第4話 2020年11月19日

この日は僕の誕生日。

しかし、楽しい日にはならなかった。

この日には、最大にして最悪のプレゼントが待っていた。


放課後、先生に呼び出された。


「平田君、あなたを退学処分にします」


突然の処分であった。


「なんでですか、先生!僕は成績もいいし、悪いことをした覚えはありません!」


「あなたのご家族が学校に来て、学費が払えなくなったと言ってきたの・・・」


「そんな・・・」


その現実を受け入れられないまま、僕は帰路についた。


帰ってすぐお母さんに、


「なんで退学なんだよ!ふざけんな!」


と怒鳴った。


「ごめんね、ごめんね・・・」


母は泣きながら全てを話してくれた。

父の会社が潰れたこと、再就職先が見つからないこと、父は今土木のバイトをしていること・・・。


僕は感情的になって


「ふざけんな!」


ともう一回言った。


そして、イライラを消し飛ばすようにゲームをした。

そして、いつも通り寝ようとした。


明日が最後の学校だ。その後は公立学校に転入する。

その現実を受け止められなくて、なかなか寝付けなかった。

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2020 東京にて 。Maimai @Maimaibooks

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