第30話 悲しい国
悲しい話は今日まで明日は明るくいこうと思います!
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1日が経ち考える。
この世界はあの世界の違い、奴隷はいるが、昨日のようなことをする人間はいない、なんて夢のようなことを。
悪人に触れてこなかったことでそんな当たり前を忘れていた。
もちろん僕の怒りは彼らからしたらとても理不尽なものだ。
相手を自分の定規で測り、殺めてしまったのだから。
「ようこそ、帝国立魔法学院へ。
私は学院長アモル、アモル=リュボーヒだ。
君はリズ=クインから高く買われているようだね?」
「そうですね。」
「元気がないのかい?まあ、ここは王国とは違いすぎるからね。
まあ、もう1人君と同じ学年の生徒が来るのだが知り合いか?」
「いえ、知りませんでした。僕はあくまで帝国の文化に触れたくて
来ただけですので。」
「そういえば、君が王帝対決で指揮していた人物だね?
ときに、あのとき起こった絶級魔法を起こした気配はなく、
いきなりだった。
万が一にもないことだが誰か1人が打ったということではないかい?」
「いえ、自分にも計算外でしたよ。」
「そうかい、まあいいか。楽しんでくれたまえ、この学院をね。」
今はまだ朝。僕が来たときには誰もいなかったが。
この学院には平民も多々いる。帝国は実力主義。
たとえ魔力持ちであろうと必ず学院に入るには実力がいる。
そのため平民と貴族が子を作ることもよくあり、
基本誰でも魔力を持っている。
しかし、王国の貴族と比べると弱いというのもあり、
両国は均衡している。
生徒が歩く廊下には、荷物を持たされているもの、首輪をつけるもの。
そんな僕にとっては信じられないことが起こっている。
しかし、彼らに怒りを僕は抱かない、いや抱いてはいけない。
これが普通なのだ。とても仲良くできる気はしないが。
「さあ、入ってこい。」
僕は扉を開けて教室に入り教卓まで歩く。
「よろしくお願いします、リク=リーゼロッテです。」
「リクはみんなも知っての通り王帝対決で指揮をしていた一年だ。
みんなも『仲良く』する様に。」と不適に笑う教師。
それを聞いてニタニタ笑う数人の生徒。
これではロニカが危険だな。
まさかここまで王国の人間を嫌っているとは
「あ、一ついいですか?」
「なんだ?」
「僕はこの国のレベルまで落ちるつもりはありません。
ただ、僕に喧嘩を売ったものは高く買うことを肝の命じてかかってきて下さい。臓器の一つは潰します。」
席に着くと隣の男子生徒に話しかけられる。
「おい、休み時間になったら少しいいか?」
「ええ」
つまらなく簡単な座学の授業を受け、
休み時間になり先程の男子生徒に外に呼ばれた。
周りには観客ならぬ生徒がいる
日常的にこんなことが行われているのか
僕の気分は帝国に来てから過去最高に悪い
「俺の名前はラオスだ。平民だがこの国じゃそんなもん関係ねぇ。
力こそ全てだ!」
「おい、ラオスやめとけよ。相手は貧弱そうな貴族様だぜ?
一年でもトップクラスのお前がわざわざ戦うのか?」
「いいんだよ。王帝対決でこいつらに見下されたままは嫌だからな。
おい、決闘なんてどうだ?」
「決闘?」
「そう、殺す以外なんでもありだ。負けたら勝者の奴隷となる。
結構いるんだぜ?首輪つけてたりしたやついたろ?まあ、俺も3人くれえ持ってるしな。まあ、申し込まれたら自分の奴隷、もしくは自分自身で受けるしかねぇがな。」
そういうことか、しかも彼らはこの学院生ではない。
痛々しい傷跡は彼らの置かれた境遇をわからせてくれる。
指がないのもその一環だろう。
「いいですよ、ただし先ほど言った通り僕は奴隷はいりません。
そうですね?
僕が勝ったら、その奴隷達を解放し、
今後二度とあなたに奴隷を持つことを禁じましょうかね?」
「それは流石に俺がふりが多過ぎねえか?」
「僕は今すこぶる不機嫌だ。
余計なこと言わないでさっさとかかってこい。」
「上等だっ……ぜ?」
「あなたと僕が同じ土俵で戦うことがそもそも間違っている。
切られたことにも気づかないのではね。」
ラオスが切られた回数はゆうに百を超える。
一秒にも満たない神速は彼の脳が処理できない。
力なく倒れるラオス。
「まじかよ。あいつ。間違いなくこの学院で1番つええぞ。」
「え、ちょっと私話しかけてくる!」
リクは彼らの事など頭にはなく奴隷達に彼のオリジナル魔法を使う。
火上級回復魔法<慈愛の炎>
「あ、暖かい。あ、私の、私の指が!。」
涙を流す少女。
「もう、大丈夫だから。これを持っていってくれ。」
生きていくには当分困らないお金。僕には必要ない
「あ、ありがとうございます。この御恩は一生忘れません。」
僕がやってるのが偽善だと分かっている
でも、僕に彼らを見て何もしないなんて出来ない。
「!?これは?」
僕は仮面を付け城に向かう。
迷いながら
微かな哀しみと溢れんばかりの怒りと共に
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