シュメール 「読める、読めるぞ!」

爆撃project

本編



シュメール

「読める、読めるぞ!」


・紀元前3500年ないし3400年くらいに、メソポタミア(注1)で楔形文字が発明される。


♦︎♦︎♦︎


後世の学者

「何処の誰だか全くわからん、シュメール人とはいったい何者なんだ?」


シュメール

「我々は十二番惑星ニビルから、偉大なるアヌンナキに遣わされた民なのである!」


???

「やはり宇宙人か! 人類は昔から監視されていたんだ!」


・今になっても民族系統は不明である。単にシュメール語を使う集団というだけで、別に民族と呼べる民族ではなかったのかもしれない。


♦︎♦︎♦︎


アッカド

「シュメールのとこでは変な絵を使って意思疎通するらしいな」


シュメール

「え、おまえ「楔形文字」知らねーのか?

「楔形文字」知らねーやつがよおー この世界にいたのかよォー」


アッカド

「(イラッ)……おいみんな、シュメール語使うのやめようぜ」


・メソポタミアでは楔形文字が一般的になる。しかし、シュメール語は国際言語にはなれなかった。楔形文字は広まったのに、それはシュメール語ではなくアッカド語だった。どちらも楔形文字で記述されたが、その言語形態は異なっている。


♦︎♦︎♦︎


ウルク

「シュメール地方、統一しない?」


ウル

「え?」


ラガシュ

「なんでお前の下につかなあかんねん」


・シュメール、実は都市国家が乱立していて統一していなかった。


♦︎♦︎♦︎


シュメール人

「数の数え方はどうしよう。ま、約数は6が多いし、60を一つの基準にしていこーかな」


シュメール人

「月って同じような周期で満ち欠けするんだなぁ。これ、カレンダーに使えないだろうか」


・シュメール文明は、現代にも繋がるめっちゃ色々な発明をした。時間や緯度経度で使われる六十進法、月の満ち欠けを基準にした太陰暦という暦、他にも月火水木金土日の曜日制を発明したのはコイツらである。え、本当に宇宙人じゃないの?


♦︎♦︎♦︎


ウルク王ルガルサゲシ

「よし、あと少しでシュメールを統一できるぞ! 本当にここまで長かったなぁ」


アッカド王サルゴン

「よし、シュメールを潰そう(閃き)」


ルガルサゲシ(シュメール)

「ちょ、待てよ! シュメールの外から攻めてくるのは反則だからっ!」


サルゴン(アッカド)

「そうかな」


ルガルサゲシ(シュメール)

「く、くそっ。こうなったらやるしかnギャァァアア————」


サルゴン(アッカド)

「ふう……文明的に進んでいる方が勝つとは限らないのさ。シュメール文明吸収ボーナスで強くなったし、行けるところまで征服しよう」


・アッカド、紀元前2400年ごろにシュメールを征服。全メソポタミアを征服する。後に地中海とかアラビア半島とかにも遠征した。サルゴン王はなかなかのチートではないだろうか。


♦︎♦︎♦︎


アッカド

「なんか征服しすぎて疲れてきたな……サルゴン王も死んじゃったし。しばらくは平穏にやっていこうかな」


山の民

「よし、今だ殺るぞ」


・ペルシアの方(ザグロス山脈)から遊牧民がアッカドに侵攻。


アッカド

「けっ、遊牧民に何ができるというんだ。来るなら来い、相手になってやる!」


ウル

「え、アッカド人が戦争に出払っている? …………この時を待っていたぞ! アッカド人を追い出せ!」


他のシュメール人

「お、チャーンス。独立独立〜」


アッカド

「やめっ…ヤメロォー!」


・アッカド支配下のシュメール諸都市でも反乱が発生。特にウルが主導権を握った。

 反乱と鎮圧が繰り返される。


♦︎♦︎♦︎


アッカド

「あ、雨が降らない……食料が……反乱が……ガハッ(死亡)」


ウル

「これからシュメールは全部私が統治します。ウル第三王朝万歳!」


シュメール諸都市

「え、独立は?」


ウル第三王朝

「ダメです」


・アッカド没落後、ついにシュメール人のシュメール人によるシュメール人のための国ができた。メソポタミアを統一したウル第三王朝は、シュメール人の最盛期を実現する。

 この時アッカドを滅ぼした気候変動は、全世界に影響を及ぼした。


♦︎♦︎♦︎


アムル人

「いいなー、シュメール人の文明進んでて憧れるなー」


ウル第三王朝

「だからって勝手にウチに引っ越されても困るんですが」


アムル人

「すげーなー、シュメール人って進んでるなー」


ウル第三王朝

「うぅ……そ、そこまでいうなら仕方ないですね。と、特別ですよ!」


・メソポタミアより西、今のシリアとかそのあたり(注2)からアムル人が流入し始める。アッカド人と同じくセム語系である。

 どうしてもシュメール語は国際言語になれなかったようだ。


♦︎♦︎♦︎


アムル人

「そろそろメソポタミアにもアムル人の方が多くなってきたなー、もっと優遇してくれてもいいじゃない?」


ウル第三王朝

「え、でもここシュメール人の国ですし」


アムル人

「権力欲しいよ権力ないの? じゃあ独立するね?」


ウル第三王朝

「え、ちょっとそこ元々ウチの都市」


アムル人

「少数派は黙っててくれない?」


ウル第三王朝

「こ、こんなこと、許されるわけが……(ガクッ」


・アムル人が権力を獲得。ウル第三王朝はほぼ国を乗っ取られる形で消滅した。同時にシュメール人も消滅した。

 この理由は諸説あるが、シュメール語がアムル語に同化されてシュメール人だった人々がアムル人になった説がそれっぽいと思う。ぽくない?


♦︎♦︎♦︎


イシン王国(独立したアムル人国家1)

「偉大なるウル第三王朝の後継者は私だよな」


ラルサ王国(アムル人国家2)

「いや私だろ」


エシュヌンナ王国(アムル人国家3)

「いやいや私じゃないか?」


古アッシリア王国(アムル人国家4)

「私かもしれない」


マリ王国(アムル人国家5)

「案外私の可能性が高いと思う」


古バビロニア王国(アムル人国家6)

「まぁ小さい国だし私ではないよね」


山の民(エラム人)

「え、これ私説もあるんじゃない?」


アムル人諸国

「「いや無いから。引っ込んでてくれ」」


・ウル第三王朝が消えた後のメソポタミアは戦乱の時代に突入する。なんか東の方から関係のない民族も攻め寄せてきたりした。


♦︎♦︎♦︎


古バビロニア王国

「まさか私になるとは思わなかった」


・戦乱の勝者は古バビロニア王国(バビロン第一王朝)だった。国王のハンムラビが優秀だったのかもしれない。


【注釈】


1. メソポタミアは川の間を意味する。というと、私のように常識的な人間はそこら辺の川の間は全部メソポタミアと呼びたくなるだろう。しかし普通メソポタミアと呼ばれるのは、現在のイラクにある、チグリス川とユーフラテス川の間だけだ。

 ちなみにメソポタミアは北側をアッシリア、南側をバビロニアと呼ぶ。バビロニアはさらに北側のアッカドと、南側のシュメールに分けられる。全部国名や民族名として登場するけど、元は地名なのだ。


2.シリアのある地中海東端からメソポタミアにかけての一帯を、歴史的シリア(大シリア)と呼ぶらしい。ヨーロッパではレバントと呼ばれることもある、てかこっちの方が聞き覚えがあるかもしれない。


もっと詳しくメソポタミア史を知りたい方は、拙作

 "https://kakuyomu.jp/works/1177354054889940388"をよろしくお願いします。

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