第一部エピローグ 幻想英雄の召喚士、新たなる旅路へ
「キミィ!! 本当に国からの重要依頼を達成してしまうとは! この冒険者ギルド始まって以来の大快挙だよ!」
「しーっ! ゼイレムさん、声が大きいですって……」
ライトは新たな旅に出る前に、リールの街にある冒険者ギルドに寄っていた。
そこでオータム・バグズ討伐の報告をしたところ、また二階のギルド長の部屋からゼイレムがドタドタと騒がしくやってきたのだ。
「あ、ああ……これは失礼。えーっと、ランク6冒険者
さすがにもうちょっと自然に演技をしてほしいと思うライトであった。
「それに一人ではなく、ブルーノも一緒でしたから」
「わかっているとも。彼にもそれ相応の報酬が与えられた。まぁ、一番の報酬は形がないモノだが、それをキミは与えてあげたかったんだろう。友とは良いものだねぇ……」
「べ、別にそんなのじゃ……」
一緒に戦ってくれたブルーノにも報酬が与えられた。
それは金貨と――恩赦だ。
ライトにしてしまった罪と罰は、国の面子もあるために本人が赦しても丸くは収まらない。
そこでライトはブルーノをいったん追放して、あのオータム・バグズ討伐でパーティーを組むことで王からの恩赦を勝ち取ったのだ。
ブルーノ自身、表面的は喜んではいなかったが、〝誰か〟を真似て日々の鍛錬を努力しているようだ。
「しかし、記録を見るとやはり一番の功績はキミだと判断した。報酬の金貨だけではなく、冒険者ランク7という肩書きを贈らせていただこう」
「ありがとうございます。ランクが上がれば、受けられるクエストが増えてもっと強くなれそうです。努力のしがいがあります」
「ワハハ、本当にキミはそればかりだな! ……ああ、それと言い忘れていたのだが、ランク7以上の冒険者は通例として二つ名を持つことになる」
「……二つ名?」
「有名どころだと……ランク10の〝伝説のウェポンマスター〟〝竜殺しの枢機卿〟〝赫刃の剣聖〟とかですねぇ」
どれもすごそうな名前だ。
「特殊な者を喚べる召喚士のキミだと……そうですねぇ。こういうのはどうでしょうか――」
ゼイレムが提案した二つ名は、ライトには少し気恥ずかしかった。
「ほ、本当にその二つ名なんですか!? 俺、少し前まで〝たいまつ召喚士〟とか呼ばれていたのに!?」
「謙遜することはないですよ。キミは以前ギルドに来たときよりも、ずっと良い面構えをしています。このギルド長ゼイレムが保証しましょう。冒険者ランク7おめでとう、ライト・ゲイル! これからの冒険に幸あれ!」
***
青空の下、ライトとリューナは並んで歩いていた。
ゼイレムから、隣国ナルヴァで大きなクエストが発生しそうだという情報を受け、リールの街を離れて街道が通る高原までやってきていたのだ。
結構な距離を進んだために、振り返ると街が小さく見える。
ここ一ヶ月であった様々なことを思い出してしまう。
「あそこで色々あったなぁ」
しみじみするライトの横で、リューナも頷いた。
「ええ、私が喚ばれて、イナホと出会って、レオー……いえ、オータムとも出会って……」
「オータム……」
そこでふと、ライトは思い出していた。
街から離れたところでしようと考えていたことがあったのだ。
「新しい仲間を喚べるか試してみないとな」
「プレイヤー。アイツ、きっと好感度0の状態だと凄く面倒くさいですよ」
「はは、そのときはまた面倒くさい自己紹介から始めるさ」
ライトは乙女ゲーの〝銀の円盤〟に手をかざして、光魔法を当てた。
「ライト・ゲイルの名の下に顕現せよ、彼方からの来訪者。そして、我が真摯なる願いを叶えたまえ……!」
人間の頭では到底理解できないデータのため、脳が焼き切れそうになるが耐える。
その手を掴み取れるくらい明確なイメージが浮かぶ。
「
天気も爽やかに晴れていて、肌に心地の良い風が吹き抜けてゆく。
絶好の冒険日和といえるだろう。
今日もライト――冒険者ランク7、二つ名〝幻想英雄の召喚士〟の旅は続く。
――――
あとがき
ここで物語は一区切りです。
現段階ではプロット書籍想定3~冊分くらいの拡張性を持って作っているので、今応募している『第2回ドラゴンノベルス新世代ファンタジー小説コンテスト』で良い結果が出たら作者のタックが調子に乗って続くかもしれません。
応援よろしくお願い致します!
あ、それとは別に幕間的なものも投稿するかもしれないので、フォローとかオススメです。
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作者がんばれー。
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幻想英雄の召喚士 ~努力が実を結んだ落ちこぼれは、非現実的すぎるゲームキャラたちを従えて最強の冒険者を目指す~ タック @tak
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