第7話
「ねぇ。オカンそれとって!」
「オカン!洗い物って誰やるんだっけ?」
待って待って。なんでこんな状況になったんだっけ?いつから私オカンになった?
「それじゃぁ、皆さん個々の位置について、火起こしから始めてカレーを作ってください!」
キャンプ場について先生から一言。薪を大量に持った生徒の前で笑顔でそう言った。いや先生、薪湿ってます。
「よーしやるかぁ…。って薪湿ってんだよねなぁ。」
安西よ。心の声が漏れている。
「まぁ、とりあえず火種作ってその上に薪を置いていこ?ね?」
「はい来海。マッチだよ。」
「ありがと…って火をつけるのって私の仕事?彩月たちは何するん?」
「うーん。ジャガイモとか切ってようかな。その方が効率的だし。」
そうして、火起こし、私とその他男子。調理、彩月と三葉。となった。
まぁ男子にほぼ任せていいかなぁなんて思ってたんだすが、思ったより段取りが悪い。ってか火種も作れてない。
「ちょっとそれ貸して。」
「あ、はい。どうぞ。」
半ば強引に山下からマッチと団扇を借り、火種を作り始める。作り方はキャンプに何回か行ってるからわかる。えーっととりあえず新聞紙にマッチで火をつけてその火を大きくしたら小枝から周りに敷きつけてっと。そこまで素早く終わらせて団扇でずっと仰いでると、
「え、中宮、早くね。」
「仰ぐ速さも尋常じゃねぇ。」
「まぁ、中宮さんですし。」
なんか変なこと言われてる。目立ちすぎたかな。でも任せてたらいつ火がつくかもわかんなかったしな。それに雨が強くなってきてるから早めに火を起こさないともう付かないだろうし。というか最後の一言誰が言った?
「とりあえず火は起こしたから後は消えないようにしといてくれる?」
そう言い残して私は彩月達の方の様子を見る。人参とジャガイモの皮が剥かれてて、玉ねぎを…
「ちょっと待った。その玉ねぎどう切るつもりだった?」
今確かに丸の形から半分にしようとせず切るところだったよね。
「そのままカレーに入ってる形に切るところでした。」
三葉よ。それじゃ絶対できないからな。彩月もちゃんとみてて下さい。
「私もそれでいいと思ってた。」
彩月の爆弾発言が投下された。
「はぁ…。それかして。玉ねぎ切っとくからとりあえずジャガイモのアク抜きしといて。」
「アク抜きってどうやるん?」
あ、これはやばいやつだ。うん。
「無事出来上がりましたね。」
なんだかみんなすっごく疲れた顔をして出来上がったカレーを見ていた。
「中宮がお母ちゃんになってたね。」
「お母ちゃんというよりはオカンみたいな…。」
「んじゃ父親は安西だな。」
は、え?ちょっと待って。なんの話。
「じゃ、オカンだな。」
私はこの瞬間この班のオカンとなりました。
陰口よりは数倍マシな結果で幕を閉じたキャンプでした。
白黒の青春に風よふけ きりたにくるみ @kiritanikurumi
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