普通の女子社員vsドM+友だち!

平凡な会社員・清水詩絵子は、優秀さと厳格さに定評のある主任・向井帝人とお付き合いを開始。ひと月を経てついに大人の関係に……と思いきや、それはもう見事な土下座を決められ、告げられる。「どうか……どうか、僕を踏んでください!!」。

うん、やられました。Sじゃない詩絵子さんがドMのイケメン上司に見初められて大変なことになっていく過程が、「式」としてしっかり構成されていることにです。うまいんですよね、この式の構築を担う詩絵子さんの友人・美里さんの使いかたが。書き手の都合で置物になってしまいがちな“3人め”を猛烈に動かす筆はお見事のひと言です。
そしてそれは、美里さんの猛烈さに霞むことなく個性を際立たせる、詩絵子さんが主人公だからこそなのです。強く尖ったキャラをそろえることで逆に物語のバランスを取る、ここはぜひ注目していただきたいポイントですね。

式と答の関係性際立つキャラ小説、その妙味をどうぞお楽しみください!

(「こんなときだからこそ笑いと元気!」4選/文=髙橋 剛)