人間は幸福な夢の中に生きられるか?

 主人公は白昼夢を見ながら、友人と高校生活を送っていた。しかし、その平穏な日常は、突如として終わりを迎える。主人公が見ていた白昼夢も、高校生活も、全てはあるものによって見せられていた幸福な夢だった。そんな夢から目覚めた主人公は、一人の少女と出会い、世界の秘密を知る。その世界の秘密は、制御された「起きている人」と「眠っている人」を分けるモノだった。文字の集積物である本を焼く男。魚を釣っている男。本を託された女性。「起きている人」たちは、皆、死んでいくようだった。それに対して、「眠っている人」たちは、永遠に安全な場所で、幸福な夢を見続けていた。
 少女は主人公と共に、母が所有していたデータを持ち出そうとする。しかし、そこで男の襲撃に会う。男はある事情から、そのデータと二人を狙っていた。二人とそのデータを狙っていたのは、男だけではない。夢の中で友人だった少年も、二人の認証とデータを狙って、銃を突きつけるのだった。
 果たして、人間の幸せとは何か?
 与えられた幸福と、掴み取った幸福が交差する。

 全文が哲学的名文とも言える名作。
 人間や世界について、ここまで深く考察できるのは、作者様の腕だろう。
 

 是非、是非、御一読下さい!
 

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