第31話 伊邪那美の使徒
リクはとてつもなく大きい城に驚きながらゆっくりと歩を進め、
立っていた騎士に声をかける。
「皇帝陛下に取り次いでくれないか?」
「あ?何を言ってんだ?お前みたいな得体の知れないやろうが
謁見出来るわけがないだろう。」
「至急伝えるのだ。日輪が来たと。」
「に、日輪!?わかりました。少しお待ちを。」
五分程で先程の騎士は帰ってくる。
「お待たせしました。こちらです。」
白の内部は、王国の王宮より遥かに豪華で優美だ。
とても広い真っ直ぐのさながら迷宮のような廊下を歩くと
謁見の間が見える。
広場には今いる限りの貴族達。帝国の貴族は落ち着いている。
遥かに王国の貴族よりも品がある。
なぜなら帝国の理念は弱肉強食。すなわち貴族だろうと負ければ終わる。
そのため彼らの教育は凄まじく厳しいのだ。
それが彼らが人の上に立つ所以である。
そしてその中央にいるのは君主皇帝レックス=ガリルフォン。
皇帝は凄まじい野心をもち数々の国を力で屈服させてきた。
「お主がかの日輪か?」
「そうだ。」
リクは決して下手にでない。
「何ようで参った?」
「先程、とてつもない敵が現れたのを感じた。
恐らく帝国は滅びる。私は王国の民だ。王国を守らせてもらおう。」
「なんだと?その話に根拠は?」
バッ!と厳かな中に割り込む音。死刑にもなりうる行動だ。
「皇帝陛下!至急お伝えしたいことが。」
「まさか?」
「帝都から少し離れた公爵領が未曾有の強さを持った人間と戦い
劣勢だそうです。」
「公爵領が?公爵は軽く五万の兵を持っているんだぞ?
一体どんな敵なのだ?」
「呂奉先と名乗るものが1名、そしてその部下100名ほどです。」
「これがお主の言っていた敵か?」
「恐らくそうだろう。」
「ふざけるな、公爵も劣勢ではない。たかが百の兵に負けるか。
戦は数だ。どんなに相手が強かろうが数に差があれば負けん。」
その言葉に伝令は消えるような声で精一杯伝える。
「それが、呂奉先に殺された兵3万、その部下に1万。
敵の死傷者0だそうです。」
「なんだ、と!?」
皇帝は考える公爵は戦争で総大将を務める帝国最強の武人であることを。
そして公爵領の次は帝都に来ることを察する。
勇者もいる。しかし、今の彼らではとてもじゃないが敵わない。
リクには分かっていた。なぜ死人の呂布が生きてここにいるのかが。
「日輪よ。お主に頼みがある。朕の、朕の帝国を救ってくれ。
それが叶った時お主の望みをなんでも叶える。」
「いいだろう。その言葉忘れるな。」
その言葉が欲しかったリクは王国にはマリアとラーがいる為
大丈夫だと考えたが、それでも心配だ。
一刻も早く終わらせて王国に一度帰ろうと考える。
ふう、と息を吐きものすごい圧を放ち、一瞬で消える日輪。
その姿に恐怖を抱く貴族達。
皇帝は考える。王国に攻め入るには一刻も早く勇者達を鍛えねば、と。
所変わってリクは全速で走ること1時間、公爵領に着く
「これは、やばいな。」
「脆い脆い脆ーーーーい。お前らなどではつまらん!」
その景色は阿鼻叫喚、呂布の一方的な虐殺。
逆立った長い髪に虎のような目、屈強な身体に
彼が使う最強の武器「方天戟」その姿まさに鬼神!
横なぎで吹き飛ぶ人々を退屈そうに振り回す鬼神を前に
「やめてもらいましょう。」
ガキっ!と方天戟を片手で掴み抑える少年
「なんだ?小僧?」
「お遊びはここまでだ。」
「俺の矛を止めるか。お前ら!手を出すな!
お前は少しは持ってくれるかなっ!」
呂布は赤い馬「赤兎馬」から降りて構える
<纏い・天照>
正午のリクの纏いは段違い、
<天沼矛>
何度も矛と矛がぶつかり火花を散らす
しかし、歴史に名を残す鬼神呂布は凄まじい強さでリクと渡り合う
「こいつで終わりだあっ!」
ガキいいん!鈍い音がして矛が砕ける
「馬鹿な?俺様の方天戟が?」
「とてつもないですね。これが呂奉先ですか。
あなたに勝てる相手などあの世界にいるのか?」
「ん?俺様のこと知ってんのか?」
「ええ、あなたと同じ世界にいましたからね。
この戦いは僕の勝ちですね?」
「ああ、もう腕も痺れてやがる。俺様はあの女から力をさらに貰ったっていうのに、情けねえ。」
「僕の仲間になりませんか?恐らくあなたは退屈だったんでしょう?」
「なぜそれを?ああ、確かにそうだな。
俺様と戦える相手は数えるほどだった。張飛に関羽、劉備って奴らが一番歯応えがあったが、それでも相手にはなんなかったな。
そんで俺は強え奴を求めて、
いねぇってわかって退屈で死んだんだったな。」
「僕以外にもこの世界には強い敵はいる。
あなたは魔法を使えませんが、魔法であればあなたと渡り合えるものもいる。どうですか?僕についてくる気は?」
「いいぜ、乗った。お前の力になってやるぜ!
そんで、お前の名前は?」
「リクです、リク=リーゼロッテ」
二人は握手をしようと腕を伸ばすと
ドゴオオオオオオオン
「なんだ?」握手の間際、水を差され不機嫌に音の正体に目をやる呂布。
「ひひひ、人間の魂いっぱあああい!」
「ロニカ!!」「
「なんだあれはロニカではない?」
「おい、なんでここに貂蟬がいんだ?」
「ひひひ、強そうな人間みっけ!」
ロニカの姿でおかしなことをいう化け物。
「おい!お前は手ェ出すな!俺の女は俺が守る!」
「俺の女?彼女はロニカです!僕の友人ですよ!」
2人は一斉には駆け出しロニカに走り出す!
「お前は誰だ!ロニカに何をした?」
「ひひひ、私は魔神、七つの大罪が一人、強欲のフォックスです!」
「呂布!とりあえずあいつを引き離す!動きを止めてくれ!」
「おうよ!」
「八つの頭を持つ大蛇をも斬り、大海を統べる須佐之男の
<草薙>
リクが草薙を顕現させる間、呂布はロニカをいやフォックスと戦う
「おい、俺の女の体で何やってんだい?」
「ひひ、この体は私のですよ?
ふざけたこという奴は殺しましょうかね?」
「ほう、本気出すぜ?」
「!?」一瞬で後ろに入り込まれ抱きしめられ身動きできない。
「リクーーーーーーーー!今しかねえぞ!」
「ああ、ロニカから出ていきやがれー!」
グサっ!と心臓を一突き。
呂布は寸前で回避する。
「大丈夫なのか?」
「ええ、この
「ひひ、私はまだ死なないよ!せっかく良い依代だったのに。
もう一度魔界に戻って出直しか。次に会う時は君達を殺します。」
と残して去っていく。
「それにしても、なぜロニカが?まさか!?裏にいたのはあいつ?
てっきり伊邪那美関係かとよんでいたが。
それと、貂蟬とはどういうことですか?」
「こいつは間違いなく貂蟬だ。俺の愛した唯一の女。髪型は違うが間違いねぇ。」
「そうですか。まあ、ロニカが起きるまでできることはあなたから話を聞くことぐらいですね。」
「ああ、
俺はあの女、伊邪那美とかいう野郎に生き返らされた。力を与えられて。
そんでここを責めてとりあえず帝国とやらを
壊滅させろって言われたんだ。」
「そうですか。伊邪那美は何が目的なんだ?
それに生き返らせることができるのか。」
「ああ、あいつは世界中、時代を問わず生き返らせられる。数に限りはあるが。」
「まずいな、早く王国に行かないと。すみません!
僕は少し行ってきます!というか、呂布も付いてきてください。」
「あなたは犯罪者なんですよ!」
「は?俺誰も殺してねぇぞ?」
「例えそうだとしても大怪我させてるでしょ!て、え?殺してないの?」
「まあ、殺したけど殺してねぇ。」
「それはどういう?」
「俺の方天戟は動けなくさせるが死ぬまで時間がかかる。
まあ、呼吸も忘れるほど痛くて息しなくなるからな。
死んだと勘違いもすんだろ。
けど、この世界の魔法ってやつがあれば大丈夫だ!」
「そうですか、よかった。」
火回復絶級魔法<慈愛の絶火>
僕が開発した細胞を活性化させる火魔法
横たわる人々の傷が癒える。
呂布の話は本当だ
「話してる時間が惜しい、急ぎましょう!」
「ああ、お前ら!お前らは事情を説明しとけ!殺されそうになったら
暴れてかまわない!」
「殿!殿が人の下につくなど認められませぬ!殿は天上天下最強の男。
常に人の上に立つ人間です!」
「お前らはさっきの戦い見てたか?それにリクの部下になんじゃねえ。友になんだよ。」
「そうです、もし帝国に捕まりそうになったら、その時は日輪が帝国を潰す!と言っていたとお伝えください。僕は本当に急いでいるので、では。」
呂布は赤兎馬にロニカと2人で乗り僕は走る。
徐々に遅れるリクはさらに力を使い速度を上げる
1日千里以上走るよね?この馬。どんどん加速するんだけど。
2人の男は駆け出す、力強い光に照らされながら
幼馴染に裏切られた天才高校生異世界転移した世界で再会する @Nyarlathotep1
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