少女が遠い青空の彼方に見たのはプテラノドンという荒唐無稽な存在。そんな少女が見たというプテラノドンをまた信じる者、信じない者。プテラノドンという存在はもとより、それを見たという少女が中心として物語は描かれます。少女が見た憧憬とも言える存在は果たして現実に存在したのか。読み終えた後、同じように青い空の彼方に思いを馳せたくなる心地好い読後感の素敵な一作でした。
地平線の彼方にプテラノドンを見た、という魅力的な導入で始まる本作は、現代に現れたプテラノドンそのものの存在可否によるSF的な面白さはもとより、そこから主人公の少女が抱いた希望と目標に重きを置いています。爽やかな読後感で、昨今の陰鬱とした空気とは無縁の澄んだ海のような作品です。元気を貰えました。
冒頭から、落ち着いた丁寧な文章に飲まれました。終盤の展開は読んでいるこっちまでワクワクして力が漲ってきます。お話の区切り方も絶妙で、物語の余韻がいつまでも心地よく残りました。