第2話 お金
私の家の経済状況は、中の下だ。もちろん私は養ってもらっている側なので、お金について何も文句を言える立場にない。わかってはいるが、ビルゲイツや石油王の子供が羨ましい。何かの手違いでその資産の10分の1ほど私の口座に入って欲しい。
別に、食べるのに困るほどではないし、そのおかげで順調にブクブクと育っている。欲しいものも無理のない範囲ならかってもらえた記憶がある。2年ほど前に、携帯をAndroidからiPhoneに機種変更したくて、母親に当時18歳の本気の駄々こねを披露したことがある。母の行く手をことごとく通せんぼし、せがみ続けた。今でも、「もうわかったから。」と言った母親のなんとも言えない微妙な表情を覚えている。iPhoneは手にできたが、何かを失ったのかもしれない。
ところで、夫婦喧嘩の9割はお金に関することだと聞いたことがある。少ないお金をどこにどうやるかで揉めるのだと。ご多分にもれず、うちもそうだ。まぁ、家の場合は10割だ。朝にその夫婦喧嘩の声で目が覚めることがある。最悪のアラーム上位10位くらいには食い込むと思う。19年間生きてきて身につけた、そこから流れるように二度寝を決め込める能力は必要なライフハックだ。
父は怒ると怒鳴る人で、それに母が怯むと思いきや、それより大きな声量で怒鳴り返している。人は変わるな、としみじみ思う。随分とたくましくなられたんだな、と。そして、まだ彼氏もいないのに結婚とは...と考える。彼氏いないけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます