続きは書く気はなかったんだけど、まだそこにいる。

 もう九月も終わりになる。

 あれから、あのネコを見つけてからずいぶん経つ。前回でゴールデンウィークの話をしてるから五ヶ月も経ってるわけだ。


 でも、今もネコはそこにいる。


 あれを見て、ネコだとわかる人は、肉がついてる頃からそこにいたことを知ってる人くらいだろう。


 うん。すっかり骨になってるんだ。


 夏の間も、さして臭いを発することなく朽ちていった

 だからこそ誰も迷惑に思わずにそこに転がり続けてたんだろうな。わざわざ片付ける必要を感じる人がいなかったんだろう。


 ボクも、すっかりそれを見慣れてしまって、目に入っても「骨だなぁ」くらいにしか思わなくなっている。

 なんか不思議だなぁ。これが猫だったんだなぁ、とか、ぼんやり思ったりして。


 前に、その骨がある所から数メートルしか離れてない道のど真ん中に、たぶんあれはイタチなのかな? そんな感じのもふもふが死んでたんだ。

 それを朝見つけたんだけど、帰りにはもう片付けられてた。


 道の端っこと、道のど真ん中。

 死んでる場所が数メートル違うだけで、片付けてもらえるのと、何ヵ月も雨ざらしになって、骨になってしまうのと。

 運命が別れるのだなぁ。


 それとも、人間以外の動物は……自然で生きる動物は、片づけられるよりも、その場で土に帰った方が本望なのかな?

 食物連鎖はいいことだと思うし。


 長い間その骨を見てきて見慣れてるんだけど、未だに「不思議だなぁ」と思いながら眺めてしまう。

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ネコが死んでた。 あおいしょう @aoisyou

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