鬼灯

洗練されたヘアアーティストになる夢を抱き、北海道から東京に移り住んだ朱美。
夢の実現は簡単な事ではなく、仕事が終われば毎日がモデルウィッグとの闘いの日々。
そんな中、近所の古着屋の店員裕史が朱美を隅田川の花火大会に誘い出す。
夢の実現まで、恋も遊びも封印して来たはずの朱美。
月に一度、カットモデルとして髪を切らせてくれる裕史の誘いを断り切れず、短い時間なら…と二人は隅田川の花火大会に出掛ける。
花火大会の後、裕史が朱美に買ってくれたのは鬼灯の鉢植えだった。
鬼灯は人にあげていけない…昔、母から教えられた事が頭に浮かぶ。
二人の未熟な恋が、都会の夜空を暗くも、明るくも染めて行く。