命の儚さとおぞましさが同居している

手軽に読める長さと文体とSF作品です。
しかしながら、その中に生物的なグロテスクさと美しさ、儚さといったものが濃縮されています。

軽めな感じの起こしから一転、謎を盛りつつそれを抱えてラストに開花させる構成力には圧倒されるばかりでした。
特に最後の一行の締めくくりがシンプルながらも、そこに至るまでに無駄のない積み重ねがあったからこそ素晴らしい。

物悲しくもどこか救われるようなラストには、長編を読み切ったにも匹敵する充足感と爽快感があります。

間違いなくこの作者様の作品の中で特に珠玉の短編です。

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