第3話 妄想

 私は妄想力がたくましい。それはそれは息を吐くかの如く妄想している。中学生のとき授業中に、自分の考えた妄想があまりに素晴らしくて思わず笑ってしまたこともあるくらいの妄想マスターだ。もはやモンスターである。

 テスト期間は、憂鬱なまま学校に向かうと、学校の前に黒光りしたベンツがとまっていて、そこには身長180センチほどのスラッとしたイケメン石油王がキーを回しながらベンツに寄りかかっていて、私を確認すると、「探したよ。さ、いこ。テスト?そんなのいいよ。俺が一生養ってあげる。」と手を引かれ、そこから石油が燃えるほどの熱い展開を妄想した。当たり前に、石油王はこず、普通にテストを受けた。

 カラオケで、架空の彼氏や想像の元カレを思って西野カナを熱唱することもある。あまりに気持ちを込めすぎて、友達に本当は彼氏がいる(いた)と思われていた。

 最近は、イケメンで高身長、大手複合会社グループの社長で年収は10兆円、私のことが大好きなスパダリの妄想をしている。それらをスマホのメモ帳に書き留めたものがエグい長さになっている。妄想が止まらなかった。あまりの長さに消すに消せず、誰かに何かの拍子で見られたら死ぬメモと化している。交通事故や謎の発作で急死した時、スマホやパソコンのデータが全て消える機能が開発されることを心から望んでいる。

 逆に周りの子たちは寝る前や授業中に何を考えているのだろう、と思う。学校や会社にいる時に、鼻の中の異物まぁハナクソを感知した時、心の底からおならをしたくなった時どうするのかも気になる。

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

19歳女子のほぼ日記 @akina0708

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ