初めて自分が献血を行ったのは、高校三年生のころでした。
自動車学校にたまたま訪れていた献血カーに興味を持ち、そのまま400mlの献血を行いました。
献血したという誇らしさよりも、タダでジュースが飲み放題という嬉しさが勝っていましたね。
なかなか現金なやつです。
それ以来、何かと機会があるたびに献血を行ってきたのですが……薬を常飲するようになって以降は、献血ができなくなってしまったのですよね。
献血したい気持ちは今でもあるのですが、患者さんの命を守る必要があるため、こちらのエゴを押し付けることもできません。
なので、気兼ねなく献血できる人というのが、個人的には非常に羨ましかったりします。
さて、そんな献血をテーマとした本作ですが、血というものは物語において非常に重くドラマティックなものを感じさせる要素でもあります。
命の根源を感じさせ、運命めいたものすら覚えるその赤いエネルギーを、誰かのために紡ぐ場所が「献血ルーム」という場所であるのならば……そこで生まれた縁というのも、ある意味運命めいたものなのかもしれません。
そんな命と運命の交わりを感じる本作、是非とも献血を受けながらお読みください。
七年間付き合った恋人の米倉竜二に振られた近衛寧々。新宿の雑踏を幽霊のような足取りで彷徨う。自分に意味を見つけたいと訪れた献血ルームで、北郷英雄 と出会う。一方、米倉竜二は専務の娘である麦田佑月と打算的に結婚する。三年後、二つのカップルはいかなる変化を迎えたのか……。
「血」というテーマは凶悪なホラー作品でよく使われますが、こちらは「人に分け与えるもの」という「愛」の象徴として現れます。このお題の消化の仕方は見事で、目を見張りました。
「ざまぁ」作品ということで、すっきりとした気分で読み終えました。と同時に、自分が米倉竜二くん的な選択をしていないよね? という疑問も胸に芽生えました。考えさせられる一作です。