その旅立ちは……優しさで溢れていた

 実験室という閉鎖的な世界で暮らしていた鬼の子。
 その鬼の子の実験に携わっていた一人の心優しい博士。
 鬼に殺されるために、実験室へと送り込まれた魔女の少女。

 この三人が出会った時。
 パズルのピースが揃ったように、物語は動き始める……。

 この作品の一番の魅力は“変わりゆく気持ち”だと思います。
 実験室という閉鎖的な世界でしか生活してこなかった鬼の子。
 彼の一人称視点で物語は進んでいきます。
 その特殊な環境で育った故、彼は無知で幼い。
 まぁ、知る必要なんてなかったんです。世界のことも自分のことも。ただ、実験さえこなせば……ご褒美がもらえたから。

 だが、一人の博士は彼に外の世界のことを教えます。優しく、熱心に。
 ただ一人、彼を実験台としてではなく“心を持つ者”として接した博士。
 
 その甲斐あって、次第に変化していく鬼の心。その部分に私自身大きく心を揺さぶられました。
 そして魔女の少女と出会ったことで、キッカケを掴み、更に変化していく。

 閉鎖的な世界から、心も体も旅立ちます。
 そして、その旅立ちは……優しさで溢れていました。

 読了後きっとあなたも温かい気持ちになっているはずです。
 変化していく気持ちをどうぞ堪能してください。
 

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