第4話 チェス
紅茶を
「君は弱いくせに勝負を仕掛けてくるな」
「そうですね。でしたら、少しハンデをつけて貰えませんか?」
「いいぞ。それならいい勝負になるかもな」
駒村は駒を並べてレオとの間に戦力差をつける。
「では、
レオの表情が
『
「チェックメイト」
黒のナイトが白のキングを
「こんなの、勝てるはずがないだろう」
「では、どうして最初にそう言わなかったのですか?」
「お前が何か言いたそうだったからな」
レオは自分のキングを手に取った。最後まで"王"は動かさず、敵の侵攻を逃げずに待ち受けた。
「これは……『
白のキングを指で転がしながら、ぽつりと呟く。駒村は黙っていた。
「
レオは深い溜め息を
「ホフマンの娘が、3か月前に妊娠したことがわかったんだ」
ホフマンとは国務大臣のことである。
「認可は下りていなかった。完全な不注意だったそうだ。彼女はその事を父親に伝え、泣きながら謝り続けた」
公国では承認された夫婦以外は子供をつくることは許されない。『
「子供ができたのに、なぜ謝らなければならない?どうして心から喜べない。私たちが、吸血鬼だからか?」
レオの声は震えていた。隠した目元から涙が
「結局、
上限制度による
「子供を
「だから、
「そうだ。民に
「ですが、それは大公一人のせいでは…」
「許せないんだ!」
椅子を
「吸血鬼がここまで追い込まれた歴史も経緯も知っている!だが、今を生きる者達に負の時代の犠牲者になれなど、どうして言えようか!」
長い爪が
「そして、最も
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