中小企業で奴隷のように働くのも大変ですが、公務員の皆さんも大変です。私は工場勤務なのですが、偶に公務員の方が指導にいらっしゃいます。コロナ禍で大変らしいです。ご自分の仕事を定時で切り上げてから、コロナ対応の電話を受けているそうです。
そんなに忙しいなら来なくても良いのに…… とも言えず、あやふやな笑顔を浮かべる私ですが、彼らのお仕事には、正直頭が上げられません。専門的な審査を受けるのですが、どの方も真面目に指摘をして頂きます。
陽の当たるお仕事ではありません。でもどこかで地域住民の役に立っています。そんな彼らに、美味しいお酒の一杯もご馳走したいです。
→あ、饗応になっちゃいますかね?
区役所に勤める若き職員さんたちの日常を、様々な課を舞台に一話完結のオムニバスで綴られる作品です。
いわゆるお仕事小説ではあるのですが、その中身は味わい深く色付けされたノンフィクションのようです。各課の職員と、彼らが向かい合うさまざまな住民とのエピソードには心の襞が見えるようなやりとりがあり、色んな状況に置かれた人間の心理を細やかに描き出してみせます。
ひとりひとりの住民の人生に寄り添い、耳を貸すというのは容易な仕事ではないでしょう。日常の出来事のなかで自分の仕事に迷い、悩み、それでも人に向かい合う若い職員たち。
公務員という仮面をつけながらも、彼らにはひとりの人間としての素顔がある。その部分を垣間見られるのがこの作品の魅力だと思います。
読んでいるうちに彼らを応援したくなり、また読んだ後はこちらが背中を押してもらった気がする、そんな味わいのある物語です。
区役所で働く方々と区役所に訪れる方々の交流をベースにした一話完結の連作小説です。
窓口の向こう側に、法律を礎に真心を持った職員さんが居られたら、大変に心強いでしょう。
人は、それぞれの事情をかかえて、それぞれの人生を送っています。
人間の誕生から死。そのあいだに訪れる、さまざまな形の節目。
悩む節目、「一緒に考えさせて下さい」と、窓口の向こうの方に言ってもらえたら、きっと人生の荷物が軽くなるはずです。
ひとりひとりの人生に、細やかに対応される区役所の方々へ「お疲れさまです」
そして「ありがとうございます」