第6話 堕ちし趣向とその真正性の顕現

 王は小部屋に入るとすぐ、手慣れた様子で少女に近づき、舐めるように見つめ回す。

「あぁ…美しいマナ…今日も鳥籠の中で外の世界に憧れて嘆くその姿…なんて儚い…素晴らしい芸術作品だぞぉ……。」

さらに王は少女、マナの自傷によって垂れている血を布で染み込ませ、それを自ら鼻に近づけて思い切り嗅いでいる。

「んんん〜…!!!今日もマナは美しい…!!!ぃぃぃははははははは!!」

マナは下を向きながら、いつものこと…と自分に言い聞かせて必死に耐えている。この王、マジで普通じゃねえ!マナがどれだけ怖い思いをしてることか…!!!

その時。


ガンッ!!!!


「ぐはっ!」

王が後ろから殴られ、気絶して倒れた。

「キッモ。こいつ最低以下のクズ男ね。悪趣味にもほどがあるわ。」

殴ったのはレイラさんだった。さすがっ!w

そしてクルトさんは場を一気にまとめた。

「この王が気絶してる間に!マナを連れて脱出しよう!」

「お、おう!急ごう!鳥籠をこじ開けなきゃ!サリアも見てないで手伝ってくれ!」

「わかった!」

俺たちは鳥籠の金属にもろいところが無いか探した。王が目を覚ますまで、時間の問題だ…!

あ、そうだ…!

「マナ、さっきお前が自傷する時使ってた金属の出っ張りあったろ!それを引っ張ってねじ曲げるんだ!そうすれば穴ができる!」

マナはやってみるとうなずき、金属の出っ張りを力いっぱい曲げようとした。しかし…。

「…はぁ…はぁ……だめ、無理よ…。力が…出ない……。」

マナは王から十分な食事を与えられていないからか、とてもか細く、腕に力が入らないようだ。

「私…ここに残るわ。だってここから逃げることは許されないもの…。お父様がどれだけ悲しむことか…。」

諦めかけたマナに、俺が励ます。

「馬鹿言うなよ!!この世界は、お前が見ているものよりずっと広いんだ!!!だから諦めんじゃ…ねえええ!!!」

俺は励ましながらクルトさんのランスを借り…

「おりゃ!!」


バキッ!!!!


鳥籠をぶち壊した。


よし!やった!!

力が抜けて倒れかかってきたマナの体を受け止め、思わず抱きしめた。体は思ったよりずっと冷たく、冷えきっていた。

「もう大丈夫だからな!」

俺はマナに微笑む。

「…!!賢治!あぶない!!!」


ガッシャーン!!!!


気絶から目を覚ました王が俺たち目掛けて巨大な棍棒を振り回した。間一髪で横に逃れたから、セーフ…。ってか棍棒振り回す王って何だよ!!!w

「おのれぇ…キサマら…よくも吾輩の大切なマナの鳥籠を壊してくれたなァ…」

王は怒りに燃え、野獣のような目で俺たちを睨みつけている。

「何が大切な鳥籠だ!!お前がマナにしていることはただの虐待だ!!性癖ねじ曲がった特殊プレイ好きの変態め!!池袋のSM風俗店でも行ってろバーーーーカ!!!」

俺はそう言い放つとマナを優しくお姫様抱っこし、クルトさん達に目で合図した。

合図とともに俺たちはマナを連れて全力疾走で階段を駆け下り、城の外へ向かう。

「さっきのイケブクロ…?って何?」

あぁそっかレイラさん達NPCにはわからんかw

「いいってwその説明はマナ助け出してからな!!ww」

だがそう簡単にゲームクリアとはいかせてくれないようだ。

「待てガキどもォォォ!!!!!!!」

王が後ろから鬼の形相で追いかけてくる!

「振り向くな!このまま逃げるんだ!」

クルトさんそう言いつつ顔が焦ってるw

城の門はもう目の前!よし!いける!!

だが…


ギィィィ………バタン!!


門が閉じられてしまった。傭兵がやったのか…。

「クソ!!これじゃ脱出できねえ!!」

俺たちは仕方なく、後ろを振り返った。

「嘘でしょ…?」

「お、おいあれマジかよ…」

王が怒りに身をまかせ、背中から巨大な悪魔のようなものが飛び出した。黒く巨大な悪魔は、闇の覇気を身に纏いながら俺たちを見ている。

《絶ッ対ニ…逃ガサン!!!!!!》

…この城から脱出するには、あいつを倒すしかないのか……。

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