白穂の原

深見萩緒

白穂の原


 辺り一面が黄金色。肩まで届く金の穂は、しかし全てが白穂――実の入っていない穂のようで、カサカサ乾いた音を立ててそよいでいた。


「やられた!」そこを通り抜けた後、旅人は叫んだ。荷物がやけに軽い。穀物袋を開ける。米も麦も空っぽだ。通ってきたばかりの穂の海は、少し重たげに頭を垂れていた。

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白穂の原 深見萩緒 @miscanthus_nogi

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