第七回 後編! この物語が終わっても、私たち親子の夏は……。


 まだこれから! きっと、イベント揃いの夏になると、私は信じている。


 新型ウイルスによる……未だ続く外出の自粛。


 でも、私たち親子の絆は、

 ――負けない! 新たな驚きや明るい明日たちがあると、この子たちが教えてくれた。


 私は悪いママだったけど、


 ゲームの世界から、オリンピックの種目へと繋がる℮スポーツの世界へと発展の道を歩む千佳ちか。そして力を合わせて応援してくれる優しい梨花りか……最高の我が子たちだ。


 ママの方が、

 この子たちに教わった。今なら、今こそ私は本当の意味で、『ママ』と名乗ってもいいのかな? ――そう心が囁いた時、あの人は、



「今までほったらかしで、ほんとごめん。……いくら謝っても済まないけど、千尋ちひろ姉は一人で、立派に千佳ちゃんを育てて来たんだね。『パパもしっかりしなきゃ』って、梨花に言われたんだ。だから……俺たちにも応援させてくれないか? 千尋姉のこと」

 と言ってくれた。


 しんちゃんが言う『俺たち』とは、


 美津子みつこさんのこと。梨花の『ママ』となってくれた人。同じママなのに、本当に頭が上がらない。……この人は、私のことを軽蔑せずに、対等な『ママ』という立場で思ってくれるのだ。――ふと落ちる涙。号泣の域まで達する涙で、


「お母さん、どうしたの?」と、キョトンとしながらも千佳は訊く、ゲーム機の画面の前に於いてコントローラーを握りながら……私もまたコントローラーを握りながら、


「大丈夫、少し目にゴミが入ってから」と、子供のように見え見えな嘘を吐いた。


「目も体も大事にしてよ、お母さん。これから『格ゲー選手権』のトーナメントが始まるんだから」と、これからなの!


 ――私たち親子の『二〇二〇年夏物語』の始まりは。


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僕らと一緒にゲームをしたママが、二〇二〇年の夏を飾るというお話。 大創 淳 @jun-0824

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