少年少女の悲しみをフライパン山のように消し去ってくれた亀仙人

思わずうるうるっと……

自分も中学の時ですが剣道をやっていて、サボり魔ですから小学校からまったく芽が出なかったのに中3から急に調子がよくなり、最後の夏の大会は顧問も期待してくれていました。なのに急性難聴で入院して夏はおわり。
その後練習試合で強豪校の主将を倒したりすることがあっても、何の意味があるのかわからない、ふわふわとした虚しさがあって……

ましてや今、インターハイが、しかも流行病で中止となったら“胸に穴が空く”では済まない痛みがあるはずです。そんな彼らに、しっかりと向き合って次の目標、もっと言えば人生の目標を示す顧問。
教育者の鏡です。

創作物はしばしば現実からの逃避先であるように言われます。しかしながら、この作品の顧問は現実の未来へと繋がる道筋を創作物から示しました。それはちょうどこの作品自体がそうであるように。

今の混乱した世の中で、傷付いた子ども達に必要な物語だと思いました。この顧問こそ亀仙人そのものであるのかもしれません。黄金の価値に気付ける人もまた黄金と同じような値打ちがありますよね。そんな物語を書ける人もまた然りです。

長くなってしまいすみません。素敵なお話をありがとうございました。

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