春風ひとつ、想いを揺らして

主人公は大人の女性です。
生活のちょっとした変化に敏感に反応する感性するどい女性。
職場に気になる男性がいるのです。
気になる程度、親しくはなくあまり話したことがありません。
だって、同じ職場、下手をすると居心地が悪くなってしまいます。
冷静に自分を律することのできる大人の女性なのです。
そこへ、メール。ゆらり。
いやいや、ゆらり。
彼を想ってゆらり。
大人の女性が想いを揺らすのはなかなかよいものです。

「今年度前半期で、この部署は最後になります。
　よろしくお願いします。」

在宅勤務になってから、彼からみんなに送られたメール。
会いたいけど会えない切なさ。

美しい情景をたくさん盛り込んだ、綺麗なお話でした。

働き方が変わる中、たしかに自分のライフスタイルにゆとりが生まれたはずなのに、満たされることの無い気持ち。
淡々と事務連絡をこなす、そんな間柄でしかないはずなのに、その彼のメールが頭を離れない。

そんな主人公の心理を、繊細な情景描写で追っていきます。
そして、ある行動を起こします。

その結果は、あなたが確認してください。
大人向け。

自宅勤務となってみれば普段より落ち着いた生活であるというのにどこか足りないと感じる何かがあって。
頻繁に会う間柄でもなければ、楽しい雑談を交わす相手でもない。

それでも、と思ってしまう女性の小さな言動のひとつひとつがとても愛おしくて可愛いお話でした！