壮麗で骨格のしっかりしたファンタジーに、繊細な心理描写!

カンファー王国のはずれの、山中で。
身なりの良い美少年、ヴィーが、盗賊にとっつかまって、縛り上げられていた。
彼は、淡い金髪で、とても上品だ。

その彼を、物陰から、そっとうかがう、十歳の男の子がいる。
身体は痩せ、殴られたあとがある。
盗賊どもにつかまって、下働きにこき使われているのだ。

「……その傷、先ほど出ていった男たちにやられたのですか?」

ヴィーは、男の子にそっと話しかける。
それが、お互いにとって、どんなに意味のある、運命的な出会いであるか。
この時はまだ、知る由もなく……。

精神の強さを持つ、訳ありのヴィー。
男の子を襲う、数奇な運命。

人の心の強さ、葛藤が、抜き差しならない政治劇、綿密な国・経済の設定に支えられ、展開していきます。
読み応えがたっぷり。
ヴィーと男の子の間の、心のつながりに胸が熱くなります。

そしてあとからでてくる、一癖も二癖もある、黒騎士がかっこいい!

主従のやりとりに、皮肉が効いていて、非常に面白いです。
一話が10000字くらいあり、心理描写がきめ細やか。物語の世界にひたりながら、読書していただきたいですね。

おすすめですよ。
ぜひ、ご一読を!

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