第2話 自己紹介
では今更ながら、ここで俺、
現在16歳、今日から高校2年生になる。
見た目は自他共に認めるフツメン。
身長も170cmと大きいとも小さいとも言い難い中途半端。
中肉中背で、何か特別な取り柄があるわけでもない普通の男子高校生である。
いや、強いて言えば1つだけ特別な取り柄があった。
それは後述することにしよう。
家族構成は4人家族だった。
なぜ過去形かと言うと、両親は自分が小学生のときに事故で亡くなっているからだ。
相手は薬物乱用者で、異様なスピードでうちの両親の運転する車に正面衝突したらしい。
詳しいことはあまりねーちゃんが教えてくれなかったが、その後両親が亡くなってから色々あったようで、
で、そのねーちゃんは今どこにいるかというと、自由気ままな留学をしている。
たまに手紙やら荷物が届くことはあるが、留学を謳歌しているようで帰ってくる気配はない。電話もない。……手紙は、たまーにくるが。
まぁ、国際電話とかかけられたところで自分に対処できるとは思えないからそれはそれでいいのだが。
話を戻そう。
俺には1つだけ人とは違った特別な能力があるらしい。
それは、先祖代々受け継がれているという陰陽師の血。
俺にもその血が流れているらしく、多少なりとも能力が使えるらしい。
その能力ゆえか、彼女……式神さんを使役できているらしい。
だが、式神さんがいつからここにいたのか、正直覚えていない。
いつの間にかいて、いつの間にか一緒に生活していて馴染んでいたのだ。
ちなみに、「式神さん」という風に呼んでいるのは彼女に名前がないからだ。
なぜ名前がないかと言えば、式神というのはそういうものらしい。
詳しくはよくわからないものの、名は体を表すということで、名前をつけてしまうと色々と弊害が生まれるそうだ。
ということで、ただ式神と呼ぶのもなんだか体裁が悪いので、一応さん付けをして俺は「式神さん」と呼ぶようにしている。
今後、陰陽師や式神の知識も詳しく知っておく必要があるそうだが、とにかく式神さんからはもっと陰陽師の力を使いこなせるように霊力を上げろ、と毎日しごかれている。
今朝起きれなかったのだって、昨夜遅くまで基礎体力をつけろと町内を走り回されたり家で筋トレをさせられまくったせいである。
それなのに、寝顔に水をぶっかけられるとは酷い扱いだ。
だが、さすがに鞭だけではない。
もちろん優しい部分だってまぁまぁ……いや、わりとある。
一応、式神さんのおかげで男の一人暮らしでは足りない身の回りのあれこれを、彼女が一手に引き受けてくれているのはありがたい。
掃除や料理が苦手な俺からしたら、家事に関して色々とやってくれることはとても願ったり叶ったりなのだが。
さすがに何でも甘やかしてくれるほど、式神さんは優しくない。
最近ではちょこちょこ教えるから自分でやりなさい、と言われることもある。
しかも、教え方が結構雑というかスパルタというか、一瞬で入れた調味料を覚えろとかその量がどのくらいだったか覚えろとか無茶ぶりすぎて、結構お手上げのことが多い。
仕事は盗むもの、というが、式神さんの行動が早すぎて目で追えないこともあり、正直かなり難易度が高い。
たまに、本当にたまーにだが、海外映画で観るような鬼軍曹に見えるときもあって、式神さんは実は鬼の化身なのではないかと密かに思う瞬間があることは彼女には内緒だ。
そうそう、あと式神さんは一般人には見えないらしい。
正確に言えば式神さんが実体化さえすれば見えるそうなのだが、普段の霊体化状態は普通の人には見えないそうだ。
力がある人には見えるそうだが、昨今陰陽師の力がある人はだいぶ減っているらしく、この辺りには俺くらいしかいないそうなので、見える人は俺だけのようだ。
ねーちゃんも能力はあったそうだが、今は別の国。
ということで、本来の陰陽師の仕事である悪霊等々を調伏できるのは俺だけらしい。
とはいっても、悪霊や妖怪なぞ誰かのスカートをめくったり階段から足を踏み外したりと、ちょっとした悪さをするくらいらしいので、大抵は放っておいても良いそうだ。
ただ、中にはかなり悪い怨霊や妖怪もいるらしく、そういうものに相対したときに対応できるように訓練しておけということらしい。
そもそも、実際に俺は昔から不運に見舞われることが多かったそうで、何度も死にかけてそれをねーちゃんに救ってもらっていたらしい。
全部伝聞だから知るよしもないが。
なので、そのねーちゃんがいない今は自分の身は自分で守れとのことである。
……だったら何でねーちゃん留学なんかしちまったんだよ、とも思うが、それも彼女の人生であるし、そもそも何でもねーちゃんにおんぶに抱っこというのは男として情けない。
だから甘んじて式神さんの言うことを聞いているが、時々酷くえげつないことをしてくるのが厄介である。
とまぁ、そんなこんなで「らしい」「そうだ」ばかりの俺の身の上話は終了である。
ご清聴どうもありがとうございました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます