壮麗で骨格のしっかりしたファンタジーに、繊細な心理描写!
- ★★★ Excellent!!!
カンファー王国のはずれの、山中で。
身なりの良い美少年、ヴィーが、盗賊にとっつかまって、縛り上げられていた。
彼は、淡い金髪で、とても上品だ。
その彼を、物陰から、そっとうかがう、十歳の男の子がいる。
身体は痩せ、殴られたあとがある。
盗賊どもにつかまって、下働きにこき使われているのだ。
「……その傷、先ほど出ていった男たちにやられたのですか?」
ヴィーは、男の子にそっと話しかける。
それが、お互いにとって、どんなに意味のある、運命的な出会いであるか。
この時はまだ、知る由もなく……。
精神の強さを持つ、訳ありのヴィー。
男の子を襲う、数奇な運命。
人の心の強さ、葛藤が、抜き差しならない政治劇、綿密な国・経済の設定に支えられ、展開していきます。
読み応えがたっぷり。
ヴィーと男の子の間の、心のつながりに胸が熱くなります。
そしてあとからでてくる、一癖も二癖もある、黒騎士がかっこいい!
主従のやりとりに、皮肉が効いていて、非常に面白いです。
一話が10000字くらいあり、心理描写がきめ細やか。物語の世界にひたりながら、読書していただきたいですね。
おすすめですよ。
ぜひ、ご一読を!