第4話

授業中、俺はやりたい事リストをノートにこっそり書いていた。


(やっぱ定番の《ストレージ》を作ってみるか)


水魔法、土魔法、雷魔法(《千鳥》みたいなヤツをやってみた)、植物魔法(木魔法ってゆーんだろうけど、植物全般だし)、風魔法、光魔法、闇魔法は一通り出来るか最初に裏山で試しにやったけど。


無限倉庫は便利だし、あれば。

犯罪には使わねぇ。俺は。


目を閉じる。


一瞬の事だが、精神世界では1時間超かかった。


《時空間魔法》で空間と空間の狭間に真っ暗な、どこまでも果てのないだだっ広い亜空間を創るイメージの無限容量で固定化し、生物以外の時間経過を止め、物質の劣化を防ぐ。


生物が中に入っても大丈夫なように知的生物限定対象で自動的に二酸化酸素と空気の循環式で常に空気を纏うようにした。

ウィルスは即殺菌排除付き。


触らなくても視線やイメージだけで収納可能にし、フォルダ別に自動・任意共にソート機能をつけ、複製・削除機能もつけた。

これで一個入れるだけで無限増殖可能だ。

マジでチート(反則)技。


精神だけでも入れるし、生身の体でも入れる。

大図書館みてぇな感じで陳列棚がずらっと整列し、中に入っても探し物がどこにあるかうっすら棚と探し物が光り、自動的に自分の前に棚が瞬間移動し、くるようにした。


やるな、俺(笑)

そこまで歩きたくなかっただけだけど(笑)





───放課後の部活の陸上の走り込みも体がめっちゃ軽かった!


目立つことはしなかったが、先輩たちの集団になんとかの態で見えるようについていったから、軽く頑張ってるぞとアピールはできた。



気晴らしに部活帰りにダチたちとゲーセン寄って、Bluetoothイヤホンとか充電器とか電化製品系のクレーンゲームも風魔法で操作し、ラッキーを装い、ありえない一発でゲットしまくった。


太鼓ゲームもパーフェクト!

反応速度、動体視力、バチのとりまわし、指の動きがすべらかだ。

音楽系もバッチリで注目浴びちまった。


優越感がたまらん。





「うおー!お前、今日なんかスゲェな!」

「どうしたんだよ!?パネェ動きしてたよなッ!?」

「おう。なんか運使い果たした感じだわ、俺」


笑ってしまう。


あぁ、気持ちいい。




───・・・夜。母さんが寝たら。

世界地図を自分の部屋の勉強机に広げ、ジィッっと一点だけを見つめれば、脳内にリアルタイムでそこの景色が、今、生活してる人の動きが視えてきた。


我ながらチート!思ったとおりだ!


そこからもどり、改めて近所から始めて県内を探ってく。

人間の、哀しみの負の感情を。


何が原因で?

俺に何か出来るか?


家庭内暴力。

育児放棄。

親の借金生活、酒癖に苦しむ子供。

いじめ。

誘拐。

行方不明者。

家出。

不良たちの仲間入り。


抜け出したくても居場所がなくて、そこにいるしかない子。

仲間外れは嫌だから、ハブられるのは怖いから、やるしかない悪事。


俺にやれること、出来ないこと。


万能じゃないし、神でもない。わかってる。


調子づくなと。


だけど少しでも魔法で意識改革できるはず。

洗脳って言葉はなんか嫌だけど。

気持ちの方向性とかさ。

手を差しのべられないか?


強者は弱者を助けるべきだ。

虐げるための力じゃない。

親だから、子供を所有物みたいに扱う親に、子供は虐げられても、諦められずに愛されたいんだよ。願うんだよ。手を恐る恐る伸ばすんだよ。

叩かれても、蹴られても、殴られても、無視されても。存在を否定されても。

愛されたいんだよ。愛してるんだよ。


だから純粋な子ほど歪んじまうんだよ。


どっかのありふれた正義漫画の影響だけど、かまわない。

そう、かまわないじゃないか。


小さかったガキの頃、テレビの中のヒーローに憧れて、なりきってたじゃないか。

みんなでヒーローになって、なりきって遊んだじゃないか。

自分は、ヒーローだ!強いんだ!

悪いヤツをやっつけるんだ!って。


でかくなって、中学、高校生になり、恥ずかしくなって、ヒーローに憧れるのはやめたけど、心の中で、なれるなら、なりたいって思う気持ちがあるヤツはいるはずだ。


偽善だけど、やれる力があるのなら、やらないよりマシだと思う。


見て見ぬふりは、共犯者だ。



顔だしはマズイから認識疎外魔法であやふやな印象付けにすることにし、必要経費ってゆーか、支援活動資金は、今まで母さんにもらって何となく貯めてたわずかな小遣いを元手に、スクラッチを窓口で選ばせてもらい、一気に儲けた。

だけどしまった。


未成年だから、母さんと一緒じゃなきゃダメで、当選金を受け取りに銀行に行ったけど、母さんが半分、俺の通帳に入れてくれた。


半分でも大金で、少しでも母さんの仕事の負担や、かつかつの生活の気持ちにゆとりがでたなら。結果オーライ。



それからは、保護者が必要な高額当選は避けて、少しずつ売り場を変えては買い、母さんに内緒の少額当選金額をこつこつ増やした。

これを活動資金に。

いずれは卒業し就職したら株を始めよう。





「真一。あんた、大学行きなさい」


(え。えぇー。そんな、母さん。気軽に普通は、受験して受かるわけねーじゃん。落ちるヤツいるじゃん。いや今の俺なら受かるけども。金かかるじゃんか?奨学生になるより早く働くって)



「心配するんじゃないよ。ほら、これ」



俺名義の通帳を見せられた。


日付けが俺が産まれてからずっと、少額だけど毎月定額貯金してくれてた。

結構な額になってる。

1度も手をつけずに。今まで・・・。


──・・・知らなかった。





「母さん・・・」


「担任の仲田先生が、あんたの成績なら行ける大学教えてくれたから。

ここ最近一気に成績上がって、真面目にコツコツ頑張りだしたあんたなら、大丈夫だって話だよ。

就職するにしても、大学卒と高卒じゃあ違ってくるでしょ?

それにこの間大金入ったしね!ふふ」


「・・・・・・ありがと。母さん」









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現実にチート魔法が使えるようになったので 天野 @amenomiwoya

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