第5話「涙」について

第一回無貌賞受賞者のネツヤマです
賞品として一田さんに掌編の執筆をお願いしました

それが第5話「涙」です

私の受賞作が「左目から涙が止まらなくなった男」の話でしたので
「右目から涙が止まらなくなった女」を主人公にして書いて欲しいと無茶なリクエストを出したところ
濃い一田ワールドで応えていただきました
感謝します

ネタバレは避けますが
暗く淫靡な作品です
一田さんは『大正地獄浪漫』『義眼堂』『告白死』など多くの作品で
「隻眼」を登場させています
得意なアイテムなのだろうと思います
それだけに「涙」でも右目の機能が狂うことで感覚が変容していくさまが描かれます
世界の狂いやすさに満ちているのは一田作品の醍醐味ですね

細部の描写は一田さんならではの切れ味でポエティックにしてグロい
私はボリス・ヴィアンにも通じるような詩情と悲恋を感じました

入り組んだ意味を解読するよりも
まずは粒立つ細部を丸呑みにするように読むべし
それから
「涙」を読んだあとには
作中に登場する「ある映画」をぜひ観てください
(某Amazon primeで無料だったよ)


これからますます無貌賞が盛り上がりますように

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