所々、言葉の使い方や文字の間違いが散見するものの、全体的に評価するのであれば満点に近い95点って感じの作品です。
昨今、このカクヨムやなろうに『異世界転生モノ』や『主人公チートもの』が乱立していますが、多くは主人公の『チートさ』や『最強さ』を全面に滲ませて何の苦労もなく問題を解決して、何の苦労もなく敵を倒して、何の苦労もなく人に好かれて、何の苦労もなくハーレムを築いて、、、いや、もうね、ぶっちゃけそんなゴミなんていらんのです。ゴミって書いてしまって、書いてる作家さんに対して凄く失礼ではありますが、そんな笑い所もない、泣き所もない、感動の余地もないような何も面白くもない文章を羅列したいのならチラシの裏にでも書いてればいいのですよ。
そんな作品の山の中から出現した千載一遇のお宝がこの作品ですよ。
キャラクターの作り込み、世界観の作り込み、設定の作り込み、ストーリーの作り込み、、、全てにおいて高水準です。一部わかりにくい表現があったりするものの、よく練り込んで創られている作品であると断言出来ます。
物語において主役キャラ強いことは、絶対条件です。何故なら弱ければそこで物語が終了してしまうからですが、無条件に強キャラで良いというわけではありません。いくらその強キャラに裏側で作った設定があろうとも、ストーリーがペラペラではその設定はキャラの血肉にはならず、押し着せられた不格好な衣装でしかないからです。苦労して、苦悩して、それでも届かず、けれども諦めず、努力して、最後には満身創痍な姿だけれども勝ち取る。そんなヒーロー、ヒロインの姿だからこそ、感情をガタガタ揺さぶられますし応援したくなるんじゃないでしょうか?
だからこそ、この作品を追いかけたくなるし、応援したくなる。
この感想というかレビューを見る人がいるかはわかりません。
ですが、もし濃厚で面白い作品が読みたいという気持ちがあるならば、是非ともこの作品をお勧めします。
すごく語学の教育が受けられたことが感じられます。文の組み方がとても綺麗だと思います。そこで読み心地が良くて読む度に落ち着きます。
ここはメリットではあるんですが、しかしやりすぎて逆効果のところもあります。兄弟を「生物」にするより「もの」やもっと愛着のいいものに例えをすればいいのではないでしょうか。
起承転結はまだ情報が少ないのではっきり言えませんが、最初のシーンから見ると、伏せんにされたようなものは少ないようです。
そして最大の問題はキャラ設定が頭の中では不明瞭ですね。外見、性格、思考回路などはまず1回定着せねばなりません。
例えば
胸の描写について
「胸はないというわけではないが、おそらく控えめな部類に位置する」
「アリッサも決して胸が小さい部類というわけではないが、隣に座る彼女には完全に敗北していた」
ここは描写的に矛盾とは言いませんが、まるで描写のために描写しているに感じますね。描写という道具が目的になっています笑笑。やはり人物像がはっきり把握してないのかなと思いました。
推測について「信じてもらえるわけがないとすら思っていた」主人公はそう断定的な人間じゃなさそうですね、ここ「わけがない」という言葉はすごく違和感が感じさせられました。
あとたまにセリフのところ敬語とため口が間違ったところがあるので要チェック。
要するに、文字の使い手としてはすごく鍛えされてきたみたいですが、物語を作る側としてはまだまだ成長できるでしょう。
文字を生かして、頭の中でアニメやドラマみたいに物語を動かせたらいいかな。