ、その特殊なアンテナの作成に取り掛かった。それはHAARPという呼称を持つ高周波活性オーロラ調査プログラムだ。そしてようやく完成へと至った。それらを林立させ、バリケードを施し、施設化してシステムを稼働させると、アンテナの天辺から青、赤、黄、緑の4色が環境兵器として用いるのが不釣り合いな程の眩い閃光が空高くそびえ立ち、それが太陽の光に反射し、グラデーションに化しながら渦巻き状に一体化となった。そして、その幻想的な光は、反射する太陽の光の影響から増幅し、施設の一部分から徐々に全体へと行き渡り包み込んだ。すると今度はその施設に加え、施設がある上空にUFOに似た巨大な積乱雲が出現した。そして、朝の時間から昼へと移り代わり、日が暮れて夜になり掛ける頃、紫、藍、青、緑、黄、橙、赤に染まった上空を揺らめくカーテンが出現し、太陽風や磁場の影響によって巨大化したり、小さくまとまったりして見え方に変化を表した。人間達はどのような目的があってこのような巨大な施設を作ったのか、はたまた、誰が作ったのかという全ての事を、我々が闇に包み込んでいた事から、その人間達の間ではこの時において、2つの要因をひとくくりにしてダークビルダーと呼称した。人間を対象に突発的に起こったその華麗な現象を、最初はあえて感動させておいて、その余韻に滴らせ、後になってから一気に奈落の底へと落とさせるようDISASTER COMPANY CORPORATIONという名の我々が組織する仕業に誘導させられているものに加え、その現象が地球という名の星において、多くの損害を被らせる事になろうとは知らずに酔いしれていた。それから巨木に匹敵する程の電磁パルスが発生した影響により、宇宙船やUFOから放たれそうな彩り豊かな光線が垂直に伸びて上空を照らし始めた。人間達の感情はその瞬間にして、さらなる高鳴りを上げた。するとその直後にして、不可解な現象が起きているこの界隈に建つ民家において、金属でできた犬小屋で飼育されている犬であったり犬と同様、金属でできた比較的大きいケージの中に入って外で飼育されているうさぎ。さらには野生の蛇の爬虫類、イルカ、ビーバーなどの哺乳類という野生の生物に加え、寒波で激しい気候にさらされてしまったせいで、住みやすい場所を求めるため、寒冷地から温暖地へと移動している最中の鳥、想像絶する事態が突然襲い掛ったがため、飼育されている金魚を車内に乗り込ませ、その場から離れようとするその車の屋根を無残にも破壊させて、屋根もろとも一緒に避難して来た金魚も水の入った鉢ごと、引力で引き連れられてしまう性質と密接に関わりを持っていたため、人間を除くあらゆる生物達が、その垂直に伸びる彩り豊かな光線へと引き寄せられ、それぞれの生物が風船のように上空へと吸い込まれていった。あなた達がこの空間に存在するのはそのせいだからだ。このような事態になってしまったのは、実は我々組織の身勝手な失態によって起こってしまった出来事なんだ。本当に申し訳ない事をしたと思っている」。
その頃、パトカーに先導されながら、来た道を再びたどって温泉施設という目的地へと進み行くなか、天災の被害を受けた道路や、民家がその場にいた皆の目に飛び込んできていた。
最初、この道を走ったニーナ・ユイナー、カナエラン・ユイナー、ミッチェル・ジョーンズ・ワートの3人の彼女は、そのような光景を直視していたが、心理学を職にしているニーナ・ユイナーとカナエラン・ユイナーの身であれば、なおの事、心理学を学ばずとも、そのようないんさんな情景を目の当たりにしたなら、哀れみの精神はおのずと生み出されるが、彼女たちにはその感情すら存在していなかった。
そのため、初めて見る光景として、その陰惨さを物語る記憶を脳裏に植え付けた。
それからして、目的地に到着するやいなや、
警察がゲーム機を調べている一方で、報道の若い女性が意味深な言葉をつぶやかせた。
「慎重に気付かれないように」。
そう一言だけ言った後、ゲーム機の回りを一周してから、少しの間見つめ終えると、そのゲーム機に付いてあるボタンを何のためらいもなしに押したのだった。
何気なしに起こした彼女のその仕草をアドレンは見過ごしておらず、そうとは知らないそんな彼女は、何事もなかったかのように、おもむろに出現してきたヘッドマウントディスプレイを装着した。
すると、残った人物たちも次々に、ヘッドマウントディスプレイを装着し始めた。
その機器の画面上に映像が写し出されたのは、 フクロウの頭を持ち、腕から足先まで掛けて、グラビアアイドルや、レースクイーン顔負けのスレンダーとそのうえ、背中にはハシビロコウが持つような翼があり、さらにはAV女優に対しても勝るとも劣らないふくよかに育成した乳房が露わとなる一糸纏わぬ姿をした魔物である存在だった。
それに続いて、前頭を残し、頭頂部から側頭部そして、後頭部にまで至って髭と、一体化するまで覆われた剛毛なうえに、腕と引き締まる肉体の双方共、筋肉で施された肉付きの良い上半身体をしているのとは裏腹に足は、標準的にほっそりとしているものの、長さは短足であり、なおかつ、その足の指に生えている爪の形状は長くて、ひらがなとカタカナのどちらにおいても、共通語となるナイフ状で殺傷脳力に長けていそうな、「へ」。という言葉に酷似している不自然なほどのアンバランスをした特徴ある持ち主の映像が、同じような出現の仕方で投影されてきた。
さらにこれに順じて、背丈は小柄で毛が生えておらず、頭から足先まで掛けての全身の肌の色は、緑に加えて、水分を多く含んでいるかのようなヘアースタイルは、頭皮に密着している形状を保ち、かつセンター分けで、耳は側頭部の付け根から頭上に掛けて徐々に細くなっているという特徴的な形状を持つ存在も、投影されてきた。
通常この段階で、ニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナーや、ミッチェル・ジョーンズ・ワートの3人の彼女のように、自身の分身となるアバターを作成する項目に切り替わるが、ゲームに対して個人的興味と称して、今回、共に行動をしていた4人の男女に関しては、自身の分身となるアバターを作成するというその項目を飛び越して、ヘッドマウントディスプレイを装着した直後に投影してきた事を踏まえて考察すると、過去に作成し、ログインしていた事から、通常の段取りよりも、次に進むのが早かったのだった。
つまり、このゲームの存在をこれまで隠していたものの、実際は経験者という事だ。
同じ頃、長々とした主張をDISASTER COMPANY CORPORATIONのうち1人の存在が終えた時、今度はセラフィーンが長々とこう主張していた。
「あなた達が主張した夢という全ての状況に、通常ではあれば起こらないはずの異次元空間に、我々が吸い寄せられてしまったという局面に置かれてしまい、世界中の至る場所で、被害が見舞われているその被災地が、テレビの画面に映し出されるテロップという表示方法と連動して、被害が見舞われているそれらの被災地が、順次表示して切り替わるようにしてある映像を用いて不安要素を脳裏に植え付けると同時に、不安をかき立てるものを目の当たりにした事から、それらの災難を回避する方法を見出し、その見出した策を用いて事を未然に防ごうという計画を僕達は行い、その立てた計画に伴ってCYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEという名のチーム名も呼称したんだ。あなた方が犯した過ちによって自業自得と化し、自らにも災難が及ぶ羽目となってしまった今では、僕達と同じ被害者である事には代わりはない。だからあなた達も僕達のチームに入って、一緒にこの環境から脱出をする術を考えて欲しい」。
セラフィーンがそう主張し終えた時、スネーカーがDISASTER COMPANY CORPORATIONの1人の存在に、睨みを利かせた形相で襲い掛った。
その最中において、それを見ていたビーバーとウィンガーの2匹も便乗して襲い掛った。
その行いに誘発されたラーパンも同じくいきどおりを覚え、不快感がつのりつのったため、地面を後ろ足で強く踏み鳴らす行為を指すスタンピングを何度となく繰り返した。
その瞬間、ゴルレトバーがラーパンとスネーカーを、セラフィーンがモーグルとウィンガーをそれぞれ捕まえて動きを封じ込めた。
その時、フィッシャーは金魚鉢の中で跳ねたり、エレクトリカルキャットフィッシャーは電気を起こしたりとで、安心した様子を醸し出した。
その最中、生息していく上において必要な水を体が要求しているものの、補給できなくて苦しまぎれにしているセラフィーンが、重い口を開いてこう言った。
「困った時はお互い様さ。協力し合って直面しているこの問題に立ち向かおう」。
彼らが心の底から犯してしまった罪により、後悔にさいなまれていると知ったため、相手の欠点に目を止めるのではなく、丁寧な口ぶりで対応して思いを尊重させた。
そんなセラフィーンにゴルレトバーとフィッシャー、さらにエレクトリカルキャットフィッシャーらは胸が熱くなるのを感じている最中において、さっきまで闘争心をむき出しにしていたラーパン、スネーカー、モーグル、ウィンガー達も時間が経過して行くに連れて、皆と同じ感情を抱き始めた。
その瞬間、直面している問題に立ち向かう事に先駆けて、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEに加わるよう命じられたDISASTER COMPANY CORPORATIONは誇り高き感涙の涙を流した。
そして、そのDISASTER COMPANY CORPORATIONという組織にも特殊な名を与えさせる事から、その名を考察し始めたのだった。
その一方でゲームにログインしている報道の彼女のアバターに、「アンドラス」。という名の表記が時間差で起きていた。
さらにその存在は、空高く羽ばたいたり、木の枝に止まったりと、その行動に共通するのは、何かを探し求めているのか、はたまた、何かに警戒しているような素振りをした。
そしてその魔物は、突如として、畑で作物を作るために、細長く直線上に土を盛り上げられている箇所を示す畝と、その畝の間にできた細いくぼみに着地した。
すると大小かつ、多種多様な昆虫が、潜んでいた土を掘り上げ、その中から、姿を見せたのと同時に胴体や、足へとまとわり付き始めた。
その矢先、彼女は突然、悲鳴を上げ始めた。
そのような状況下において、アバターに対する名が、次々と時間差で表示されてきた。
さらにそのような最中、最後に残ったアバターもようやく姿を現した。
ただしその容姿は、これまで登場してきた魔物とは異なり、これら3体に関して言うなら、「ギリシャ神話」や、「空想物語」に登場してきて、主要キャラクターの引立て役に近そうな、「ポジション」。という位置付けでありそうな風格をかもし出しているのに対して、当のこの4体目の印象は、太く長い胴体に対して、長くもなく短くもない、やせ細った手足があり、鼻、耳の生体器官を除いた目と口の顔だけが、空高くまで舞い上がりながら、「業火」と言う名の炎を吐き出し、火の粉を辺り一面に撒き散らしている「アクションゲーム」であったり、「ロールプレイングゲーム」に登場してきそうなイメージを漂わせているその存在だ。
その頃、DISASTER COMPANY CORPORATIONという組織に対しても、適切な名は何かをそれぞれが脳裏に思い浮かべている最中において突如、セラフィーンがこう言った。
「あなた達メドゥーサと、ギリシアの神話と歴史をモチーフにした民族の歴史として語り伝える価値のある事件を出来事の物語として語り伝える叙事詩をつづったオデュッセイアという名の人物とは、同じギリシアの神話にあやかっているから、そのメドゥーサとオデュッセイアを掛け合わせて、『メドゥッサセア』という名で、5人いるためその区別が付くように1号、2号、3号、4号、5号というのはどうだろうか」。
その後間もなくしてその順振りが終えると、メドゥッサセア1号がおもむろに口を開きこう主張した。
「オデュッセイアという言葉の由来は、長い冒険旅行という意味合いが込められているから、生きる意欲を促進させるネーミングだよ。このような影響を及ぼした側の我々が言うのもおかしいが、我々だってこの夢の空間にいつまでもとどまりたくないから早く出て、ゆがんだ感情から造ってしまったHAARPを破壊し、犯してしまった罪を悔い改め、長い冒険旅行という授かった名の通りの生活を送り、本来の自分を取り戻したい。だけどそうするには、さまよっているこの夢を打ち破らなくてはならない。だけどどうすれば良いのか、恐怖のあまり思考力が働かず、その方法が我々にも分からないんだ」。
そう主張した瞬間、床に頭や体を打ち付けて自傷行為を繰り返し行った。
この組織が取った行動を目の当たりにした時、セラフィーンは自身の体に触れさせ、心に癒しをもたらせるよう促すため、その存在に体を寄せ付ける行為をしばらくした。
その行為を終えた時、セラフィーンは再び口を開きこう主張した。
「大丈夫、1人では乗り切れない困難の壁があっても、仲間がいれば必ず乗り越えられる。あなた達には多くの仲間がいる。夢であるこの空間で、不安反応を引き起こす無条件刺激に対する条件反応として、過去に経験した不安や、恐怖反応を引き起こす要因となっている脳裏に植え付けられた参事を招いてしまった今回の記憶と、今現段階で抱えている飢餓感という問題の局面の2つを対立させ、どの部分の背景がさまたげとなっているのかを調べ、どちらの部分の背景が強いかを把握できた時、弱い印象のものから、強い印象のものへ段階的に提示して、その部分をピンポイントに治療を施す催眠を兼ね揃えた行動療法的催眠法という1つの心理療法の技法を用いる事により、あなた方の組織が取られた過去の行動の記憶を辿り、振り返った末の行動の記憶から解決策を見い出すよう今から実行するから、緊張をほぐすため1度だけ深く深呼吸をして欲しい。希望を持とう」。
その主張に対して組織の1人がおもむろに口を開きこう言った。
「ありがとう。恩に着るよ」。
同じ頃、「龍」の姿に扮した分身となるアバターを含め、皆、自身のアバターが出そろうも、彼女が悲鳴を発した瞬間にして、一斉にログアウトするやいなや、現実世界に意識を移した彼らは、装着していたヘッドマウントディスプレイを外し、彼女の様子を伺い始めていた。
すると、目を大きく見開かせ、瞳から今にもこぼれ落ちそうになるほどの涙を浮かべていたり、今まで前兆を示さなかった手足を痙攣させるといった変化であり、容態からして、陥ってしまった事に直結されるあらゆる可能性に付随できる局面を、心理学者であるアドレン・クラウディアスは、瞬時に考察しながらも、すぐさま駆け寄って行き、症状の緩和をうながした。
数多く存在する治療法のなか、彼が下した判断が功を奏し、彼女は無事、我に返える事ができた。
それは結果としてはプラスではあるもの、とはいえ、このような面は表面上だけで、根底からのアプローチがあるなかでの治療ではないため、当然の事ながら、油断などできない事は重々承知していたアドレン・クラウディアス。
そのような最中であるも、ラジオで知り得たマゴットセラピーという単語に、「セラピー」という表現が結びついている心理学者ゆえの興味と、直面しているこの状況に打開に利用できるかの半信半疑から、スマートフォンを使って調べ始めた。
すると、正常な組織はそのままに、壊死した傷口に殺菌作用を持つ分泌物で、消毒を施しながら、その箇所のみの腐敗した細胞を食べる特殊な生き物である事に加え、実際に医療の分野において、活用されている治療法だという事も知り得た。
そのため、いっこくを争う危機を彼女達の身に降りかかっている事における緊急感から、再び考察し始めた。
その頃、セラフィーンはまず最初の手始めとして、身体をリラックスするよう優しい口調で何度となく声を掛け眠気を誘っていた。
それから程なくしてその誘導により、組織は眠りの中の眠りへと入った。
その事を悟ったセラフィーンが次に行った行為は、HAARPを稼働した事によって起こった自業自得から、大惨事を被った時の局面の影響がきっかけとなって、発症したうつ病という心理的な病に加え、飢餓感を感じた事で思考力が働かなくなり、HAARPというシステムの稼働を止める事の方法を見出せなくなってしまったという通常の時間の流れで起きた事象の記憶を、巧みな話術を用いる事によって呼び覚まさせた。
すると、おもむろに口を揃えて言葉を発した。
「怖い。怖い。やだ。助けてくれ」。
そう言葉を発した後、わずかな時間であるが沈黙に陥った。
それから程なくして再び声を上げるも今度のは、「ひっいゃっーぎゃっー」。という悲鳴を上げた。
その悲鳴に対して一斉に、セラフィーン以外のゴルレトバー達は恐れおののいた瞬間と同時に、セラフィーンは催眠を解く言葉を投げ掛け、今まで掛けていた催眠を解いた。
すると、催眠から解放された組織は、閉ざしていたまぶたを徐々に開き始めそれから目を見開かせた。すると再び声を発した。
「今、まるでその場にいたかのような錯覚を覚えたのと同時に、今まで感じた事がない不思議な感覚が身体に襲って来た」。
その主張に対してセラフィーンはこう返答した。
「それを感じ取れたという事は効果が得られているという証拠の証なんだ。次も同じ事をするが、さっきと違うのは、動画を逆再生し、時間を逆回しする方法で、通常の時間の流れで起きた事象の記憶とは反対にするものだから、次も同じ感覚を覚えると思うが、その前にもう1度心呼吸をして呼吸を整えるんだ」。
そう命じられると組織は一斉に深呼吸して呼吸を整えた。
こうして再び眠りの中の眠りへと入った。
すると、飢餓感を感じて思考力が働かなくなり、HAARPというシステムの稼働を止める事の方法を見出せなくなってしまった時の場面から、今度はうつ病という心理的な病に襲われた場面へと巧みな話術を用いて、その映像を脳裏に開示させた。
さっきの通常の時間の流れで起きた事象の記憶とは比例し、心身共に落ち着いた状態を維持している最中において、ストレスのない事を悟ったセラフィーンは、催眠を解く言葉を投げ掛け、今まで掛けていた催眠を解いた。催眠から解放された組織は、閉ざしていたまぶたを徐々に開き始めその後、目を見開かせた。
そして、おもむろに口を開き口を揃えてこう言った。
「さっきの通常に流れる歴史の順番とは違って、この順番の方が気持ちがとても落ち着いているよ」。
その主張に対してセラフィーンは長々とこう返答した。
「第二次世界大戦という戦時中は生きる術を講じるため、もがき苦しみながらも、その時その時に直面する問題に協力し合って乗り越えて来たのが、高度経済成長が発展し、ひとたび状況が良くなると分かると、その最中の時に経験した苦悩を忘れ、まるで手のひらを返したかのような振る舞いをする人間の言動に対して、いらだちを感じてしまった。戦時中の最中において軽べつや、迫害が起ころうとも、情け容赦のない精神、思いやりに富む精神、正義感という強い精神を反映する人情味豊かな事柄における局面が相次いでいたのが、その時に経験した苦悩とは裏腹に、悪を愛する事を前提とした振る舞いをする人間達にあきれ返ってしまった事に疑念を覚え、後には勇敢だった性格と同時に、精悍さという容姿までも変化し、結果として悪夢を意識と潜在意識の境界領域より下に災害で被災して苦しむ被災者達の姿の情景を刺激し、暗示を掛けるサブリミナル効果に加えて、環境兵器であるHAARPの設立をして人間が直面する困難や苦境、逆境、悲痛といった艱難辛苦で苦しみもがく者達の姿を眺め、それをエネルギー源とし、命の存続を得させようと悪を企てる要因に思いが働いてしまった事の因果関係から今、置かれているまさにこの状況に直面してしまったんだ」。
その頃アドレン・クラウディアスは、「”仮想空間という環境に取って代わるものとして、意図的に、「ノンレム睡眠」へとアプローチして、夢と現実世界との境の環境下を模擬的に再現する事と並行して、その層のなかで、今度は心理療法を行う事の先駆けで、以前に作成していた『システムリソース』を使用して、その精神疾患のカテゴリー別の傷病名に加えて、その症状に伴う適切なセラピーのプログラミングコードの配列を構成する事“」。
「”さらにそれと同時に、それが実現できた際の過程の暁には、以前に作成していたクラウドストレージというサーバーにつなぐ事“」。
「”それから壊死した細胞を食べる蛆虫の生態を、心理的分野にも応用する目的として、その蛆虫が、配列を構成した傷病名となるプログラミングコードを入力して、それを解読させ、治療としても必要な心理療法の手順となるプログラミングコードも入力し、同様に解読させるといった記憶の植え付けを行う事“」。
「”さらにその植え付けさせたその情報を持った姿を保存し、実際に治療という段階にこぎ付けられたなら今度は、リンクさせるとして、機械、生身の人であったり、肉体がなきものであっても、その存在たちの知性に、心理療法の知識を蓄えた蛆虫を電脳空間という環境内に転送“」。
これから実践する全ての段取りをわずかな時間でこのように思い巡らしていた。
そしてすぐさまその場で入手する方法を調べ始めた。
専門外ではあるも、自信の協力に対して、「”好意的な警察“」という思いは独りよがりなのか、妥当なのかは別として、組織が身近である事を口伝てに、入手できないかと考えた。
そこで、自身が考察した治療法を実現させるうえで、「”どうしても必要“」。という事の経緯を警察に持ちかけると、警察の特権を利用する事により、手配できると結論つけた。
その確信が込められた言葉を耳にできたアドレン・クラウディアスは、報道の彼女に優しくこう声をかけた。
「もう大丈夫。絶対に良くなるよ。だから安心して」。
その確信の込められた言葉を身にした彼女は一言だけ、「ありがとう」。と、言ったのち、少しの沈黙に陥るも、それを破るかのようにして、再び話し出した。「さっき、泣いたり、手足を痙攣した私の身に起こった理由は当然、私自身の身に直面した事柄だから、全て原因は分かっているんです。お話しするので聞いてくれますか?」。 彼女のその主張に対して、快くアドレン・クラウディアスは応じると、彼女は一度深く深呼吸してから、おもむろに口を開き話し始めた。
その頃、セラフィーンは、のどの渇きを覚えたため、こぼれ落ちた水滴をぺロっと舐めていた。
こうして時間を起いたセラフィーンは再び口を開き話し出した。
「この療法を通して感情の変化の過程がはっきりと分かったが、感情が差程強くない人間がその弱い自分を見せまいとして、いかついファッションや暴言を利用し、自分は強いと自分自身にイメージを浸透させると同時に、相手にもそのような印象を与えるため容姿や、言葉使いを変える、いわばアクセサリーで取りつくろっているのと同様に、あなた方もみ使いで心優しかった時の時代に、不信感を感じる出来事に遭遇してしまった事のきっかけから、悪を助長する言動に走った事が誘発され、後にうつ病という名の精神的な病である不必要なアクセサリーを身に着けてしまった。だから催眠を掛け眠りに陥った時、怖い。怖い。やだ。助けてくれと懇願した。その事は、自責の念にさいなまれていた事の証拠を表す。そのような感情が芽生えないのであれば、自分の犯してしまった罪を認める言葉など発するような事はしない。飢餓感は単に自然現象であり、体力的な問題や、思考力の働きには影響はあるが、HAARPというシステムの稼働を止める事の方法を見出せなくなってしまった事とは、直接的な関係性としては何の接点もない」。
その頃、記者の彼女はアドレン・クラウディアスにこう主張していた。
「かつて私には妹がいたの。その妹と私は、トランデールリウムルピナー大平原という仮想現実の環境において、女性の肉体を持ったその容姿で、畑の作物を狙う天敵から、それを守るため、見回りする事で、人に使役動物としての活動の分野で、役割を果たす事で役立たされる関係から、その人類と共存してきた身だったの。しかしある時、いつものごとく、見回りしていた時、どこからか、視線を浴びせられているような不気味さを感じ取ったの。それが気がかりとなって周囲を見渡すけど、その場には、物影などなかった。その状況と同時に、見回りしている妹にもその不快感を訴えたの。地上より、視野が広い上空から見ても、怪しい存在は見当たらないのだから、気のせいだという事で、仕事をこなす事により、気をまぎらわし始めたの。その最中において、私たちのご主人様が持ってき忘れた道具を取りに、少しの間だけ畑から離れたの。その瞬間、畑で作物を作るために、細長く直線上に土を盛り上げられている箇所を示すうねと、そのうねの間にできた細いくぼみの中から、複数のサソリが私たちのご主人様が不在のそのわずかなスキを狙って、作物に食らい付こうと、潜んでチャンスを待ち構えていたの。サソリたちが取ったその行動に真っ先に気付いた私は、それを追い払おうと、目がけて飛んで行った。そして着地したその場の土の中に潜んでいたため、当然、目で確認する事ができないサソリが他にもいたの。そこに私を誘導して、誘き寄せた事の結果で待ち構えているそのサソリに襲いかかられる仕掛けられたその手口に、まんまと引っかかってしまい、私は着ていた服を切られてしまったの。だけど、不幸中の幸いと言うべきなのか、部分的に肌に見られたものの、触れられる事はなかった。その間に私をかばおうと、妹が助けにきてくれたの。そして矛先は、私から妹へと移したの。そして襲われそうになった妹を前にしたそのタイミングで、道具を取りに向かっていたご主人様が私たちの元へ、戻ってきたおかげから、私たちは難を逃れる事ができた。だけど、私と妹が傷を負った心は恐怖心の塊となって、自覚した時にはすでに遅く、一番最初ゲームをやり始めたきっかけは、興味本意から、ログインしていたのが、今は異次元にすがる事しかできなくなってしまい、現実逃避してしまっていたの。その証拠に、仮想現実へと依存して、その環境に身をゆだね、さらけ出す事で、現実世界では味わう事ができない解放感にしたっているのと同時に、襲われたその日、私たちに被害を被らせた相手との関係を断ち切る事が、妹にとっても善ある行為だと、みなして、相手をおとしめるための落とし穴を、妹と一緒に掘り起こすという殺害の仕方を、私は経過した末、妹に持ちかけた。そして相手の気を引かせるため、少し肌を露出した状態で、その場所までおびき寄せる事までは、一連の計画とおりだった。ところが、その誘導している最中、私が足をつまずかせてしまって転倒したの。そして妹はそんな私をかばって、力ずくでほうりとばしたの。妹の助けで私が助かった代わりに、その妹が、私を守ろうとして取った行動の反動で、2人で作った落とし穴へ、サソリもろとも妹も落ちてしまい、その直後、激しい衝撃音が鳴り響いた。内心、考えたくはなかったんだけれど、何が起きたかは、すぐにわかった。落下と同時に、妹の分身のアバターの一部である羽にサソリに傷付けられている光景を、瞬間的ではあるも、はっきり見たのを覚えているの。だから、計画とは異なる局面に対して言うなら、本来であればあの時、落ちるべきだったのは、妹ではなく私だったから、現実世界では今、私が妹にしてあげられなかった事に、助けを求めている存在を妹に重なり合わせ、記者という相手の身になって考えられる仕事をする事で、寄り添えられる一方で、正しいと、解釈しての感情から湧き起こる理不尽な正義感と同時に、悪の道の入り口から足を前進させる事ができないよう、私自身を制御させる役割として仮想現実に頼っているのと、妹に償いの意を込めて、おそらくそうなっていたであろう上半身裸という姿を想定して、その姿と化す事で意識を同化できている気になれるから、妹が落ちて行ってしまった穴の前で、罪滅ぼしのために回想して今に至っているの」。
過去に起こった記憶を事細かに主張した報道の彼女にアドレン・クラウディアスは、希望を確信へとみなぎらせる言葉を投げかけた。
「思い出したくもない、つらく悲しい過去を丁寧に話せたのだから、大丈夫、もう1人で抱え込む必要はない。現実逃避などしないありのままのあなたの姿へと私は変える。妹さんのためにも変わらなくては、お姉さん、あなたのために身を犠牲にした愛情深い妹さんに対して示しがつかないからね」。
そう言い終えたとたん、報道の彼女は、満面の笑みを浮かべて大きくうなずいた。
その頃、2号がおもむろに口を開きこう主張していた。
「電離層をコントロールする事で、異常な量の電磁波を飛ばすという、HAARPを自滅させる目的から、そのHAARPが持つ威力を逆手に利用し、人為的として大気に影響を与えた時、地震が発生され、その地震による震動は震幅が早まれば早まる程、早く遠くへ伝わるようコントロールし、電磁波が地球という星の地殻を示唆する表層部から、幾層にも重なってできたプレートと呼ぶ強固な岩盤を超え、今度は地下2、900kmもしくは、約3000kmにあるオゾン層を破壊したり、その電磁波の影響から宇宙空間にある岩石、ガス、塵といった上部マントルと、下部マントルに衝撃が伝わる事ができた暁による影響という局面を迎える事ができた際には、エネルギーが増幅した結果、高高度核爆発が起こり、最終的に天体の中心部分の構造である核に大打撃を与え、強大な力を持つHAARP自らの力により、そのHAARPというシステムを自滅させ、稼働を止める事だけでなく、建屋もろとも破滅させられるように追い込む事は、論理的に言って可能だ」。
しかし問題なのが、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEのメンバーに新たに加わったメドゥッサセア以外のゴルレトバー率いるメンバーの仲間達に至っては、進化という超常現象が降り注がれたのが、時間の流れが逆向きになって事が進む時間反転という現象に再び陥ってしまった事に起因して、その影響から作戦を実行するにも、考え付いた作戦に対応できるくらいの力では、不足してしまっている事が判明した。
そのため、以前培う事ができた時の力を取り戻す必要に生じた状況へと直面したため、制御盤の扉を開いてシステムの稼働を行うという通常の仕方ではなく、本来行う制御盤の扉を開いてシステムを稼働させる時に起こる現象である眩い閃光が空高くそびえ立ち、それが太陽の光に反射し、グラデーションに化しながら渦巻き状に一体化となってから、反射する太陽の光の影響から増幅し、施設の一部分から徐々に全体へと行き渡り包み込んで、施設の上空にUFOに似た巨大な積乱雲が出現したり、それに起因して起こる紫、藍、青、緑、黄、橙、赤に染まった上空を揺らめくカーテンが出現したり、太陽風や磁場の影響によって巨大化したり、小さくまとまったりして見え方に変化を表した末、巨木に匹敵する程の電磁パルスが発生できた時に起こる彩り豊かな光線が垂直に伸び、その光の柱の中へと吸い込まれるという状況を、自らの力で見出さなければならない状況へと直面してしまった。
そして、その暁によって起こる進化を遂げらえた事でようやく目的を果たす事が可能となるのだ。
この先、起ころうと想定される事象の経緯が把握できた時、突如エレクトリカルキャットフィッシャーが生成させた電気をHAARPに放ち、異次元空間へと引き寄せられた時の状況を再現させた。
その頃、アドレン・クラウディアスと女性記者との間で、今まで2人のやり取りを見ていた残る3人の男性たちも、我が先へと、架想現実に依存して現実逃避へと至った過去の経緯における理由を主張し始めたていた。
一斉に声をあげたため、相手同士の声をかぶせてしまっているため、聞くにも聞けない現実に、この瞬間にしてある考えがアドレン・クラウディアスの脳裏を過ぎったため、彼はその場から離れ、何やら警察官と話し始めた。
それから数日が経過したある日、保護されていたニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナー、ミッチェル・ジョーンズ・ワートの3人は雑居房にいた。
彼女たちがとどまる施設内において、一本の電話の呼び出し音が鳴り響いた。
その電話の相手はアドレン・クラウディアスだった。
彼は足並みを揃えて相手の主張を聞く事で、そこで発生するゲームに対して、捉え方の認識をまとめて収集しようという目的から、実際にログインした事がある彼女たちの手を借りて、同時に行なおうと考えたための行動だった。
程なくした後、1人の職員が電話に出た。
アドレン・クラウディアスは、その相手にニーナ・ユイナーに電話口に出させるよう願い求めた。
そしてあいさつもほどほどにし、彼が思い描く計画を伝えると、今度は返答を待つ電話のアドレン・クラウディアスの向こうでは、ニーナ・ユイナーが、カナエラン・ユイナー、ミッチェル・ジョーンズ・ワートの2人に同様の質問をしていた。
それに対して2つ返事で承諾した彼女たち。
こうして明くる日、アドレン・クラウディアスの自宅にて計画は実行へと移された。
3人の男性と、3人の女性が存在しているため、それぞれが1対1のペアとなって合同のカウンセリングが始まった。
しかし例外なのは、精神科患者ではあるも、心理学の知識を持ち得ていないミッチェル・ジョーンズ・ワート、その彼女だった。
彼女に関しては、自らの経験を文面でつづり、同様に相手にも、自らの経験を自伝という方法により、それを文面で書きつづってもらう独特のカウンセリングのスタイルを、アドレン・クラウディアスは、ミッチェル・ジョーンズ・ワートのペアとなっている男性の1人に、提示したのだった。
すると、その提案に同意してもらう事ができたミッチェル・ジョーンズ・ワートは、手にしていた1冊のノートとペンを彼に手渡した。
その同じ頃、環境に異変が起ころうとしている兆候を感じ取ったゴルレトバーは周囲を飛び回ると同時に、獲物を見付けた時に醸し出す鋭い表情を浮かべる一方、フィッシャーは驚異的なスピードで鉢の中を泳ぎ回った。
すると、その思惑通り以前と同様、目を開ける事は愚か、瞬きすら許されない程、目まぐるしく変化する極限の事態にさらされながら、それぞれの生物達が互いに、もともと持ち得ていない局面を受け持つ事であったり、弱点のある局面という進化に加え、当然、以前には遭遇しなかった全てのメドゥッサセアの進化と共に皆、睡眠中の状態の1つのレム睡眠という現実に程近い、浅い眠りの層の夢から覚め、人間の話し言葉を話せる事が再び現実となって訪れた他、メドゥッサセアに関しては、温度感知器の活性化と、鼻腔の上部にある皮膚、嗅上皮と呼ばれる個所から、匂いを感知する嗅細胞や、その器官とは別に存在する両性類、爬虫類、哺乳類、鳥類の四肢動物が持つヤコブソン器官とも呼称を持つ鋤鼻器による科学物質の情報を捉える本能とする能力の向上と共に、感覚器官では視覚、嗅覚、聴覚の活性化。そして、持ち得ていなかった服従、適応、作業の能力が加わった事、さらには以前より増して胴体が巨大化した。
その巨大化した事の局面を除く以外は、スネーカーと同様の兆候の現れとして、初の進化を遂げた。
メドゥッサセア以外の存在のゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー、エレクトリカルキャットフィッシャーといった仲間の生物達は再度究極と化した。
目的を遂行するにあたって、まず最初に行った事は、電気ナマズのエレクトリカルキャットフィッシャーが発電させた電気をHAARPに目掛けて放たせた。
すると、目もくらむ程の稲妻が大気を裂いて、爆音と同時に起こった。その状態がわずかな時間続いた後、今度は雲がほとんどない快晴である空に地面を振動させる凄まじい雷を、落雷した時に起こる閃光という名の現象に匹敵する程のエネルギーが舞った。
電気ナマズを食するカンディルという同じナマズの捕食者から命を狙われ、ゴルレトバーに体をいたわるよう言われたその本人であるエレクトリカルキャットフィッシャーの体から放たれたとは思えない程の強大な力を、そのエレクトリカルキャットフィッシャーは見せ付けたのだった。
その同じ頃、ミッチェル・ジョーンズ・ワートとペアとなっている男性の1人は、素早いうえに華麗な文字の文章をつづる手のスピードを緩める事なく、その彼女から手渡されたノートに、刻々と流れる時間の中で、文体を考察しながら自分の世界観へと入り込んでいった。
そして同時に、ミッチェル・ジョーンズ・ワートも自身の身に起こった過去の経験を文書で表していった。
さらにその横では、ニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナーのそれぞれのペアが、交代交代で相手の主張を聞いていた。
そして話し始めから、1人の男性は自身の分身として、「ゴブリンをアバターにしている」。という言葉を口にする一方で、もう1人の男性は、「アザゼルを自身の分身にしている」。という言葉をそれぞれが口にした。
そしてそのアザゼルを自身の分身として使用していると述べる男性の主張はこうだ。
「縁もゆかりも無い、自身とは全く関係性が結び付かない存在の身代わりとなって、罪を負わされる事に加え、不安や憎悪のはけ口であったり、迫害の標的として自ら進んで請け負う行為の繰り返しの中において、人と接してきた。それは過去に勉強していた自己啓発書の理論に基づいて、相手を気遣う事に直結する同情心による自己犠牲の精神を反映させるためだった。その言葉の意味に取りつかれてしまっていたため、自己愛も強いあまりに、相手が生み出した成果となる手柄を横取りしてしまうという行き過ぎたかたちの2面性もある。それが欠点となる局面だと感じている。それを克服したいというのがきっかけだった。その時、画面上に映し出されたのは、大自然だった。その場所の名は、トランデールリウムルピナー大平原という名だった。たとへその環境が仮想現実という作られた自然であろうとも、そこで慣れ親しむ事を継続するならば、克服できる余地もあるかと期待している」。
さらにその一方で、ミッチェルのペアとなっている男性も筆談で、「ドラゴン」という文字をつづった。
それから、ゲームにログインし始めた事の経緯についての理由もつづっている最中、ゴブリンをアバターにしていると主張した男性が再度こう主張し出した。
「自分は、人の面倒を見るのが好きで、それに講じて、人の話しに耳を傾ける事で、寄り添えられるのが警察官だと思い志願し、今の立場になりました。ですがその一方で、周囲をうろつき周り、自身にできる事は無いかを探っては、自ら進んで行動したり、相手側から引き受けるという繰り返しの行いの事から、決して感謝される事を生きがいとしての思いがあっての行いではなく、見返り目当てを常に目的としているこその行為なんです。 そのような中にあったとして、本心を悟られる事がないまま、交番勤務をしていたある時、ディメンションメモリー、今現在問題の対象に持ち上がっているこのゲームに関してのトラブルの通報を受けた時、それが設置されて、そこが現場となっていた温泉施設へと向かったんです。そこで目の当たりにしたのは、空想の世界だけに登場してくるような存在が持つ容姿と、人間の両方が掛け合わされた外見の者が、ゲーム機の横で2人、うずくまっている光景でした。未知なる存在に出くわした事から、その状況に直面した瞬間にして、現実感が消え失せてしまい、ただ呆然としていました。その時、自分を立ち返らせてくれたのが、何を隠そうここに座っている彼女だったのです。間もなくしてから自分は、ゲーム機の席に腰かけたんです。すると、画面にヘッドマウントディスプレイを使用するかどうかの選択肢を答えるメッセージが現れ、使用する方を選ぶと、上部からヘッドマウントディスプレイが出てきました。それを頭に装着すると、ご存じかと思いますが、この時点でアバターを作成する画面が表示されました。そこで分身となるゴブリンを選択したんです。
そう主張し終えた時、突如、どこからともなく強烈なアルコールの臭いに、当人はもちろんの事、翻弄されてしまったその場にいた一同。
その状況に皆、堪え忍びながら、やっとな思いで、警察官の彼を横たわらせながら、その彼に代わって話し出した報道の彼女。
一方、その彼女の払う努力に答え応じるかのように、アドレン・クラウディアスも聞き耳を立てる事で、正常心を取り戻そうと懸命に行っていた。
「彼は、腸発酵症候群という症状の持ち主で、別名、ビール自動醸造症候群なんです。彼がその症状に至ったのは、やはり例のゲームです。トランデールリウムルピナー大平原という空想の世界だけに存在するその場所に、彼のアバターのゴブリンが、世界観を散策していた最中、タラスクという名の魔物に出くわしたらしく、この魔物は、遺糞症という精神疾患をわずらっていた傾向があると推測されます」。
彼女がさらに続けて話そうとすると、その主張を言い終えた瞬間にして、ニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナー、ミッチェル・ジョーンズ・ワートの3人は、同時に報道の彼女が座る方向へと顔を向かせた。
その同じタイミングで、損傷を受けたHAARPのダメージが徐々に大きくなっていくのを皆で見計らっていた。
そしてその後、ダムを作る事に先駆けて水を流すための構造物である水路を造るというモーグルの指示を受けたゴルレトバーとラーパン、そしてウィンガーの1頭と2羽の仲間は、それについての疑問が脳裏を過ぎるも、その疑問を問い尋ねる間もなく、指示を与えたモーグルと共に、水のある場所を求めるため、探索する旅に出たのだった。
一刻も早くHAARPを破壊しなければという早る思いをそれぞれが心中に抱きながら、足早に歩んで行く最中において、4体がいる周囲より地形は高く、山よりは低いが、傾斜のゆるやかな地形の丘に辿り着いた。そして、休む事なくさらに歩んで行くと、今度は周囲より凹んでいる土地である窪地に辿り着いた。
さすがに休まずにはいられないと感じた1頭と1匹と2羽の仲間はその場で休んでいた時、突如ウィンガーは翼を羽ばたかせ、空高く飛んで行った。
そして、飛んで行く先々に望める多種多様な花や、草木がしっかりと地面に長く根下ろししていると思われる風格で、力強く咲き誇る広大な草原に視線を送っていると、少し先に行った所に広大な水辺がある事に気付いたため、速度を増してその広大な水辺が存在する場所まで一目散に向かった。
その目的の場所へと近付くに連れて、暖かい風をほのかに感じ取った。その時、何やら環境の変化を感じ取り始めた。
刻々と時間が過ぎ行く中において、今まで空に雲がほとんどない快晴だった天候が、たちまち濃い雲が姿を現した。
波風が上昇した空気が膨張し、気温の低下に伴って湿度が増し、飽和に達して雲が生成された後、冷たい雨を降らせた。
磁場が発生している距離を読み取る事のできるウィンガーはこのような現象をいち早く察知していた。
そのためにウィンガーは同じルートを辿り、元いた場所で待つゴルレトバーとラーパン、そしてモーグル達がいる仲間の所まで目掛けて再び飛んで行った。
その同じ頃、エレクトリカルキャットフィッシャーの力によって発電させた電気を、HAARPに向けて放ったエネルギーが、今まで以上に倍増した事による影響から、巨大なプラズマボールへと進化を遂げていた。
生成し始めた巨大なプラズマボールという強力なそのエネルギーを維持しようと休む間もなくひたすら放電し続けていた。
進化する以前の状態では一度放電してしまうと、体力の衰えが伴っていたのが、生態系の進化が起こってからは、体力の衰えを感じる事はおろか、ますます負傷を抱えている体であるという事を感じさせない程のたくましさをこの瞬間を持って現したため、スネーカー、セラフィーン、フィッシャーと共に、メドゥッサセア達はエレクトリカルキャットフィッシャーが、カンディルという同じナマズの捕食者から命を狙われ、負傷するという事態にさらされていた事について知らないとはいえ、強大な力を引き出せる仲間がいた事におけるその別の面での凄さに驚きを隠せず、対照となる驚きが異なるにしても、それらの仲間と感動を分かち合った。
さらにその一方、ダムを作る事に先駆けて水を流すための構造物である水路を造るという事から必要な水を探す旅へと向かっていたゴルレトバー、ラーパン、モーグル、ウィンガー。その仲間達の中のウィンガーは、目的のものである水を求めて単独で行動し、その水が存在するありかを探り当てた後、冷たい雨に打たれた影響から、ずぶ濡れになりながらも同じルートを辿り、元いた場所で待つゴルレトバーとラーパン、そしてモーグル達がいる仲間の所まで目掛けて再び飛んで行った。
それから程なくしてゴルレトバーとラーパン、そしてモーグル達のいる所に辿り着き再会を果たした。
そんなウィンガーを見た瞬間、ゴルレトバー、ラーパン、モーグル達は、水が存在する事に喜びを抱くと同時に、その3体の存在がいるこの場所は快晴であるという局面からして、ずぶ濡れのウィンガーに疑問を抱き始めた。
ウィンガーは皆に水のありかを伝えた。
すると、その場所へと一刻も早く向かいたいゴルレトバーは、自らの背に騎乗するようラーパンに伝え、ウィンガーにはモーグルの肩を捕まえて水の存在するその場所へと先頭で羽ばたいて案内するよう命じた。
こうして1頭と1匹と2羽の仲間は颯爽と、再び目的地である水の存在する場所へと向けて旅立った。
その頃、報道の彼女はニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナー、ミッチェル・ジョーンズ・ワートの3人から「タラスクの抱えている精神疾患と、警察官の男性が抱えている特殊な病との関連性は一体何?」。と、問いかけられていた。
その質問に対して、こう返答した報道の彼女。
「あなたたちサルが、コーヒー豆を口に含ませ、一度食べて噛むも、噛み切れなかった部分のみを吐き出す習性を持つサルが存在するのを知っている?」。
その質問に対して皆、一致して首を横に振った。
その反応を確認すると、続けてこう主張し始めた彼女。
「その習性に着目した彼は、タラスクの抱える遺糞症の撒くという面に対して、サルの習性に対する撒くという行為を、念写を用いる事で、後者に置き換えられないかと考えた末、その意向と並行して、心優しい彼は、万が一の事も想定して、自身の分身であるアバターを持ってタラスクの習性を受け入れる事も含めて計画を実行したの。
それは互いの脳波を計るための電極を付け、精神転送を導かせ、その過程で念写を行うものだった。
そして計画の途中までは、成功していた。
そしてその同じタイミングでハープというシステムが姿を現した。
そこから発せられた微弱電流の影響を受けたがゆえに、結果むなしく、彼とタラスク、双方の睡眠の階層のバランスにズレが生じてしまったゆえに、計画のうちの保険としていた考えとして、そこに流れてしまうだけの状況では収まらず、仮想現実を飛び越して、現実世界の肉体に跳ね返ってきて、そこに結実してしまった。
そしてその結果、腸発酵症候群という病、別名、ビール自動醸造症候群を生まれ持ってしまったと考えると、全てにおける事象において、つじつまが一致するんです。
彼が犠牲を払って救おうとした行為だったとしても、タラスクの精神疾患は治る事もなかったから結局は、無にきせられてしまったかと思うと何のために起こした行動なのか収拾が付かないです。
でも彼は彼で自身の症状を出すまいとして、心と行動に歯止めを効かせていたんです。
それが今回をきっかけに、さらけ出した事が災いして、その影響が降りかかり、自ら保っていた均衡を崩れ去らせてしまった事によって、再発を招かせたのだと私は感じています。
ですがそのように感じる反面、過去に彼自身、具体的な事は分かりませんが、彼が警察官になる以前の事、ある警察官から、さげすまれた過去があったらしく、その影響を受け警察官としての理念における忠誠心が低下していましたので、心優しいと最初に言いましたが、彼にとっては、敵視するつもりはありませんが、タイミング的に戒めも含めて、考え方を一新できる事につながる良い機会なのではないかと内心感じています」。
その彼女のした主張の直後、アドレン・クラウディアスの脳裏に、カフェで会った
2人の店員の容姿が過ぎった。
その一方、冷たい雨に打たれながらも、HAARPを破滅させる事における水の必要性に対する説明をモーグルが初めて行った。
「電離層をコントロールする事で、異常な量の電磁波を飛ばすという、HAARPを自滅させる目的から、そのHAARPが持つ威力を逆手に利用し、人為的として大気に影響を与えた時、地震が発生して、その地震による震動は震幅が早まれば早まるだけ、早く遠くへ伝わるようコントロールし、電磁波が地球という星の地殻を示唆する表層部から、幾層にも重なってできたプレートと呼ぶ強固な岩盤を超え、今度は地下2、900km、約3000kmにあるオゾン層を破壊したり、電磁波が宇宙空間にある岩石、ガス、塵といった上部マントルと、下部マントルに衝撃が伝わる事ができた暁による影響という局面を迎える事ができた際には、エネルギーが増幅した結果、高高度核爆発が起こり、最終的に天体の中心部分の構造である核に大打撃を与え、強大な力を持つHAARP自らの力により、そのシステムを自滅させ、稼働を止める事だけでなく、建屋もろとも破滅させられるように追い込む。HAARPを破滅に追い込むこの一連の流れは、以前にメドゥッサセアが言っていたから、すでにその事は理解していると思うが、その電離層というものは、地球を取り巻く大気の上層部にある分子や原子、そして太陽からの紫外線に加え、エックス線によってイオン化となり、生成されるのだが、実はこの電離層の動きが安定しなかったり、不活発という癖があるから、その癖を安定させるため、水に接触させた事による化学反応を利用する事により、その癖の問題を解消できるから、ダムを造る前提として水路が必要不可欠なんだ」。
そう長々とした主張を終えた後、今度はゴルレトバーがこう主張した。
「話しは理解したが、どのような設計でダムを建てるのか教えてくれないか」。
すると、皆一斉に聞き耳を立てる体制に切り替えてから、モーグルの側へと近寄って行った。
そこで再びモーグルはこう主張した。
「水路の縁にあたる外側の線を繋ぎ合わせ、それがHAARPに直結できる距離まで作り続ける。それがまず1つ目。次に住み家においては枝を組んだり、泥で固めて水中で出入りする環境に加え、HAARPの状態を皆で確認し合い、なおかつエレクトリカルキャットフィッシャーが発電した電気を、HAARP目掛けて放たせる。さらにそれと同時に、僕、ビーバーの住み家であるダムを作る過程と同様、泥でせき止めるように同時進行で設計する。これが2つ目。なぜ大規模なダムが必要かと言うと、僕やゴルレトバー、セラフィーン、状況に応じてはスネーカー、メドゥッサセア達が中で泳ぎ回り、その時できた渦の流れが水路に伝う仕組みにしたいからなんだ。これが僕の考えたプランであり、それらの工程を終えた時に、ようやくHAARPを破滅させるという最終目的を実行できる事の段階にまで辿り着けるんだ」。
そう主張し終えた瞬間、モーグル以外の皆は、口を揃えてこう言った。
「それならば早速実行しよう」。
同じ頃、報道の彼女が、長々と主張し終えるその同じタイミングでは、今までミッチェル・ジョーンズ・ワートとペアとなっていた1人の男性は、ノートにつづる方式でカウンセリングに励むなか、3ページ程度にまで達するくらいの文字を、ビッシリとつづり続けていた。
この時をきっかけとして、ノートに文字を書き込んでは休み、またノートに文字を書き込んでは休むという一定したリズムを保つ中、数日が経過したある日、ついに書き上げる事ができた。
これまで長文を書きつづっていたそんな彼とは異なり、ミッチェル・ジョーンズ・ワートがつづった文章は、ノート2ページ弱に綺麗に収められていた。
そこにはこう書き記されていた。
「今は亡き主人とドライブの帰り、それまで何事もなく通常に走行していた時、突如、動物が横切ってきた。その状況に遭遇したのは、高速道路だったから、その動物も行き場を失ってしまい、右往左往として戸惑っていた。
その様子に哀れに思った主人は、助けるため、車を路側帯に停車して、車から降りた。
それと同じタイミングで、上空から未だかつて聞いた事がない激しい音が鳴り響きながら、迫ってくるのを感じた。
すると、ジェットコースターのように急降下しだした飛行機の姿が目の前に飛び込んできた。
その影響により、風圧に耐え切れなくなった飛行機の外装を覆うパーツが空中分解していった。
その空中分解しいくパーツは私たちがいる場所まで飛ばされてきた。
主人は命の危険を顧みずに、動物を離れさせようと、安全な場所を探していた。
すると、そこへ1台の車が、主人と動物がいる方向へと衝突していった。
そこで顔を合わせた時は、見分けも付かないほど、見るも無惨な姿と化した状態だったのと、命がけで守った動物は、高速道路を走り去って行った。同じ場所にいたのに私だけが助かって、善意ある行動を取ったゆえのせいで、命を落とす事へと陥ってしまった主人に申し訳なく思っていた。
後になって新聞で読んで知ったのが、バードストライクによるエンジントラブルであったり、突然、衝突してきた車は、飛び交う物体に目を奪われてしまい、ハンドル操作を誤った事の原因だというのも把握できた。
意図的に起こそうと企てたものではなく、それぞれ置かれた環境であったり、状況も違う中で、偶然、巻き込まれてしまい、不運が襲い掛かってきて、共通点が重なり合っただけの事。
心優しさを反映して、迎える事の死というのであれば、その主人の死は無駄ではない」。
それに続いて、ドラゴンという文字に加え、アバターとなるその存在の名を『レッドワイバーン』と、つづられた男性の所有するノートには自伝の形式でこう書かれてあった。
一方その頃、モーグル以外の皆が放った掛け声と同時に、収まる気配のない雨に相変わらずさらされながらも、土を掘る習性があるゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、モーグル、メドゥッサセア達は一斉に水路の縁にあたる外側の線を造る体制を整え、その水路の縁にあたる外側の線を造る対象となる範囲の箇所に、スネーカーと1号から5号のメドゥッサセア達が体をくねらせ、土壌が柔らかくなるように施してその土壌をならし、ならしたその土壌の箇所に今度は、ゴルレトバー、ラーパン、モーグル達が線を造っては休み、また造っては再度休むという作業を、それぞれがそれぞれ繰り返し行った。
その一方で、環境による変化を敏感に捕らえる事ができるセラフィーン、ウィンガー、フィッシャー達はいつでも自分達に出回って来た作業に素早く対応できるようにするため、心を研ぎ澄ませ集中力を高めさせた。
さらにその一方で、エレクトリカルキャットフィッシャーも、突発的に起こる可能性のある危機に対応できるようにという意向により、体力を温存させるため眠りに就いた。
スネーカーと1号から5号のメドゥッサセア達が体をくねらせ、土壌が柔らかくなるように施してその土壌をならし、ならしたその土壌の箇所に今度は、ゴルレトバー、ラーパン、モーグル達が線を造っては休む、また造っては休むという以前と同様、繰り返しの時の流れの最中において、またもや天候に異常を観じた事を察知したゴルレトバーとフィッシャー。
そしていつものごとく、周囲を飛び回ると同時に、獲物を見付けた時に醸し出す鋭い表情を浮かべたゴルレトバーと、驚異的なスピードで鉢の中を泳ぎ回るフィッシャー。
その瞬間、そのゴルレトバーとフィッシャーが口を揃えて逃げるよう警告した。
しかし身動きが取れない程の激しい突風に突如として襲われてしまった仲間達。その影響から、今まで造り上げて来た水路の線を破壊していった。それと同時に、降り続ける雨もおろか、突如として襲い掛かったその突風に対して、どこで身を潜めてやり過ごせば良いか、困惑すると同時に辺りを見渡しながら考察し始めたウィンガー。行く手の分からないそんなウィンガーの元に、ゴルレトバーは倒れたり動いたりしないよう4本足に渾身の力を込めて、じわりじわりと駆け寄って行った。
そして、自らの胴体でウィンガーを覆い、風をさえぎる盾となって必死に保護した。
その同じ頃、スネーカーと1号から5号のメドゥッサセア達は土俵を掘り地中深くへと潜って行った。
その一方では、セラフィーン、フィッシャー、エレクトリカルキャットフィッシャーといった海洋生物は、海水の中で身を潜めたり、水中や陸地で活動できるモーグルは、スネーカーと1号から5号のメドゥッサセア達が身を潜めている地中に加え、セラフィーン、フィッシャー、エレクトリカルキャットフィッシャー達が、身を潜めている海水の中へと移動したりして仲間達の様子を伺った。
それぞれがそれぞれ同じ状況で風が過ぎ去るのを耐えている最中、これまで必死になって吹き付ける風に耐えていたゴルレトバーだったが、4本足全てに痺れを感じたため、体勢を変えようと起き上がった。
突然取ったゴルレトバーのその行動に驚いてしまったウィンガーは、覆いとなっているゴルレトバーの胴体と、水辺との狭い隙間で羽を激しくばたつかせてしまった。
そのような状況に起因して、ウィンガーは仲間達がいるこの場から吹き飛ばされしまった。突然の出来事にただただ呆然とするゴルレトバーは、ウィンガーが風にさらわれて吹き飛ばされてしまった方向へと、視線を送る事しかなす術がなかった。
しかしこの時はまだウィンガー本人を含めた仲間達も当然のごとく知るよしもないが、不運だと思えたこの状況から一変して、偶然にもHAARPが存在する方向へと向かっている影響から、幸運の道へと導かれる予兆に、ウィンガーは風の流れと共に直面する運命として差し掛かっていた。
CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEを襲った突風の勢力は徐々に弱まっていき、以前の穏やかな環境を取り戻した。
その同じ頃、風に乗りながらも、HAARPが存在する方向へと向かっていたウィンガーは徐々に、その場所へと距離を縮めていった。そのような状況に置かれてある現実に、ウィンガーも程なくして把握した。
そして、わずかな時が過ぎ去り、目にした光景は以前、エレクトリカルキャットフィッシャーが発電させた電気をHAARP目掛けて持続して放たせていたエネルギーが強大な力となって保持していたのが、突然襲い掛かって来た突風のせいで、今にも消えてしまいそうな程の微弱電流を発している姿を捉えた。
その頃、男性の所有するノートには、自身が過去に経験した時の自伝がつづり終えられていた。
「当時、私は小さな子供達から人気があり、ディメンションメモリーにログインして、トランデールリウムルピナー大平原という空想の世界だけに存在する仮想現実内の自然で、共に遊ぶ事を日課としていた。
当然の事ながら、その事を熟知している親達からも信頼されている存在であったおかげにより、幼児には、「子守の相手」、児童には、「保護者代わり」、といった役割を果たしていた。互いを結んでいるその育みは特に、春においては、「花見」、夏においては、「フィッシングキャンプ」、秋においては、「読書」、冬は冬眠しているため、姿を現さないものの、それぞれの四季に応じて、行えるならではの風習に加え、普段の日常で楽しむ要素とは違った方向での楽しみ方がある事で大人、子供関わり無く皆が歓喜に慕っていた。
だがしかし、夏の季節のある日の事だった。
私に加え、男の子兄弟2人とで、「フィッシングキャンプ」を満喫していた時、男の子兄弟2人が、これまで読み進めて来たお気に入りの本があり、その本を読もうとおもむろに、たすき掛けしているショルダーバッグから、1冊の本を取り出し、魚が竿に食い付いて来るまでの時間、読書に専念し始めた。
だが、その内の1人にはその本とは別に、関心を抱かせる本が存在したため、今まで読み進めて来た本は、もう1人の兄弟の手へと引き渡してしまった。そして途中からその本は、兄弟2人の内の1人が個人で、読み進める習慣へと状況が変化した。
そうして行くに連れて、本の世界観の中で、物語の展開を繰り広げる主人公が次第に、上空を飛び交う場面へと差し掛かろうとしている最中の時、突如として、男の子兄弟2人の内1人から、「僕を背中に乗せて空を飛んで欲しい」。というリクエストを、私は受けた。その時、私は、「危険だから」。と、言う理由として、「今は、魚釣りをしているから」。と、オブラートで包み込む相手の良心に配慮した言葉選びをした。
本来、頭で思い描く説得を隠すも、拒んでしまい、「どうしても」。と、言うばかりの1人の少年の自己主張で、全く聞く耳を持たないでいた。
空を飛ぶ事はもちろん、歩行するといった事の行為も、ドラゴンを選択した私のアバターであれば、両方可能な能力である事から、空を飛びたがる理由を理解できないでもなかった。
そして、同じ兄弟の男の子のうち1人が、 「エアーウェイはここには無いけれど、空中散歩できるエアーウェイの代わりとして、ドラゴンに乗り、空中散歩をしてみたい」。と、言った言葉により、よりいっそうその感情が理解できた。「エアーウェイ」という表現は、少年たちが読んでいる物語の中盤で随所に綴られていた記憶があった事から、その物語に登場してくる主人公になりきりたいのだといういう事がわかった。そして私は、翼を羽ばたかせて離陸する準備を行うそれら一連の出来事を、同じ兄弟のもう1人の男の子が、心配そうな眼差しをかもし出し始めながら見つめてきた。
その状況をよそにするかのように、私は空へと向かって羽ばたこうとしている瞬間を、私の背に乗っていながらにしても男の子に感じてもらおうと、力強い風を与えた。そして私と、私の背に乗っている少年との感情がシンクロしたかのごとく、今か今かという早る期待を膨らませる胸の鼓動が、力強く高鳴り始めたのが伝わってきた。その傍らにおいては、私たちの存在を相変わらず、不安そうな面持ちで見つめていた男の子だったが、すでに同じ兄弟のもう1人男の子が、私の背に乗っている姿を、見続けている中において、次第にその少年も空を飛びたいという感情が再び芽生え始めたのか、「僕も大空を飛んで、物語の主人公の仲間の1人としての気分にならせてくれるかな?」。と、突如としてそのように主張し出した。
そしてその同じタイミングでは、後になって把握できた事だが、地球の内部で熱水が温泉のように沸き上がり始めるという現象が発生していたという事を知った。
それはつまり、海洋の地殻変動に加え、火山活動を誘発させる現象だという事。
それが我々のいる目前で起こっていた。
そうとも知る由しも私たちは、兄弟2人を背に乗せた私は、ついに地面を離れ、徐々に上空へと空を舞った。
上空を飛び交う中で、2人の男の子兄弟は声を揃えて、「僕達、空を飛んでるよ。夢が叶っているよ」。と、歓喜の雄叫びを主張した。
そして、たすき掛けしているショルダーバッグから、一冊の本を取り出して。本の続きを読み始めた。
この瞬間にして、兄弟2人が物語の中で活躍する本の中の主人公とが結実させ、その少年2人が抱いていた夢を叶えてあげられる事に協力できた最高の瞬間だった。私もその感動に慕っているその間にもひたすら読書に熱中していた少年2人に私は、「僕も、君達2人に、夢を叶えてあげられる手助けができて嬉しいよ」。と、呟いた。
それに対して、1人の少年が、「ありがとう。君は情熱的に心優しいドラゴンなんだね。情熱を色で表すと、赤だから今から君の名前は、レッドワイバーンだ」。と、言って名を授けてくれたり、もう1人は、「優しい、優しいかわいいレッドワイバーン」と言って私を歓迎してくれた。
それに気を良くしてしまった私は、上空を舞う事以外にも、体を横に回転してみたり、前後に回転したりとで、2人の男の子兄弟を背に乗せて飛ぶ行為を今までためらっていた感情に変化が生じてしまっていた。レッドワイバーンの心に変化が訪れた末、そのさらなる変化として、自らも上空を舞う事に酔いしれていた。2人の男の子兄弟の立場からしては、これまで飛ぶ事事態、悲観的にしてきたため、いざ飛んだとなったなら、今までとは異なる正反対の言動により、要望以上に答えてくれた事における歓喜という感情を含め、少年に私の心境の変化を感じてもらっていると勝手に認識し、その思い込みによって優越感にしたっていた。
そして刻々と時間が過ぎ行く中に連れて、我々の行く手を惑わせるかのようにして、雲が徐々に暗くなり始めた。
さらに風も出はじめ、今にも雨が降りそうな天候へと移り変わった。
そのため離陸する体勢を取ったと同時に、突如として襲いかかって来た突風に我々は行動を奪われてしまった。
そして私と少年の1人は浅瀬へと、もう1人の少年は、かろうじて足は着くものの浅瀬と比較したならば、深みのある海域へとそれぞれが激しく叩き付けられた。
この時をもって、海水の温度が上昇している事実を知った。
それと同時に、深みのある海域で、「熱い、熱い」と、叫びながらもがき苦しんでいる少年の姿もあった。
私は負傷させてしまった事の負い目から、自分自身もやけどを負うもかまう事なく、一心不乱に、少年の元へと向かい、救い出した。
そして私は少年が全身負傷した箇所に海水を掛け流した。
調子付いて取った私の浅はかな行動ゆえに、全身を負傷させるという少年の身に起きた局面に対して、そのような事態を招いた私自身が軽傷で済んでしまった事による罪悪感を覚えた。
その後、それを引きずりながら、ログアウトして現実世界に戻ってきた数日の事だった。
実際にその環境下においても、お互い和解する事もないまま、再び事故が起こってしまった。
この時は偶然、水難事故に遭っている光景を目撃したため、私は少年2人を救出するも、全身が凍りつくほど冷たくなってしまっていた。
そこで私は、薪に少量のガソリンを浸してから火を起こそうと考えた。
ところがなかなか火が起こりそうもないまま、時間だけが経過していった。
その時、ゲーム内で使用している自分のアバターのドラゴンが脳裏に浮かんできた。
さらに、ドラゴン特有の口から火を吐き出す情景となるイメージも脳裏を過ぎった。
すると、思い浮かんできた2つの面と、現実世界とが同化したかのように、火の粉を辺り一面に撒き散らし空高くまで舞い上がった。
それに加えて、風も吹き始めた。
少年2人を助けようとして起こした火は突然吹き出したその風の影響を受け、皮肉にも、その子供たちへと迫っていってしまい、その場所から避けようと、両脇に抱え込みながら離れようとしていた。
その最中、子供たちに意識を奪われていた私の注意不足による落ち度から、残っていたガソリンにも火の粉が移り、その場は瞬間的に火の海と化してしまった。
やけどを負った我々だったが、なかでも、2人の男の子兄弟の方が重傷だった。
生死をさまよいながら、あげくには病院のベッドの上で息を引き取った。
同じ状況に置かれていて、それで尚の事、ゲーム内で起きた事故の教訓を学ばずに、現実世界でも再び、同じ過ちを犯して事故を引き起こした私が軽傷で済む一方、2人の男の子兄弟を死に追いやった事の事実から私は、2重の責任を感じて、他の人を今は亡き子供たちの姿と重ね合わせて見ている事で、罪滅ぼしをしている」。
そうように自身が書かれた文章を読み返すその当人に加え、初めて目を通すその場にいた皆、それぞれの流れ行く時間の中、HAARPを破壊させるため奮闘している場では、突風がなければ持続できていたはずの強大なエネルギーであり、その突風という影響に誘発して、予期せぬ変化が起きてしまった。
同様にウィンガーも強大なエネルギーだったのが、微弱電流という弱い力と化してしまったのは、突然襲い掛かって来た突風の影響だという事に、その光景を見た瞬間にして理解できた。
ゴルレトバー達が知らない状況の中で、一刻の猶予を争う局面を迎えてしまったせいで、ウィンガーは困惑するも、全速力で仲間達がいる所へと羽ばたかせて向かった。
それから程なくすると多種多様な花や、草木が咲く草原の見える場所まで来た。
しかし以前と違ったのは、飛んで行く先々に望める事ができた美しく彩る華やかな光景ではなく、しっかりと根を地面に下ろしていたはずの花や、草木があちらこちらに吹き飛ばされ散乱していたり、今にも枯れてしまいそうな状態であろうと、懸命に生きようとする以前とは対比した植物達の存在がそこにはあった。
そのような現実を目の当たりにした瞬間、憂いに沈みそうになる心を必死に押し殺しながらも、予期せぬ変化が起きてしまったHAARPの事だけを思いに止めて、仲間達がいる場所まで飛び続けた。
その一方で、ウィンガーの仲間達は突風により飛ばされてしまったそのウィンガーの無事を祈りながら、破壊に至らしめられてしまった水路の縁に対して、外側の線を造る対象となる範囲の箇所に、スネーカーと1号から5号のメドゥッサセア達が体をくねらせ、土壌が柔らかくなるように施してその土壌をならし、ならしたその土壌の箇所に今度は、ゴルレトバー、ラーパン、モーグル達が造るという手順でそれぞれが必死の思いで再建をしていた。
その作業を行っている最中において、ゴルレトバーはふと空を見上げた。
その時、全速力で空を舞いながら、こちらへと向かって来ているウィンガーらしき存在に気付いたが、ウィンガーであるという確証がこの段階ではないがゆえに小声で、「ウィンガー」。と、つぶやいた。
そしてその存在が、はっきりと把握できる段階まで迫って来た瞬間にして、小声で発した時とは反対に、周囲にいる仲間達にも届く大きな声で、「ウィンガー」。と、発した。すると皆、一斉にゴルレトバーの方に視線を送った後、そのゴルレトバーが見つめる方向と同様の方向に視線を送り始めた。
その瞬間、ウィンガーの姿を捉えた。
水路の縁に対して外側の線を造る対象となる範囲の箇所に、ウィンガーの無事を皆祈りながら、ゴルレトバー、ラーパン、モーグル達それぞれが線を造るという作業を行っていた最中に起きた再会という出来事だったため、その奇跡に感動を覚え、一斉にウィンガーの元へ駆け寄り喜びを分かち合った。
仲間との再会を果たす事の奇跡から歓喜されるウィンガーだったが、その局面を程々にHAARPが抱える問題を、自らの目で目の当たりにした現実について説明し始めた。
「エレクトリカルキャットフィッシャーが発電させた電気を、HAARP目掛けて持続して放たせていたエネルギーが強大な力となって保持していたそのエネルギーは、僕達に突然襲い掛かり、僕を吹き飛ばしたあの時の突風のせいで、それがなければ持続できていたはずなのが、今にも消えてしまいそうな程の微弱電流を発している姿を、偶然にも飛ばされてしまった方向がHAARPがある場所だったから、そうなっている姿を僕はそこで直視した」。
思い掛けないそのような主張を耳にした仲間達は、驚愕したまなざしを浮かばせた。
そして、わずかな間であるが沈黙に陥った。その陥った沈黙を破るかのように、モーグルがおもむろに口を開きこう言った。
「それだったら早くHAARPがあるその場所まで行って、僕達も状況確かめてから、新たな対策として何らかの方法を見出さなければならないな」。
その主張をし終えると、全員うなずいた事で意見が一致し、再度HAARPがあるその場所まで向かった。そして、わずかな時が過ぎ去った時、突風によりウィンガーが偶然にもHAARPがあるその場所まで飛ばせていく最中において、最初に目の当たりにした多種多様な花や、草木が咲く草原のある場所まで辿り着いた。しかしそこで目にしたのは、美しく彩る華やかな光景ではなく、しっかりと根を地面に下ろしていたはずの花や、草木があちらこちらに吹き飛ばされ散乱していたり、今にも枯れてしまいそうな状態であろうと、懸命に生きようとする飛んで行く先々に望む事ができた以前とは180度違う光景で、存在している植物達がそこにはあった。
その光景を見た時、ウィンガーの心の中では、憂いに沈みそうになる感覚が再び襲い掛かる一方で、この時初めて目の当たりにしたゴルレトバー達の感情には、悲壮感が沸き起こっていた。
それから程なくして目的地に辿り着くと、ウィンガー以外の仲間達は知るよしもないが、以前エレクトリカルキャットフィッシャーが発電させた電気を、HAARP目掛けて持続して放たせていたエネルギーが、強大な力となって保持していたのが、今にも消えてしまいそうな程の微弱電流を発していると主張したウィンガーが、最初に目の当たりにした局面と同様の光景が目に映った。
その同じタイミングで、男性がノートに書き込んだ文章を、彼自身で読み返し終わった瞬間、彼の外見がドラゴンと人間を組み合わせた獣人へと変貌してしまった。
この現象は、仮想現実を飛び越えて、現実世界への跳ね返りによって、腸発酵症候群を生まれ持ってしまった際の過程と同様の影響だ。
彼は再度、同様の現象を受けてしまったのだった。
その頃、モーグルがおもむろに口を開き再びこう主張していた。
「このような状況に直面してしまった僕達に今、成せるべき事は、水路を至急完成させる他以外に選択の余地はない」。
すると、今度はゴルレトバーがおもむろに口を開きこう言った。
「そうだな。モーグルが言う通り僕達が選択できるのは、水路を至急完成させるという道しかないな」。
そしてラーパン、スネーカー、セラフィーン、ウィンガー、フィッシャー、エレクトリカルキャットフィッシャー、メドゥッサセアといった他の仲間達も、その主張に賛同した事により、ペースを上げて作業に当たったり、エレクトリカルキャットフィッシャーの場合は以前と同様、発電させた電気をHAARP目掛けて放たせるといった行為で、それぞれが持つ能力を発揮させて、直面している状況に対応した。
そして、刻々と時間が過ぎ行く作業の中で突如として、ゴルレトバーは周囲を飛び回ると同時に、獲物を見付けた時に醸し出す鋭い表情を浮かべ、フィッシャーは驚異的なスピードで水中を泳ぎ回るという1頭と1匹は異常行動を取って、天候における異常を過去に察知した時と同様、また新たに災害が起こる前兆を予知した。すると再び突風に襲われてしまったCYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEであるが、ウィンガーを除く仲間達はもちろん、今回はそのウィンガー自身も飛ばされる事なく済んだ。
その中において、エレクトリカルキャットフィッシャーが放たせたエネルギーが、襲って来た風の影響から消えてしまわないように、全力で負けじと発電していた。
そしてその努力の末、徐々に強大な力となっていった。
それと同時に、風も徐々に勢力を増していった事による影響から、スネーカーや1号から5号のメドゥッサセア達に加え、ゴルレトバー、ラーパン、モーグル達が必死の思いで再建し続けていた最中において、広大な水辺の遠い向こうの方角から、とどろく地響きを感じ取ったセラフィーン、モーグル、フィッシャーらはその感じ取った地響きがとどろく方向へ、ふと視線を送った。
その先で目にしたのは、広大な水辺の遠い向こうの方角から速度を増しながらこちらに迫って来る波だ。
その状況を把握した瞬間、波が迫って来ているという局面に気付かず、HAARP目掛けて電気を放たせているエレクトリカルキャットフィッシャーに対して他の仲間達は、今いるその場所から逃げるよう呼び掛けた。
その呼び掛けに対して、初めて事の重大さを把握したエレクトリカルキャットフィッシャーは、急いで仲間達がいる所へと進んで行った。
一方その頃、ドラゴンと人間を組み合わせた獣人という姿と化して、皆と同じ空間にいる彼のそのような異変に誰も気付く事なく、刻々と流れる時間の中で、文章を読み終えた皆は、同時に顔を上げ、男性の方へと一斉に視線を送った。
だがしかし変貌したその姿を目の当たりにしても、驚きおののいたり、恐怖心を抱くどころか、今まで読んできた彼の長所を引き出す決定付けられる文章背景の助長により、皆、尊敬する眼差しで彼を見つめていた。
その見つめる一方で、表には出さないまでも、掛け合わせという容姿を目の当たりにした経験があるアドレン・クラウディアスは以前、出向いた先のカフェで知り合ったウェイターと、ウェイトレスの存在に対して脳裏を過ぎらせていた。
一方その頃、全員で事態を逃れる事ができる安全地帯があるか周囲を見渡している最中、およそ数100メートル向かった先に、高台が存在している事に気付き、その場所へと向かった。その一方でさらに勢力を増した波は、やがて高波と化して押し寄せて来た時、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEが造ってきた水路の線を最初は突風により破壊され、今度は高波という天災に脅かされてしまい、今にも枯れてしまいそうな状態であろうと、懸命に生きようとする以前には存在していた植物達だったが、突然襲って来たその高波によって、またもや脅かされてしまった。そして今では、影も形もなくその波に襲われた形跡だけが残されていた。
そのような状況をCYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEが凝視している最中において、高波がHAARPと接触した瞬間、自然と化学反応が起きエネルギーが倍増した。
そのため安定しなかったり、不活発という癖を持つ電離層の動きを安定させる目的から、造っていた今は存在しない水路の線、そして水路の線が完成した暁において、ダムの設計という立てた計画を遂行しようとしていた局面が事象の流れによる影響により、思いも寄らない結果となって、水に接触された事で化学反応が起きた。
その局面は以前、HAARPを破滅させる目的で、モーグルが計画を主張した過程にあった段階だ。
HAARPを破壊させる計画で造っていた命の危機に危ぶまれる対象となって発生した高波だが、その影響からHAARPを破壊させる計画を、自然が生み出すその力のお陰で、偶然にも手早く成し遂げられる事が可能となるよう導かれたのだ。
それでも尚も、エレクトリカルキャットフィッシャーが発電させた電気をHAARP目掛けて放たせるという行為をしなければならないため、多少なり危険が及ぶ事も認めざるを得ない。
水に接触したHAARPは大気に影響を与えた。その直後、ゴルレトバーとフィッシャーは、何やら環境の変化を感じ取り始めた。
そして、いつものごとく周囲を飛び回ると同時に、獲物を見付けた時に醸し出す鋭い表情を浮かべたゴルレトバーと、驚異的なスピードで鉢の中を泳ぎ回るフィッシャー。
すると、その瞬間、地震が発生した。
一方で空を浮遊できる鳥であるウィンガーは翼を羽ばたかせ、空で退避し地震の影響を受けずに済んだのが、そのウィンガー以外のCYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEのメンバーの誰もは、突如発生した地震の影響から、退避した高台において、四方八方に揺さぶられていた。
そんな姿をウィンガーは心配そうな面持ちで上空から見つめていた。
そんな矢先の事、「地震が発生して、その地震による震動は震幅が早まれば早まるだけ、早く遠くへ伝わるようコントロールし、電磁波が地球という星の地殻を示唆する表層部から、幾層にも重なってできたプレートと呼ぶ強固な岩盤を超え、今度は地下2、900km、約3000kmにあるオゾン層を破壊したり、電磁波が宇宙空間にある岩石、ガス、塵といった上部マントルと、下部マントルに衝撃が伝わる事ができた暁による影響という局面を迎える事ができた際には、エネルギーが増幅した結果、高高度核爆発が起こり、最終的に天体の中心部分の構造である核に大打撃を与え、強大な力を持つHAARP自らの力により、そのHAARPというシステムを自滅させ、稼働を止める事だけでなく、建屋もろとも破滅させられるように追い込む」。と、以前モーグルが主張していたその言葉が突如、エレクトリカルキャットフィッシャーの脳裏を過った。
すると、地震で体を揺さぶられながらも、陸地を走り抜けた末、危険を顧みずに水に飛び込み、泳いでHAARPがある場所まで一目散に目指し始めた。
その同じ頃、地震の揺れに習熟でき、辺りを見渡せる程の余裕を表せる事ができたウィンガー以外のCYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEのメンバー。
そして、そのかたわらでは突如発生した地震の影響から、ウィンガーを除くCYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEが、今まで四方八方に揺さぶられていた姿を、そのウィンガーは心配そうな面持ちで上空から見つめていたのが、地震の揺れに落ち着きを取り戻す事ができた事による安堵感を抱き始めた。
それぞれの行動であったり、心の状態に変化が現れた状況の中で、エレクトリカルキャットフィッシャーの姿が見当たらない事に、そのエレクトリカルキャットフィッシャーを除くCYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEそのメンバーの全員が気付いた。
エレクトリカルキャットフィッシャーは、HAARPがある場所まで目指して向かっているなどと、現段階では知るよしもない仲間達は、大声を上げて仲間の存在の確認を取った。
その最中において水中から、かすかではあるが閃光が放たれた様子を、非難した高台から目の当たりにした。
それから程なくした後、突如発生した地震の振動に揺られながらも、ゴルレトバーとフィッシャーは、今いるこの周辺から何やら環境に異変が現れて来る兆候を、さっき感じたばかりなのにも関わらず、再び感じ取り始め、周囲を飛び回ると同時に、獲物を見付けた時に醸し出す鋭い表情を浮かべたゴルレトバーと、驚異的なスピードで鉢の中を泳ぎ回るフィッシャー。
するとその直後、轟音がとどろき始めた。
その光は過去に何度も見ていた事もあったため、脳裏に焼き付いていた影響から、「水中で放たれた時に見えたその光は、エレクトリカルキャットフィッシャーが発したエネルギーだ」。という事を瞬時に把握できた。
同じ頃、エレクトリカルキャットフィッシャーが1匹でHAARPを破滅させようとしたが、仲間の呼び掛けによって、1度は救われたその命を今度は、自らの身を犠牲にしてまで制圧する姿に、志の強さに感銘を受けると同時に、助けたいという複雑な感情や、何もできないもどかしさで交差していた。
そのような面持ちでいると突如、ウィンガーが羽を羽ばたかせ、エレクトリカルキャットフィッシャーが1匹でHAARPを破滅させようと戦っている水中の上空まで様子を見に向かった。
その場に辿り着いた時、上空に何らかの存在がこちらを見ている事に察したエレクトリカルキャットフィッシャーは上空に視線を送った。
そこで見たのは紛れもなく、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEの存在の中であるウィンガーの姿だった。
その一方で水中では、プレートと呼ぶ強固な岩盤を超え、今度は上部マントルに加え、下部マントルにも衝撃をもたらすという現象が起きていた。
その瞬間、上空を見上げた状態で体制を崩したエレクトリカルキャットフィッシャーはウィンガーにこう警告した。
「ここにいては危険だ。早くこの場所から立ち去るんだ。ここは私が引き受ける。だからこの私だけで十分だ。他の仲間達にもそう伝えてくれ」。
そう主張した直後、プレートを超え、今度は上部マントルに加え、下部マントルにも衝撃をもたらすという水中で起きた現象の局面を迎えた事によって、起こったエネルギーの増幅という状況に起因し、高高度核爆発が発生した後、さっきとどろいた以上の轟音も鳴り響いた。
すると、エレクトリカルキャットフィッシャーは、水に呑まれながら姿を消し、荒れ狂う水の流れに引き寄せられ、深い闇に続く深層部へと徐々に吸い込まれて行ってしまった。そして、ウィンガーはとどろいたその爆音の恐怖に加え、目の前で仲間を失った喪失感という2つの状況にかられてしまい、その場を離れ仲間達が退避している高台へと羽ばたいて行った。
核に大打撃を与える事ができた事の影響により、HAARP自らの力を利用して、稼働していたシステムを自滅させる事ができたのと同時に、制御盤や建屋も破滅させる事に成功した。
破滅に至ったその中には、悪夢をプログラムに置き換えて入力する専用のコンピュータと、ドリームメイキングプレーヤーというこの2つの存在も含まれていた。
その同じタイミングで、同時進行するかのように、ドラゴンと人間を組み合わせた獣人という警察官の男性の容姿も、時間の流れと共に、元の姿へと変わっていった。
そして仲間達が退避している高台に辿り着いたウィンガーは、エレクトリカルキャットフィッシャーが水の中へと姿を消す前にこう警告した。
「ここにいては危険だ。早くこの場所から立ち去るんだ。ここは私が引き受ける。だからこの私だけで十分だ。他の仲間達にもそう伝えてくれ」。という言葉を残して消え去って行ってしまったそのメッセージを皆に伝えた。すると、ゴルレトバーはウィンガーにこう問い尋ねた。
「HAARPはどうなったんだ」。
その問い掛けに対してウィンガーこう返答した。
「稼働していたシステムを含めて建屋も破滅したよ」。
すると、セラフィーンはこう主張した。
「そうかそれは良かった。だがたとえそうだとしても仲間を失ってしまっては、素直に喜ぶ事なんてできない。水中を自在に泳ぐ事ができる僕やモーグル、フィッシャーとなら救出して帰ってこられる」。
そのセラフィーンの主張に対してモーグルと、フィッシャーは口を揃えて、「救出に向かいたい」。という思いを強く主張した。
しかし、ゴルレトバー、ラーパン、スネーカーらは、そこでまた仲間を失ったとしたなら、「エレクトリカルキャットフィッシャーが行った行為が無駄になってしまう」。と、その主張に対して反発した。
それぞれが対比している意見を述べている最中、メドゥッサセア達は全員の顔を見合わせた後、颯爽とした早さで、仲間達のいる場所から離れ、別の場所へと身を移した。
そして、その場で仲間達がいる方向へと振り返った時、おもむろに口を開き皆でこう言った。
「ついえる事のない絆に加え、友情を築く事の基礎となるのは、相手を知りその相手特有の性質を尊敬して、高く評価する事によってそうできる。我々はその事を仲間としてあなた達に迎え入れられて行動を共にしていき、その中で大切さを学んだ。だから我々が犯した過ちのせいで、仲間を失った事実を知っていながらも、我々の安全を守るため、エレクトリカルキャットフィッシャーが待避するよう言ったからと言って、放っておくなんて事はあってはならない。犠牲になるのはこのような事態を招いた諸悪の元凶である自分達だ。身命をとしてでも必ずエレクトリカルキャットフィッシャーとの再会を果たさせる」。
すると、ラーパンはメドゥッサセア達の所へと駆け寄って行き、自分達の信念を貫こうとするそのメドゥッサセア達を体を張って引き留めた。
「これ以上仲間を失いたくない」。という感情の表れからの取った行為をしたラーパンだったが、このような問題に直面しているメドゥッサセア達の身からすれば、ラーパンの示したその行為が、ありがた迷惑に感じられていた。
そして、1号と2号がラーパンの動きを封じ込めた。
その状況を目の当たりにしたゴルレトバー、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャーの仲間達は、動きを封じられてしまっているラーパンの側へと近寄って行こうとした。
すると、相手の感情を読み取れる特質を持っているゴルレトバーとセラフィーンは、1号と2号のメドゥッサセアが取った行為は、ラーパンを当て馬の対象にする事で、ワザと自らを仲間達から悲観させ、退けさせる理由である事だと言葉を交わすまでもなく理解できた。
その間において、3号から5号のメドゥッサセアは、エレクトリカルキャットフィッシャーを捜索するため、今は姿も形もないHAARPがあった場所へと進んで行った。
その一方で相変わらず、ラーパンの動きを封じている1号と2号は3号から、5号の存在が見えなくなった事を悟った時、ようやくラーパンを解放した。その瞬間にしてラーパンはゴルレトバー、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャーの仲間達がいる所へと駆け寄って行った。
その時、1号と2号は口を揃えてこう主張した。
「長い冒険旅行という授かった名の通りの生活を送り、本来の自分を取り戻すというHAARPを破壊する事ができた暁おいて我々が抱いていたかすかな希望をあなた達に託す。犯してしまった罪を悔い改めるという事も含めてになるが、今までありがとう」。
そう言い終えてから、エレクトリカルキャットフィッシャーを捜索するため、3号から5号が先に向かっていた同じ場所へと、1号と2号も進んで行った。
そこは突風という災害に襲われてしまうまでは、存在していた水路の線、そして、高波に襲われてしまうまでは、枯れてしまいそうな状態であろうと、懸命に生きていた植物達が存在していた場所だ。
突風という災害に襲われてしまった影響から、多種多様な花や草木が咲く草原があったその場に残ったのは、今となっては生きていようが死んでいようが、影も形もどちらも存在せず、それらの天災に襲われた形跡だけが残されていた。
その場所に程なくして辿り着いた1号と2号。この情景を以前は高台から見て、今は目の前で見ているが、広範囲に渡って見る事ができる高台か、それとも、細部まではっきりと見る事ができる今現在の目の前かは、見る場所だけの違いであって、目に映るものはどれも一緒だが、唯一対比している局面としては、高台から見た時には感じなかった造り掛けの水路を失ってしまったむなしさという感情が込み上げてきた事だった。
さらにその局面と同時に、広大な水辺を目の当たりにした瞬間において、驚愕したまなざしを醸し出した。
なぜならもともとが広大な水辺であるだけに、高波に襲われてしまった事の影響に起因して、水位が増していたからだ。このような状況を目の当たりにした瞬間にして、その事を時間を要するまでもなく把握できた。
そして、1号から5号のメドゥッサセアはついに水の中へと入って行った。
エレクトリカルキャットフィッシャーが荒れ狂う水の流れに引き寄せられ、深い闇に続く深層部へと水に呑まれながら徐々に吸い込まれて行き、そこで姿を消したという事実を知るよしもないメドゥッサセア達は、そのエレクトリカルキャットフィッシャーの行方の捜索を浅瀬で行っていた。
その最中、HAARPを破壊できた事によって生まれたそのHAARPの残骸が、体のあらゆる箇所に当たり、深かったり浅かったりする傷を多く負ったメドゥッサセア達。しかし自己犠牲の精神を働かせたエレクトリカルキャットフィッシャーの身に比べれば、そのような傷では痛みなどみじんも感じる事はなく、決死な思いで行方の捜索を続けていた。その最中において、浅瀬にはいないと確信すると今度は水底へ進んで行った後、その場にて捜索を開始させた。
HAARPの残骸と、巨大な岩の間にできたわずかな狭い隙間の中に、物陰がある事を悟り進んで行った。
すると、わずかにできた狭い隙間の中で、大小さまざまなHAARPの残骸と巨大な岩とが、何者かの動きに連動して動き始めた。
その光景を目の当たりにした瞬間、皆、「エレクトリカルキャットフィッシャーではないか」。という期待感を抱きながら、1号から5号それぞれの顔を見合わせた後、さらに進んで行った。
そして、近くに寄りその大小さまざまなHAARPの残骸と巨大な岩をどかすと、負傷して弱り果てながらも、まだ息のあるエレクトリカルキャットフィッシャーの姿が目に飛び込んで来た。
探していた仲間の存在を見付ける事ができた上に、命があるという遭遇した2つの奇跡から皆、興奮にしたっていた。
そして、どかしておいた大小さまざまなHAARPの残骸と、巨大な岩を運びながら水面へと上昇し、今度は運んで来たそれらを陸地へと移動させた。
その行いを高台から凝視していたゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー。その光景を目の当たりにした時、「向こう側へ行きたい」。という感情がそれぞれの心の中で芽生えるも、行く事ができないもどかしさでさいなまれていた。
一方でメドゥッサセア達が陸地へと移動させたその大小さまざまなHAARPの残骸と、巨大な岩がある場所が斜頸となっていた事に気付かず、その場所に置いてしまったため、奇跡のおとずれから一変し、最後にして命の終止符が間近に差し迫って来ているという不幸な結果をまねく局面へと至ってしまう運命になるとは到底、知るよしもなく相変わらず、意識はあるものの弱り果ててしまっているエレクトリカルキャットフィッシャーの側で寄り添って励ましていた。
その最中において水面の方から、何か物が落下してくる音が轟いた直後、王冠状の激しい水しぶきが目の前で上がった。
王冠状の水しぶきが激しく上がったさっきの情景も、高台から凝視していたゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー達は、メドゥッサセア達が大小さまざまなHAARPの残骸と、巨大な岩を陸地へと運んで来たそれらが、落下していくのを目の当たりにした時、いたたまれない程の「不安」という名の感情が、それぞれに襲い掛かり感じていた。
メドゥッサセアの1号から5号は、その水しぶきが上がった水面を見上げると、さっきどかしたばかりのHAARPの残骸と共に、巨大な岩が目の前に落下してきた光景が目に映った。この瞬間にして、物が落下してくるようなさっきの物音を耳にした原因は、それらが落下した時の影響によって生成されたものだったという事を把握できた。
それと同時に、エレクトリカルキャットフィッシャーを本能的に守ろうとして、覆い被さる状態を保つメドゥッサセアの1号から3号。さらに落下物を自らの体を用いて押さえ込んだ4号と5号。
その4号と5号が自らの体を用いて押さえ込んだ落下物には、先端が鋭くとがったものが配されていたため、それが不幸にして、胴体の中心に貫通してしまい、お互いが串刺し状態と化してしまった。
その瞬間、エレクトリカルキャットフィッシャーや、メドゥッサセア達がいる水域は鮮血で真っ赤に染まった。
高台から凝視していたゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー達の目にこの状況が飛び込んで来た瞬間にして、憂いに沈み始めた。
その一方で水中では、4号と5号の身には頭から尾の先まで掛けて、しびれると同時に激痛が襲い掛かっていた。
その上、状況は悪く、落下物を自らの体を用いて押さえ込んだ4号と5号の下に、エレクトリカルキャットフィッシャーを本能的に守ろうとして覆い被さった1号から3号が下敷きとなって、エレクトリカルキャットフィッシャーもろとも、全ての存在が身動き取れずにいた。予期せぬ事象に直面したその影響により、再び水底へと沈んで行ってしまった。そのせいで不安と戸惑いを隠さないでいるメドゥッサセア達。
刻々と時間が過ぎ行く中において、エレクトリカルキャットフィッシャーが、苦しまぎれな声で突然こう話し出した。
「こっこにいてはぁ、君達にもぉ命の保証はない。私の事はもう構うなっ。だから早く逃げるんだ」。
すると、その主張に対して、4号と5号は襲い掛かっている激痛に耐えながらもこう返答した。
「それは無理な要求だな。我々の犯した過ちのせいで、何の関係もない仲間を犠牲にする事など絶対にあってはならない上にできない。こんな事を言う資格は我々にないが、あえて言わせてもらう。命の定めを自ら決め付けるな。我々の手であなたを絶対にこの場から救い出す。あなたが生存できる道筋は我々が諭す」。
そして、わずかな時間であるが沈黙に陥った。その沈黙を破るかのように口を揃えてこう話し出したメドゥッサセアの1号と2号。
「以前ラーパンにも言った事なのだが、今、またあえて言わせてもらう。長い冒険旅行という授かった名の通りの生活を送り、本来の自分を取り戻すというHAARPを破壊する事ができた暁おいて我々が抱いていたかすかな希望をあなた達に託す」。
その主張に対して、エレクトリカルキャットフィッシャーは、苦しまぎれな声でこう返答した。
「自らの命を犠牲にして犯した罪に責任を投じたり、仲間の存在を大切にするその優しく強い君達の熱く抱くしんずいが、手に取れるかのように良く分かった。後悔のない選択をし、自らが定めた意思をまっとうせよ」。
エレクトリカルキャットフィッシャーからそう言われた1号と2号は3号から5号と共に、心と心で互いの意思を通わせるかのようなまなざしで顔を見合わせると突如として、4号と5号が最後の力を振り絞って何度となく激しく体を揺さぶり、体に貫通しているその落下物を引き抜こうと試みた。
貫通してしまった事による痛みと、その貫通している落下物から逃れようとして何度となく、激しく体を揺さぶるという2つの状況に起因し、襲い掛かる痛みは頂点に達した。
それでも構う事なく、もがいている影響から、傷を負った箇所が尾に掛けて範囲が広がるのと同時に、徐々にであるが貫通している落下物が抜け始めた。
そして、さっき以上にエレクトリカルキャットフィッシャーや、メドゥッサセア達がいる水域は鮮血で真っ赤に染まり始めた。
すると、4号と5号は、襲い掛かって来る激しい激痛に必死でこらえながら、エレクトリカルキャットフィッシャーと共に、それに覆い被さる状態を保つ1号から3号も救出しようと、背の上にエレクトリカルキャットフィッシャーを乗せ、岸辺へと向かって行った。その最中にて、引きちぎられていく感覚を覚えた。
それから程なくして、ついに胴体が半分に分裂してしまった。
生命力の強い蛇は、胴体が3等分か4等分に切り刻まれてしまったとしても、動く事ができる生物のため、胴体が半分に分裂してしまった状況であろうと、構う事なく再び、エレクトリカルキャットフィッシャーを乗せ、岸辺へと向かって行った。
そして、渾身の力を込めて水中から水面に飛び上がった。
それと同時に、水しぶきと共に鮮血も宙を舞った。
そして4号と5号は、エレクトリカルキャットフィッシャーを自らの背に乗せた状態を保たせ、今までずっと高台から凝視していたゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー達がいるその高台へと、胴体が半分に分裂していながらも、その場所へと颯爽とした動きで向かって行った。
こうして仲間達の元にエレクトリカルキャットフィッシャーを送り、再開を果たさせた。メドゥッサセア達が仲間達に対して、「必ずエレクトリカルキャットフィッシャーとの再会を果たさせる」。と、主張したその言葉通り、有言実行を果たしたその強い精神力に、4号と5号その胴体が半分に分裂していながらも、動けている事の局面に対してゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー達は、恐怖心を今まで抱いていたが、それが一瞬にして浄化していった。
そして4号と5号がエレクトリカルキャットフィッシャーを仲間達と再開させたその直後、今度は1号から3号がいる水域へと再び向かって行った。
ゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、セラフィーン、モーグル、ウィンガー、フィッシャー達は、1号から3号の救出へと向かったのだという事をさっきと同様、再び同じ所を通って行った事により瞬時に理解した。
その頃1号から3号は、4号と5号が救出に向かっているとは知るよしもないため、命を救ってくれるという期待感を密かに抱きながらも、命の終止符が迫って来ているという事を確信してしまっていた。
そのような状況の最中において、遠くの方からこちらへと迫って来る存在に1号から3号の目に映った。
それは紛れもなく4号と5号の存在だ。
それに把握できた瞬間にして、今まで抱いていた死期に対する煩悩が浄化した。仲間と再会できた安堵感によって、張りつめていた緊張がほぐれた影響から死を迎え、そしてその3人の後を追うかのように、4号と5号も死を迎えた。
この現時点では、仲間であったはメドゥッサセアの1号から5号の全ての存在が、命を落としたとは当然のごとく知るよしもないにも関わらずその瞬間、殺気を覚えたセラフィーンはすかさず、1号から5号が死を迎えてしまった水域へと進んで行った。
常に冷静沈着な振る舞いでいるセラフィーンが、取り乱す姿を見せるのはこれが初めてだったため皆、驚愕した眼差しを醸し出すのと同時に、セラフィーンが向かって行く後をモーグルとフィッシャーは追って行った。
そして、水域に辿り着くとセラフィーンとモーグルとフィッシャーは、勢い付けて水の中へと飛び込んだ。
そんな突発的な行動に出た存在達に対して、戸惑いを隠せないでいるゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、ウィンガー達。その一方でセラフィーンと、モーグルとフィッシャーは、身を寄り添いながら死んでいるメドゥッサセア達の姿の光景をそこで目の当たりにした。
その時、セラフィーンとモーグルとフィッシャーは、死んでいるメドゥッサセア達を背に乗せ岸辺へと向かった。
多くの仲間が死んでしまったとはいえ、ゴルレトバー、ラーパン、スネーカー、ウィンガー達はこうして再会を果たす事ができた。
それから数年の年月が経過した頃、エレクトリカルキャットフィッシャーは仲間達と生活を共にしていく中において、体の具合が完治へと至る事ができた。
そしてその間に、問題が生じた元凶であるHAARPという気象兵器、『高周波活性オーロラ調査プログラム』に加え、ディメンションメモリーというその2つの要素が話題となる中、このゲームにおいては、現実逃避のためにログインしたりするユーザーも多く存在していったのだった。
それぞれ異なった時間の流れや環境が変化している最中、クライアントの4人が抱える問題点となる特徴をそれぞれ、ピックアップしていたアドレン・クラウディアスは、自身が開発へと至らした特殊な装置に、警察という組織の特権の利用を促したそのルートを介させて、入手へと至った蛆虫のセットを行った。
そうする事に加え、クライアントの4人に対しての治療に先駆け、アドレン・クラウディアスが学生時代において、大学の講義内で作成していた「尾部懸垂」という重力が存在する宇宙空間を模擬的に再現したユニットを取り入れる事によって起こる現象の期待を抱いた。
そして彼がコンピューターで、「病症コード」を入力し、その病症コードが電極を通じて、電子コード化した「表語文字」へと変換されると同時に、蛆虫が付けられているそこを巡り、負荷を与えないよう彼は配慮しながらも、その蛆虫は、治療における知識となる要素を蓄えていった。
ありとあらゆる存在している精神療法を入力し、病症コードが電子コード化された時と同様の課程において、その精神療法も電子コード化も行った末、表語文字へと変換されると同時に再度、蛆虫に負荷を与えないよう配慮しながらも、治療における知識となる要素を蓄えていった。
その存在している精神療法の記憶も蓄えていくその最中に、なかでも重要視していたのが、「書く」という表現の他に、「体現」という面がある表現療法を特に、蛆虫は意識していた。
この課程の中の要素である病症コードに加え、精神療法もコンピューターで入力し、コード化。
それから電極を通じて、その双方が持つコードが表語文字へと電子コード化に変換される。
さらに宇宙空間を模擬的に再現。
これら1連の流れを例えて言うならば、宇宙に存在する「銀河」に置き換えられると言っても過言ではないだろう。
なぜなら、幾つもの天体がまとまってできた銀河には、想像絶する計り知れないほどの
物質が類を成して形成されている。
同様に、言語も十人十色異なる「思考」、「感情」、「意思」といった要素が混合する事で、善や悪に化したりもする。
さらにこの言語というツールは、書くという動作だけに囚われず、体現という形式にでも、工夫次第では無限に伝達が可能だ。
そのためこれらの局面は、多くの場面で必要不可欠となってくるものだからだ。
つまり、言い換えれば、銀河は言語という名の天体だ。
それからその状況を蛆虫が解読する段階として、治療を行う対象となる4人に適切な治療法を大まかにアドレン・クラウディアスはした後、アップロードと解読に加えて、転送を果たす役割を持つ「機械」と、「知性」と、「知識」の3つがすでにリンクされているのに対して、そのシステムに、4人の存在とを電極につなぎ合わせた。
そしてその間において、病症コードと共に、精神療法の記憶も電子コード化された表語文字のデーターを1度、クラウドへの保存も並行して行った。
こうして電子コード化された病症コードとなる表語文字のデーターの記憶を蓄えに蓄えた蛆虫は、その膨大なデーター量を解読しながらも同時に、猛スピードで植え付けていった。
それから程なくした後、植え付けに完了へと至った蛆虫は、この現段階ではまだ植え付けられていない精神療法も植え付けられていった。
まもなくしてから、4人のクライアントの脳内へと、心理学の知識が身につけられた蛆虫と、4人のクライアントが精神疾患をわずらってしまった事における過去の背景の双方が転送され、精神共有によりぶつかり合った。
そして、4人のクライアントが共通しているのが、「心的外傷後ストレス障害」『PTSD』に区分されているサバイバーズギルト、に加えて、類似した疾患であるサバイバー症候群を発症している事を知り得た蛆虫は、その症状に最適な治療法を選択し、さまざまな精神療法をひとくくりとして、4人同時に精神疾患をむしばませている根底へと刺激を送った。
すると、精神療法を行っている概要となるコードが次から次へと移り変わり、現実逃避という局面と同時に、これまでトラウマとなっていた種に中和する事で、一瞬で浄化に至ったのだった。
こうして皆、歓喜の声をあげ喜びを分かち合った。
それから、ニーナ・ユイナー、カナエラン・ユイナー、ミッチェル・ジョーンズ・ワートらもこれまでと同様の治療を受ける準備に差しかかっていた。
その中のニーナ・ユイナーと、カナエラン・ユイナーに関しては、心理学を職にしている立場といえど、あまりにも斬新すぎる治療方であるため、興味と違和感とが混合した感情を覚え始めたのだった。
だが、その一方のミッチェル・ジョーンズ・ワートには、「違和感」という文字など存在せずに、ただただ関心しきっていた。
それぞれが抱くそのような感情の中で、彼女たちも治療に至った。
その最中で、学習能力を身につけ始めた蛆
虫は、カウンセリングの一環で、距離など関係なく、季節ごとに咲く花の開花が起こったタイミングで、自然に親しむ事からもたらされる癒しを吸収したり、陶磁、木工、繊維、紙を扱ったイベントに出向いたりした過去のその時の記憶の映像を読み込んで、自らの意思を持って、植え付けを行った。
この状況と共に、3人の心も最初診療を受けた4人と同様、病を患っている根底へと刺激が送られたその箇所が中和され、これまで抱えていた元凶となる局面が取り除かれたのだった。
こうして、3人も歓喜に慕った。
しかし、この時はまだ学習能力を自らの力で習得したとは知るよしもないアドレン・クラウディアス。
ある日、ウッドチップが敷かれたケージを蛆虫がよじ登り、そのケージの上部に固定されている網の目が施してあるふたのわずかな隙間から、飼育している作業台へと落ちてしまい、その場を動き回っている最中、配置している物にぶつかった拍子に、アドレン・クラウディアスが仕様しているショルダーバッグのベルトに付着してしまった。
そうとは知るよしもないアドレンは、当然ケージ内に蛆虫がいるものだと思っている事から、確認する事なく外出するため、家を後にした。
そしてバイクで向かった先の書店で、一冊の自己啓発書を手にしてから、テーブルと椅子が設置されている場所まで向かい、読み始めていた。
その間にも最初、付着していたショルダーバッグのベルトからアドレン・クラウディアスの着ている服へと移動していた。
そしてさらにその箇所から今度は、皮膚へと場所を変え始めた。
蛆虫が場所を移したその場所は首元であったため、突然、首元がかゆくなってくる感覚を覚え、そっとその首元へと手をやった。
そして何やら得体の知れないものが指先に触れたためそれを掴み、自身の顔の正面へ持ってきた。
本来ならば、家にいるべき蛆虫が、今、自身と同じ環境にいる現実に戸惑いと、目の疑いを瞬間的に隠しきれない様子をかもし出している最中、そんな彼をよそにするかのように、蛆虫はアドレン・クラウディアスが読んでいた本のページにつづられている心理学的な供述に相当する文章を見つけてはその文面に沿って移動し、またそれに当てはまる文章を見つけては、その文面に沿って移動するという行動を見せたのだった。
この段階ではまだアドレン・クラウディアスは、学習能力を蛆虫が身につけた事によって、起こした行動である現実を理解できる事の要素が何1つとして存在しないその一方で、蛆虫は繰り返しの行動をしていたのだった。
その不可思議な行動を見つめている中において、半信半疑と、期待とが交差する感情を抱くアドレン・クラウディアスであるも、しばらくその様子をうかがっていた。
それから家に着き、未だ交差する感情を背負う心境のなかで、書店で手にした本の内容を、蛆虫が記憶しているかどうかの確認のため、それをクラウドを利用し検証を行った。
すると、記憶が保存されている事を悟ったこの瞬間にして、半信半疑から一変、彼の想像を上回る局面へと結実した。
彼が思い描いた構想が理想以上となって功を奏した事で、心の病を完全に完治へと至らす事ができた7人は、囚われていた過去の時間を取り戻すべきものは取り戻し、それから先に積み上げてきた思い出の記憶と共に、共存しながら、それぞれが豊かな道のりへと向けて開拓していったのだった。
それから数年の月日が経過した頃の事。
その期間の間で、さらに文章に対しての理解を増し加えていた蛆虫は、訪問カウンセラーを種まき人に例えた信仰療法における理論や定義をも理解し、植え付けていた。
訪問カウンセラーを種まき人に置き換えて、その種まき人を訪問カウンセラーにイコールとして定めるなら、与える事になるアドバイスが種にイコールとして定められる。
自分独自の視点の解釈から、物事を考察するか、相手の立場となって物事を考察する感情移入を示すというその異なる面では、受けとるクライアント側の心理状態によっては、逆効果という局面を向かえてしまう事にもなりかねない。
つまり、作物の種と同様に、欠陥が生じているならば、その欠陥を持ったまま成長してしまうのと同じように、欠陥のある発言を相手にしてしまうならば、それはアドバイスではなく、現状を故意に悪化させる苦痛を抱かせるものである。
当然の事だが、精神的な悩みを抱えているクライアントに、適切なアドバイスを与える事で必要となる要素となるのは、道理をわきまえ、かつ尊重する発言だ。
そうする事で、自ずと親身になって寄り添えられるという結果をもたらす事ができる。
このような精神世界の知識という面からもアプローチする事ができるまでに進化を遂げたその蛆虫。
そして、その蛆虫をパートナーにして、ゲームにログインしている存在の中に、現実に直視できなくなってしまったりして、仮想現実という非現実に身を置いて、そこでの環境でしか存在意義を保てない事の理由から、現実逃避に至った背景を持つ者を、同じ境遇を抱え合っている者であったり、さらにはすでに、現実逃避を克服していたその現実逃避という同じ悩みに共感できる同士が、現実世界においての姿、形を悟られる事なく、フレンドリーに近寄れる事が可能なアバターを利用して、パーティを構成し、サイバーパトロールを実行する中で、そのような環境下にいる存在を探り当てた末、心のケアも行うという活動に専念していた。
そうした中において、小なるものが大となって増加していくその仲間の中には、かつてアドレン・クラウディアスが、カフェで知り合ったウェイターと、ウェイトレスも加わり、
トランデールリウムルピナー大平原という仮想の場を開拓していったのだった。
一方その頃、すでにCYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEという組織を解散した事に加え、ゴルレトバーであるなら災害が起こる前兆に、異常行動を取って予知するという本能の磁気感覚の活性化。適応、作業、服従という局面、視覚、嗅覚、聴覚の感覚器官の活性化。
うさぎのラーパンであるなら、もともと持ち得ている空間情報が備わる本能、適応、作業、服従という局面、視覚、聴覚、嗅覚といった感覚器官の活性化。
金魚のフィッシャーであるなら、金魚鉢と共に巨大化した事の影響により、それぞれが飼い主から最初は驚愕した視線を浴びせられていたが、生活を共にしていく中で、徐々に慣れ親しまれていたのだった。
そしてゴルレトバー同様、もともと持ち得ている磁気感覚で、災害が起こる前兆に異常行動を取って予知する本能、それとは別に適応、作業、服従、そして視覚、嗅覚、聴覚を持つ感覚器官のうち、嗅覚、聴覚に比べてあまり役に立つ事ができない視覚と共に、嗅覚、聴覚も劣るとも勝らない程の進化、さらに、人間の話し言葉を話すという異常な進化を封印する事も含めてそれぞれが、CYBER DISASTER PROTECTION ANIMAL FORCEというチーム名と共に、今まで経験してきた事柄を思い出として残し、以前と同様にペットという立場で飼い主に飼育されながら優雅に暮らしていた。
その一方ではセラフィーン、モーグル、ウィンガー、エレクトリカルキャットフィッシャー達は以前と同様、再び野生という立場となって、皆で協力し合いながら平和に暮らしていたのだった。
そして、ゴルレトバーとその飼い主との間の穏やかな環境の生活が継続していたある日。「施設管理運営責任者」と名乗るサングラスを掛け、黒色のスーツで身を飾った長髪の数人の男達が現れた。
そしてHAARPが存在していた跡地に、施設の建設といった企画が立ち上がり、ゴルレトバーと共に暮らすこの自宅が立ち退きの対象となり、移住の協力の要請をされた。
そして同じ日の夜、寝室にいた彼女は、本棚から一冊のアルバム写真を取り出してから、目を閉じ一呼吸置き、手にしていたアルバム写真の表紙をめくった。
最初の1ページには年配の女性と、そのご主人と思われる年配の男性の2人が、庭園内に配されているブランコに乗りながら、満面の笑顔を醸し出して一緒に写っている写真があった。
しかしその写真の中には、ゴルレトバーの存在はなかった。
今開いているページの写真をしばらく凝視した後、次のページをめくった。
するとそこには、元気な表情を醸し出している女性のかたわらでは、さっきの写真に写っていた満面の笑顔でいたご主人と思われる年配の男性がなぜだか、病院のベットで横たわりながらも、女性が側で寄り添っている事に喜びを感じているのだろう。その局面に対してか、にわかに笑顔を振りまいている写真が貼られてあった。
歴史を刻むページがまだ続いているが、開いていたアルバム写真を彼女はそっと閉じ、保管してあった本棚へと戻した。
そして、ゴルレトバーの犬小屋を望む事ができる窓の前へと身を映しその場で、きらびやかに輝く星によって照らされる夜空と共に、月明かりによって照らされる犬小屋を、物思いにふけりながら見つめていた。
その最中、犬小屋で休んでいたゴルレトバーは、誰かに見られている視線を感じ始め、外へと出て行き、辺りを見渡した。
すると、家の中の窓からこちらに視線を送っている飼い主の姿との視線がぶつかり合った。その瞬間、彼女は慌てた様子でその場から離れ、玄関へと向かいドアを開け放った末に、ゴルレトバーがいる犬小屋へと駆け寄って行った。
ゴルレトバーが人間との会話の意味を理解し、人間の話す言葉を発するとはもちろん知るよしもなく、こう言って話し掛けた。
「お前が私のところにくるずっと前は、主人と2人で暮らしていた。そしてある日突然、主人は進行性の重い病に侵され、数年の闘病生活を送ったあげくの果て、この世を去って行った。そして、私も子供が欲しかったものの、過去に子宮を切除していた影響で、子供を生む事ができない体であったりと、色々な苦悩があった。先立たれてしまった主人、私の体が健康であったなら、子供を出産していて、共に暮らしていたかもしれない叶うはずのない理想。そのような状況下に直面していた時、通い詰めていたホームセンターへ買い物に出向いた時、偶然お前に出会った。お前が私の苦しみを解放してくれるだろうと、期待感を胸に連れて帰って来た。私の願い道理、お前は、たくさんの癒やしをもたらしてくれた。だからいるはずのない主人や、子供としてお前を重ね合わせる感情で今まで生活してきたこの家を失うのが辛いんだ」。
そう主張し終えた彼女は、ゴルレトバーを抱きしめながら深い眠りについた。
ゴルレトバーを抱きしめながらも眠るそんな彼女の腕の中で、ゴルレトバーは彼女にこう言った。
「あなたが過去に経験した出来事の記憶から、経験の浅い僕の技量にして、現在の思いだけで、あなたの脳裏を埋め尽くしてあげられる事の力添えとなれるのは、かなわない事だってあると思う。そして、あなたが今まで僕にしてきてくれた恩に対して、どれだけの事をすればあなたに報いる事ができるか予想も付かない。だけど、仲間を失う悲しみは僕にだって理解できる。あなたの心の中で、邪念となっている要素があるならば、全てこの僕が受け止める。僕はあなたのような純粋な心を持つ飼い主に飼われてすごく誇りに感じている。出会えて良かったありがとう」。
そう主張し終えるとゴルレトバーも目を閉じ深い眠りについた。
ゴルレトバーが実際に、人間の話す言葉を用いて、彼女に話し掛けていたという現実を、理解できる要素が存在しないまでも、その最中において、彼女はゴルレトバーが自身に語り掛けている感覚に陥った。
そのような局面は、現実と夢がシンクロを果たした瞬間だった。
1人と1頭が静かに眠っているその時間が刻々と過ぎゆく中、さんさんと輝く朝日が昇り、地上に光を行き渡らせながら朝を向かえた。
そしてさらに時間が経過し、昼の時間へと移り変わろうとしている時の流れの中において、この前、たずねて来た顔にはサングラスを掛け、黒色のスーツで身を飾った長髪の数人の男達が再び現れた。
彼女は彼らにこう言った。
「この土地に対して、立ち退きの話しを持ち掛けてまで行う大規模な企画という事からには私を納得させるような、それ相当の理由があってでしょうけど、仮に私が立ち退きに同意した場合、あなた達が新しい環境を手配して下さるようですが、私の身からすれば、思い入れ深いこの環境を手放す事は、過去の記憶を掻き消されてしまうほどの影響力を及ぼす事につながります。今のこの環境を犠牲にし、慣れない土地で生活していく事も重ね合わせるなら、損するばかりで何の得する事はないと思います。どのような意向によって、企画を進めようとしているのかを示す理由が存在するなら、私が抱くそのようなマイナスの感情を、払拭させて下さるその理想を聞かせて下さるかしら」。
張り詰めた空気がただよう中、男はおもむろに口を開きこう主張し始めた。
「HAARPが存在していた時、誰もがそのシステムが持つ力に惑わされていたと思うが、そうなってしまった中の存在に、実は私達も含められてしまっていた。だからこの経験を糧に、建屋の中に庭園と、ガーデニングに関する書物、ハーブをはじめとする植物に関する書物、作業療法に関する書物といった精神力を鍛える事を促せる出版物を取り揃えた書店を作り、私のようにHAARPの力に惑わされてしまった同じ苦しみを味わう者同士が出会うなら、書物を通してコミュニケーションを図る事により、自ずと抱いていた苦しみを浄化させる事を手助けする事ができたり、そのような局面に関わりがない人が来たとしても、苦しみを味わった経験者から今後、他の人が遭遇する可能性のあるあらゆる局面に対して、精神状態がどうあるべきかという、そのアドバイスとなる点を与える事ができるといったそこで出会う人達全てが、隔てのない関係で過ごせる環境作りにする事を理想としているんです」。
その主張を聞いた彼女は、微笑みながら深くうなずいた後、立ち退く事を受け入れた。
立ち退く事にうなずいて同意した彼女の姿を目の当たりにしたゴルレトバーが、彼女の目をじっと見つめながら、自分のほほを彼女の足に擦り付けるしぐさをして、まるで彼女が下した決定に賛成しているかのような素振りを醸し出した。
それから数ヶ月の月日が経過したある日。
かつてHAARPが存在し、人々に脅威をもたらていたその場所には、脅威とは間逆の概念のある建屋内に、男達が抱いていた理想から、現実へと発展に至らせた庭園と書店が見事に融合する空間が存在していた。
そして、その建屋の横には、「リブレリー デ ジャルダン カフェ 」。という文字が入った看板が掲げられていた。
ハーブをはじめとする植物に関する書物、作業療法に関する書物を活用する事で、現実逃避からゲームにログインしていると自覚を持つもののその環境下において、心を支配されてしまった多くの人同士が、それらを用いての土台をすえた会話により、苦しみを浄化させる事ができていたり、さらには感情の面での苦しみを味わった経験者から今後、他の人が遭遇する可能性のあるあらゆる局面に対して、どのような精神を反映する事によって対処できるか、そのようなアドバイスとなる点を与える事ができるという男達が抱いていた理想通りの展開へと導く事ができ、その場所を求めて出会う人々は、持ちつ持たれつの関係で成り立っていき、成功を収める事ができたのだった。こうして人々は平和な毎日を満喫した。
ディメンションサバイバー症候群サバイバーズギルト アニマルドリーミングシンクロパニックス Takalet @hirotakaosa
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